ソフトウェア・サービスの採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
「人を活かすシステムの創造」と「健康、医療、介護を情報システムで支援」を企業理念に、電子カルテを中心とした医療情報システムを開発、販売している、ソフトウェア・サービス。電子カルテの普及率は先進国平均の80%に比べ日本では30%程度と遅れています。新型コロナの影響で経済全体は低迷していますが、同社の採用活動は堅調。まだまだ成長中の市場であることを反映していると考えられます。
社内の雰囲気については「自分の意見を言えば上司が拾い上げてくれる」「上司との距離が近くなんでも相談できる」といった、風通しのよさを感じさせる口コミが多数寄せられています。社員教育にも熱心で「先輩にいろいろ教えてもらえて勉強になる」との声もあり、チームワークのよさも職場の魅力なのだそう。また、「成長性のある市場」といった安心感も、やる気のアップにつながっているようです。
一方で、顧客の病院が24時間体制で営業しているため、緊急事態への対応が必要になることもしばしば。「休みの日も気が休まらず体調を崩す人が多い」「一定数が退職すること覚悟の大量採用」「年配者がほとんどいない」との声もあり、現場はハード。命を預かる仕事の手伝いをするのだという覚悟が必要だと言えるでしょう。
「健康、医療、介護を情報システムで支援」するために、覚悟を持って学びながら働く。こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
■選考は何次まで?
同社では、本社の大阪や東京、九州地方で中途採用をおこなっています。非エンジニア職でも正社員の中途採用をおこなっているため、幅広い人材にチャンスが与えられています。ホームページにも5件の募集情報がありますが、キャリコネ上では14件の情報が挙がっており、人材会社を通す方が情報が多くチャンスも広がるでしょう。
選考は、基本的に書類選考後面接2回とのことですが、口コミによると人によっては適性検査もあり、面接も4回程度にまで増えることもあるのだとか。そのため選考期間も2週間から3カ月以上と、かなりばらつきがあります。最終面接は社長だったとのこと。印象は「社長に嫌われてしまうとダメ」「良くも悪くもワンマン」といった声が寄せられており、オーナー企業に近い面接の雰囲気であることがうかがえます。
一方、今までフリーランスの経験しかなかった人やアルバイトでも正社員に合格していることから、経歴にこだわらず良い人材を採用しようという気概のある一面もあるのでしょう。
「ガッツややる気重視」という声も多く、どんな質問をされても、「やりたい」という気持ちをしっかりと前に出して話すように心がけるとよさそうです。
■面接内容の傾向は?
質問内容は、志望動機に長所短所、これまでの経験など一般的な質問がほとんどだという口コミが多数寄せられています。この記事にある基本的な対策をしっかりとおこなって挑んでください。
「忍耐力」「精神力」に関する質問も多いのだそう。こういった精神論に関する質問には、今までの経験から忍耐力や精神力をアピールするようなエピソードを用意しておき、体験を交えて話すほか、企業の求める人物像に近いことをアピールすることが重要です。
ホームページには『「ITを通して医療に貢献したい」などの志がある人を募集している』とあり、社員の守るべき基本ポリシーとして、医療に特化する「専門特化」、開発から保守、販売までを一貫しておこなう「自主独立」、何もないところから価値を創造していく「創造価値」の3つが挙げられています。自分の志をしっかりとアピールしつつ、「専門特化」「自主独立」「創造価値」のいずれかの言葉を交えて自身の忍耐力や精神力について語れるよう準備しておきましょう。
ソフトウェア・サービスの面接攻略法(面接対策)
■ソフトウェア・サービスの「経営方針」を理解した上で自己分析をする
同社の面接を受ける前に、経営方針を調べ、理解しておきましょう。ホームページや有価証券報告書に、以下のような目標・方針が掲げられています。
同社の経営方針には、会社がどのような人材を求めているかのヒントが詰まっています。自己分析の際に、この経営方針に合致する部分を見つけ、自己PRの際は重点的にアピールするようにしましょう。
有価証券報告書によると、経営の基本方針として、医療情報システム・電子カルテの領域で全国シェア3位以内を維持することが掲げられており、人材・商品への戦略的投資をおこなうことで、経常利益率30%を実現するとしています。
これを実現するための戦略としては「自社システムの販売強化」「顧客との関係強化」「システム導入の効率化」「人材の増強」の4つによってストック型の収益を増やしていくことが挙げられています。
利益率を上げるには、新規ユーザーの獲得に力を入れるだけではなく、既存ユーザーにより長く愛用されるシステムであることが欠かせません。「商品力強化」「お客様との良好な関係」「業務効率化」のいずれかに関わり、成果を挙げた経験があれば、エピソードとしてまとめ、端的に説明できるようにしておきましょう。
■「なぜソフトウェア・サービスに転職したいのか」の明確化には他社研究も忘れずに
同社の面接では「なぜ当社を選んだか」という質問に対し、明確に答えることができるように準備しておくことが大切です。志望動機について突っ込んで質問する理由は、即戦力としての力量や、本人のやりたい仕事と実際の仕事の内容が合致しているかなどを確かめるという目的もありますが、それ以上に「当社のことをどれだけ理解して応募しているのか」を探り、評価するという目的があります。
電子カルテが作りたいのならばほかの企業でもできますが、その中で同社を志望した理由は何なのかを明確にする。そのためには、競合他社についても経営理念や経営戦略をチェックし、違いを理解しておくことが重要です。そして志望動機に関する質問に対しては、同社でなければ実現できないことを挙げるようにし、それに対して自分がどのように貢献できると思ったのかを説明できるようにしておきましょう。
具体的には次のような企業について調べてみてください。
- システムロード株式会社
- 富士通株式会社
- 株式会社インテクア
ソフトウェア・サービスの採用面接で実際に聞かれた質問内容
このように、同社の面接準備をする際には、経営戦略を意識して自己PRの内容を精査し、他社研究も踏まえて「この会社でしか実現できないこと」を組み込んだ志望動機を用意しておくことが大切です。
そのうえで、面接当日を迎えたら、まずは『「健康、医療、介護を情報システムで支援」するために、覚悟を持って学びながら働く』という社風に沿った発言やふるまいを心がけましょう。そして「自社システムの販売強化」「顧客との関係強化」「システム導入の効率化」「人材の増強」といった経営の基本方針に貢献できることを、エピソードを用いてアピールすることも重要です。
面接を受けた人が実際に聞かれた質問を挙げてみます。自分ならどのように答えるか、経験者の回答を参考にしながら面接シミュレーションしてみましょう。
20代後半男性/代理店営業【結果:内定を辞退】
30代前半男性/システム運用【結果:内定を辞退】
年代不明女性/プロジェクトマネージャー【結果:最終面接を辞退】
ソフトウェア・サービスの採用面接に向けて
同社の面接の準備で重点的におこなっておきたい対策についてお話してきました。要点をまとめると、以下の4つです。
- 『「健康、医療、介護を情報システムで支援」するために、覚悟を持って学びながら働く』という社風の中でやっていけるという自信とやる気を見せる。
- 同社の経営方針を理解して、これに対しどのように貢献できるのかを自己分析しておく。
- 「忍耐力」などの精神面の質問に対して、ストレス耐性を示すエピソードを用意しておき、会社の「基本方針」に沿って話せるようまとめておく。
- 競合他社と社風や経営方針などを比較し、「なぜ、同社を選んだか」を明確にできるよう志望動機を整理しておく。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
慶応義塾大学卒業後、大手ITメディア、出版社ライターを経て、旅行会社に勤務。新規事業企画に携わる。