2022年07月22日

【平均年収804万円】リコーの給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】リコーの年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


リコーといえば、オフィスで使われるコピー機やプリンターを思い浮かべる人も多いでしょう。
オフィス内に小さなプリンターが多数並んでいた時代は終わり、コピーもプリントもスキャンもFAXも1台あれば足りる「複合機」の設置へと時代は変化してきました。最近では、複合機の優秀なビジネスモデルが導入され、従来の機種販売やリースからMPS(マネージド・プリント・サービス)が主流になってきています。

MPSとは、顧客の費用削減や生産能力の向上のため、オフィスにおけるコピーやプリンターなど出力環境の改善と運用管理をすべてサポートするアウトソーシングサービスです。これにより、調査からメンテナンスまで一括してオフィスの複合機をマネジメントすることが可能になりました。しかも他社流入の恐れがなく、印刷ごとに収入があるので長期の安定収入につながるという利点もあります。

しかしながら、複合機の導入は機器を購入してもらえれば長期にわたり収入を得られるものの、納入時には価格競争に陥りやすいという難点もあります。またリーマンショック以降、顧客からも単価を下げようとする圧力が強まり、価格戦略のリコーにとっては大きな痛手となっているのです。

またリコーは年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

リコーの平均年収は804万円

それでは、はじめにリコーの平均年収について見ていきます。リコーの平均年収は、リコーの有価証券報告書によると、804万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出したリコー年代別年収レンジは、20歳代で430〜480万円、30歳代で600〜650万円、40歳代で750〜800万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.63倍の額です。

リコーの平均年収推移

グラフが表示されない場合はこちら
リコー・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2022年3月期804万円45.3歳20.5年7613人
2021年3月期782.7万円45.2歳20年8022人
2020年3月期827.9万円44.9歳20.2年8216人
2019年3月期818.1万円44.6歳20年7925人
2018年3月期805.6万円44歳20.2年7740人

出典:リコー・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
リコーの平均年収は前年を上回り804万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。

リコーの年代別平均年収と中央値

リコーの年収中央値は30代で617.5万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

リコーの年収実態
年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代446.9万円29.2万円80.1万円402.21万円
30代617.5万円39.9万円110.9万円555.75万円
40代767.3万円49.2万円137.8万円690.57万円
50代907.2万円58万円163万円816.48万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

リコーと競合他社の平均年収を比較

リコーの競合や同業界であるキヤノン、コニカミノルタ、セイコーエプソンの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、リコーが804万円、キヤノンが759.7万円、コニカミノルタが747.7万円、セイコーエプソンが767.3万円です。
この4社の中で最高額はリコーの804万円で、最低額がコニカミノルタの747.7万円。その差はおよそ57万円で、そこそこの差があります。
この比較企業の中ではリコーは1番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
リコー804万円45.3歳20.5年7613人4834.81億円
セイコーエプソン767.3万円43.8歳19.3年12630人8234.48億円
キヤノン759.7万円44.9歳20.1年25377人15087.52億円
コニカミノルタ747.7万円46.5歳20.8年4545人3732.08億円

リコーの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

リコーで給与を上げるには

目指すはSPランク

リコーの昇給には階級による上限があるようです。階級はAS1~3、SP1~2、SS1~2に分かれており、それぞれに基本給が設定されています。たとえばASランクの場合、昇給額は1年に1万円から1.5万円程度ですが、SPランクからはもっと昇給額が上がる仕組みです。ランクを上げるためには昇格試験を受けなければなりません。昇格試験にターゲットを定め、モチベーションを上げて仕事に取り組むことが年収アップにもつながるでしょう。

また賞与に関しては、役職が上級になっていくほど成果割合が増えていくようです。つまり上の役職であるほど、結果にコミットする役割をより高く求められるといえるでしょう。

リコー社員の給与明細(キャリコネ)

20代と30代で年収に違いが!

20代・研究開発(非管理職)の 給与明細

30代・研究開発(非管理職)の 給与明細

同年代・同職種でも賞与に差が!

30代・制御系プログラマー(非管理職) の 給与明細

30代・制御系プログラマー(非管理職) の 給与明細

リコーで働く上での課題・懸念点は

ペーパーレスの時流の向こう側へ

ITの浸透と環境に対する意識の変化により、先進国を中心にペーパーレス化の波が押し寄せています。国もデジタル化を推進するためにデジタル庁を創設、行政改革では官公庁のペーパーレス化を進めています。それゆえに、複合機を取り巻く市場環境も悪化し、業界全体が苦境に立たされていることには留意しなければなりません。

また米中貿易戦争の影響も無視することはできないでしょう。今後リコーは、中国に新設する工場で生産される製品の約3分の1程度を米国に輸出する予定ですが、米国は中国から輸入するプリンターの消耗品に関税を課すと発表しています。今のところ、リコーが新工場で生産する複合機については課税対象外の予定ですが、米中の対立が過熱すれば課税対象製品に該当する可能性も出てくると考えられます。

リコーには年収以外にメリットはある?

ここまでリコーの年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?

今まで培ってきたノウハウや実績を生かし、リコーならではの技術力を用いて、オフィスプリントだけではなく工業用プリンターや製薬用技術の開発など、現在ではさまざまな領域へ事業を展開し始めています。

一縷の希望は、複合機がオフィス文化と密接に結びついているため、すぐになくなる業種ではないということです。既存の強みを活かして利益を獲得しながら、新しいサービスへの転換が迫られています。リコーの技術力の高さは、今後の事業改革への大きな飛躍の一助となるでしょう。リコーの新しい採用メッセージには「変革の当事者でありたいあなたへ」とあり、会社を挙げて変革を成し遂げようとする強い意気込みが感じられます。今後の変革に興味のある人にはぜひお勧めしたい企業といえます。

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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