2021年06月21日
米国シカゴを本拠地とする世界的な経営コンサルティングファームのA.T.カーニーへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、クライアント企業の変革をリードする高い能力と志が問われます。コンサルティングファーム特有の傾向をしっかりつかんだ上で対策をおこないましょう。
世界41の国と地域に57拠点を擁する世界有数のコンサルティングファーム、A.T.カーニー。日本オフィスは1972年に開設され、金融、通信、ハイテク、自動車、消費財・小売をはじめとする幅広い分野において、クライアント企業の変革をリードしています。
多くのコンサルファームがそうであるように、同社でも圧倒的な成果を求められます。口コミには、「さまざまな経営課題について、短期間に触れられるところがおもしろい」といった声が寄せられると同時に、質の高いアウトプットにつなげるために役職に関係なくフラットに議論を交わす環境です。このように、若いうちから困難な経営課題に取り組める点や、能力の高い人材に囲まれて仕事ができる点は、この業界で働く醍醐味だと言えるでしょう。また、「対象の事業領域も広いことから守備範囲を広げたい人にはお勧め」という口コミも見受けられました。
そのほか社風に関する口コミには、「戦略コンサルファームの中でも、非常に”生真面目””愚直”」「アサインメントに関しては公募制になっている」「男性のイクメンブームが起こっていて、上位陣でも普通に1年の育児休暇を取ったりする」といったものが見られます。職業柄、ハードワークであることは間違いないものの、オーナーシップも大切にする社風であるようです。
中途採用においては、コンサルタントとしての高い能力はもちろん、こうしたオーナーシップを重視したカルチャーにフィットするかどうかか重要な要素となります。
現在、同社では中途採用をおこなっています。また、数年の実務経験を積んだ後に、専門知識を習得するためにビジネススクールなどに進学した人が在学中に就職活動をする場合には「MBA採用」もあります。
ここでは、一般の中途採用における選考フローをご紹介しましょう。
最初に、指定された選考会に応募する必要があります。選考会の日程は限られていますので、コーポレートサイトで必ず確認をして締切に間に合うよう応募してください。
応募後のフローは以下のとおりです。
●書類選考→WEBテスト→面接
応募日から2週間以内に書類選考の結果が連絡され、書類選考、WEBテスト選考に通過した場合のみ、当日の選考会に参加できます。なお、面接はリモートでおこなわれる予定です。
同社の面接で最も重要視されるのが「ケースインタビュー(ケース面接)」です。これは、インタビュー(面接)をおこなうコンサルタントがクライアントの立場となり、ある問題を提示してその解決策の提言を求めるというものです。口コミによると、限られた条件をもとに論理的に推論していく「フェルミ推定」を必要とする課題も多く出されています。
面接経験者の口コミには、「ケース面接について、事前に模擬面接などを受けたほうがいい」「エージェントやインターネットから過去問を解いてみるのがおすすめ」「数学とロジカルシンキングが重要」などのアドバイスがあがっていました。また、同社の採用ページには、ケースインタビューにおけるヒントとして、以下の点が挙げられています。
●論理的にアプローチする
●「トップダウン」で考える
●仮説を立てる
●コミュニケーションをとる
●限界を知る
●クリエイティブに考える
●ブレインストーミング
●CEOまたは株主の視点を取り入れる
●正しいシグナルを送る
同社の面接は非常にタフなものです。経営に対する知識はもちろん、分析力、問題解決力、論理的思考力、コミュニケーション能力、さらにはクリエイティブな発想など、高度な知的能力が要求されます。志望動機などの一般的な質問であっても、論理的に深堀りした回答が求められることを肝に銘じておきましょう。
A.T.カーニーの面接を受ける前には、同社の方向性を理解しておく必要があるでしょう。
同社では、クライアント企業や社会的リーダーにとっての「The most admired firm(最も評価され、信頼されるコンサルティング会社)」であることを目指しています。その先にあるのは、クライアント企業との協業による事業創造と変革、さらに社会課題の解決を通じて、より良い未来をかたち作ること。そのために、次の3つの方向性を掲げ、これにこだわっていく方針です。
●社内外の才能溢れる “尖った個” からなるベストチーム
●日本企業と社会の “可能性を解き放つ” ことへの貢献
●“創造と変革のリーダーの輩出” へのパッション
同社で仕事をするにあたっては、この3つの方向性を意識し、“個”としての能力・スキルを進化させていかなければなりません。その過程において、自らのパッションやクライアント企業や社会に対するコミットメントを常に自分自身に問うていく必要があります。
3つの方向性について解像度を上げて読み解き、同社が目指す姿をクリアにしておきましょう。そして、それに沿って自己分析をおこなうことで、同社にふさわしい人材だと印象づけられるようにしたいところです。
A.T.カーニーの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ、A.T.カーニーなのか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「入社後にやりたいことは何か」「それがここで可能なのか」といった点はもちろん、「理念やカルチャーにフィットする人材なのか」という点です。
数あるコンサルティングファームの中で、なぜ同社なのかという質問に答えるためには、他社との違いを明らかにしておく必要があります。Big3と呼ばれる以下のコンサルティングファームをはじめ、複数のコンサルティングファームと比較考量しておくことが重要です。
●マッキンゼー・アンド・カンパニー
●ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)
●ベイン・アンド・カンパニー
企業研究を通じて、A.T.カーニーの方向性や求める人材像がクリアになってきたのではないでしょうか。
同社の面接では、コンサルタントとしての高い能力はもちろん、タフな内容を乗り切るスタミナが必要です。また、ケースインタビュー対策として、日頃から問題の本質を捉えて構造化するトレーニングを積んでおくことが重要でしょう。それをわかりやすく伝えることはもちろん、自分自身の人間的な魅力も伝えられるような時間にすることを心がけてください。
以下に、面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問に対する答えを短時間でまとめられるよう、しっかり準備をしておきましょう。
A.T.カーニーの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●専門性を高めたい業界やテーマを明らかにした上でキャリアプランをしっかりと描き、オーナーシップを重視したカルチャーにフィットしていることを示す。
●A.T.カーニーの3つの方向性を理解し、これに沿った自己分析をおこなうことで有益な自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜA.T.カーニーなのか」に対する答えを明確にしておく。
これらを意識して準備をおこない、体調にも留意しながらタフな選考過程を乗り切りましょう。
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