2021年06月21日
五大総合商社のひとつで、三菱グループの中核企業でもある三菱商事への転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果などを具体的に問われるほか、キャリアシートでは見えてこない「人間性」も見られます。即戦力として、一緒に仕事をする仲間としても多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しましょう。
五大総合商社のひとつであり、最大手の三菱商事。2019年度からの新しい3カ年経営指針として「中期経営戦略2021」を策定し、事業経営モデルによる経済価値・社会価値・環境価値の三価値同時実現を目指しています。現在約90の国・地域に展開し、約1400社の事業投資先を有することから、社員からも「世界を舞台に活躍できる」「世界の産業界の将来を変える仕事」と評されています。
三菱商事の特徴として挙げられるのは、「単に収益を上げるだけではなく、自らの仕事の結果が各国の成長に貢献し、その国の人々の生活の質が向上するかどうか」を仕事の判断基準にしている点です。「経営層からも、常にこのメッセージを発信される」という口コミが見られることから、全社的に最も重要な指針として共有されていることが伺えます。
世界を舞台にし、新たなビジネスモデルを作りあげる仕事環境であることから、社員も「自分自身の成長」を意識する機会が多いようです。「優秀な人が多い」「若いうちから大きな仕事を任せてもらえる」「ビジネスパーソンとしてだけでなく、経営者としてのビジネスセンスも磨くことができる」といった口コミも多数寄せられており、向上心を持って仕事に取り組む姿勢が企業風土して根付いていると言えます。
また、こうした企業風土に加えて、成長を促進するための人材育成制度も充実しています。階層別研修はもちろんのこと、入社8年目までに全員が受講できる「グローバル研修生制度」もあり、多くの社員がMBAを取得しているようです。
常に自己研鑽とキャリアアップを図ることができる環境であり、仕事の成果も質・量ともに高いレベルを求められることから、「ワークライフバランスはとりづらい」「自分の時間という資源はない」という口コミも見られます。また、「意思決定はトップダウンである」「社内調整が多い」といった大企業ならではの課題もあるようですが、仕事に対して不満を感じるという口コミは少なく、全社員が前向きに仕事に取り組む社風であることが伺えます。
世界を変えるビジネスモデルを創出することで、人々の暮らしを変える。そしてこれを実現するために全社員が共通のマインドを持ち、自己研鑽しながらストイックに仕事に取り組む。こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
三菱商事の中途採用プロセスは、書類選考とWEBテスト(能力検査)および3回の面接です。1次面接は課長級の現場社員、2次面接は部長級の現場社員と人事担当者、最終面接は役員が担当します。随時募集しているわけではなく、採用期間を年に数回設定していることが特徴です。
三菱商事の組織は、天然ガスや総合素材、石油・化学をはじめとした10の営業部門とコーポレートスタッフ部門に分かれており、募集職種はその部門ごとに設定されます。選考プロセスは全ての職種で同一ですが、職種によっては、英語での面接が行われる場合もありますので、しっかりと準備しておきましょう。
面接内容には、世界を変えるビジネスセンスと仕事に対するストイックさを求める社風が大いに反映されています。「10年先の経営ビジョン」「どのように会社を変革できるか」といったように、経営者としてのビジネスセンスを問う質問が目立つと同時に、「仕事において一番大切にしていることは何か?」「譲れない価値観は?」など、仕事に対する姿勢を確認する質問も多く見られます。
その他は志望動機やこれまでのキャリア等、オーソドックスな質問が多いですが、職種によっては経営戦略に関するケーススタディが実施されることもあるため、しっかりと対策しておくことが必要です。
三菱商事の面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
三菱商事の面接を受ける上では、「三綱領」と呼ばれる行動指針を理解しておくことが不可欠です。この「三綱領」は、以下の「所期奉公」「処時光明」「立業貿易」の3つで構成されています。
これは、三菱商事の企業カルチャーの土台となる価値観。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの「三綱領」に合致する人材であることをアピールしましょう。
「所期奉公」とは、事業を通じて物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献すること。「処時光明」とは、公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持すること。そして、「立業貿易」とは、全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図ることを指します。まずはこれらの概念をしっかりと理解した上で、自己アピールにつなげていくことが大切です。
三菱商事は、世界を変えるビジネスセンスと仕事に対するストイックさを求められる社風ですが、これと「三綱領」の視点も加えて自分自身の経験を紹介することで、より強力なアピールになります。例えば、これまで携わったプロジェクトにおいて、自らの利益だけではなく、社会や環境に対してどんな意識で取り組んでいたのかを説明することで「所期奉公」のアピールにつながります。また、その視野の広さを加えることで、「立業貿易」の側面も伝えることができるでしょう。
また、面接官との全てのやり取りを通してストイックさをうかがわせるとともに、公正かつ品格ある姿勢を見せることで、「処時光明」の観点についてもアピールすることが可能です。
三菱商事の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ三菱商事か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、三菱商事という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。特に、五大総合商社それぞれの特徴を把握した上で業界の全体像を理解しておくことが不可欠であるため、以下の企業についても、しっかり調べておくことがおすすめです。
●三井物産株式会社
●伊藤忠商事株式会社
●住友商事株式会社
●丸紅株式会社
このように、三菱商事の採用面接を受ける前には、「三綱領」の行動指針に基づいた自己分析や、他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、世界を変えるビジネスセンスとストイックさを求める社風を意識して、社会・環境への貢献のために、広い視野を持って仕事に取り組める人材であることを印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
三菱商事の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●世界を変えるビジネスセンスとストイックさを求める社風を意識して、社会・環境への貢献のために、広い視野を持って仕事に取り組めることを自分の言葉でアピールする。
●三菱商事の行動指針「三綱領」を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社について研究し、「なぜ三菱商事か」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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