【年収研究シリーズ】SMCの年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
空気圧制御機器というものをご存知でしょうか。これは圧縮された空気の圧力をエネルギー源として、押す・つかむ・回す・持ち上げるといったさまざまな動きを、人の手に変わって作業をする機器のことを指します。こうした空気圧制御機器は自動車の組み立てラインや塗装ロボット、半導体の製造装置、工作機械の加工機など、あらゆる産業の生産現場で活躍している産業用ロボットに組み込まれ、省力化や生産性の向上に一役買っているのです。
この空気圧制御機器のように自動化に使われる機器のことや、産業用ロボットを活用し工場での作業工程を自動化することをFA(ファクトリー・オートメーション)といいます。さまざまなモノづくりの現場において、FAに欠かせない空気圧制御機器を製造販売しているのが今回取り上げるSMCです。SMCは空気圧制御機器の業界では世界シェア30%、そして国内シェア60%と、シェアNo.1を誇っています。
またSMCは年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。
SMCの平均年収は852.9万円
それでは、はじめにSMCの平均年収について見ていきます。SMCの平均年収は、SMCの有価証券報告書によると、852.9万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出したSMC年代別年収レンジは、20歳代で500〜550万円、30歳代で700〜750万円、40歳代で880〜930万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.73倍の額です。
■SMCの平均年収推移
SMC・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
SMCの平均年収は前年を上回り852.9万円でした。
過去5年間では最高額になりました。
SMCの年代別平均年収と中央値
■SMCの年収中央値は30代で723.2万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
SMCと競合他社の平均年収を比較
SMCの競合や同業界であるCKD、IDECの3社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、SMCが852.9万円、CKDが681.4万円、IDECが680.4万円です。
この3社の中で最高額はSMCの852.9万円で、最低額がIDECの680.4万円。その差はおよそ173万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではSMCは1番目に位置します。
平均年収では見えてこない、支給額の実態はキャリコネでチェックできます。同じ職種での違いに注目です。
業界の給与明細(キャリコネ)
一流企業社員が受け取る給与明細のリアル
SMC30代・技術職(非管理職)の
給与明細
CKD30代・技術職(非管理職)の
給与明細
IDEC30代・技術職(非管理職)の
給与明細
SMC社内で年収が高い職種・役職は?
SMCの給与構造は、毎年の定期的な昇給は決して高くなく、賞与によって年収が一気に底上げされ、補填されている仕組みとなっています。昇給額は入社後1年目から9年目までが5000円程度で、入社後10年目からは1万円弱です。このことから、賞与が非常に高額である点が特徴といえるでしょう。
その代わり、昇格して役職が付いた場合の昇給幅は非常に大きく設定されているので、年収もぐんと上昇します。役職の年収の目安としては、課長職に就く前後の頃には1000万円を超えるほどになります。たとえば、新卒入社25年目50歳で課長代理の場合は年収1000万円に到達し、中途入社30年目55歳で課長職の場合は年収1000万円前後が目安となるようです。
キャリコネに寄せられた給与明細を見ると、世代間での違い、同年代・同職種なのになんでこんなに差が生まれるのかの理由が確認できます。
SMC社員の給与明細(キャリコネ)
30代になると、順調に年収アップ!
20代・電気電子回路設計(非管理職)の
給与明細
30代・電気電子回路設計(非管理職)の
給与明細
基本給が同じでも、賞与で年収に差がはっきり!
20代・ルートセールス(賞与あり)の
給与明細
20代・ルートセールス(賞与なし)の
給与明細
年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。
SMCの見落としがちな留意点、課題は?
懸念点は、退職金が少ない給与構造にあります。実は基本給の中に本給という枠組みがあり、これが退職金計算に使われる重要なものとなっています。しかしながら本給は極めて低く設定されており、結果的に退職金は非常に低額となるのです。
またSMCの営業職については、海外志向が高い人材に向いており、そうでない場合は少々難しい職種となっている点も注意が必要です。というのもSMCは、世界中でビジネス展開を図っており、営業職の社員が世界各国で業務に当たることが必至となってきます。国内で営業を担当していても取引先は外資系企業となることも多く、海外の取引先とのコミュニケーションを取ることになるでしょう。こうしたことから、海外志向のある人材、広い視野で活躍したい人材にとっては、存分に仕事を楽しめる環境といえます。
SMCには年収以外にメリットはある?
ここまでSMCの年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
今、スマートフォンや車といったモノの進化とともに、FA業界も日々進化を続けています。世界の産業用ロボットの市場では、2016年から2017年のたった1年あまりの間に、23.7%増となる1兆821億円もの売上高をたたき出しました。この背景には、工場での労働力不足や人件費の高騰から、自動化ニーズが猛烈に加速していった実態があります。
このまま進んでいくと2025年には、2017年の3.1倍ともなる3兆円を超える市場規模にまで成長することが見込まれているのです。こうしたFA業界に広く深く寄与しているSMCは、これから先、未来に向けてのさらなる大きな成長と発展が期待されている重要な存在となっています。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
転職系アフィリエイトサイト・転職エージェントサイトらによる剽窃・模倣を禁止します。 もし剽窃・模倣を発見された方は「お問い合わせ」よりお知らせください。