2021年06月21日

【面接対策】伊藤忠商事の中途採用面接では何を聞かれるのか

五大総合商社のひとつで、繊維・食料分野に強みを持つ伊藤忠商事への転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果などを具体的に問われるほか、書類では見えてこない「人間性」も見られます。即戦力として、そして一緒に仕事をする仲間としても多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しておきましょう。


伊藤忠商事の採用面接前に知っておくべきこと

社風への理解

伊藤忠商事は1858年、近江商人の初代伊藤忠兵衛が「持ちくだり」商いを考案したことから創業しました。以来、1980年代には日本初の民間通信衛星打ち上げ、90年代にはファミリーマートへの投資など次々に事業拡大。現在では、衣料や食品等の「生活消費関連分野」と「中国」に強みを持つ総合商社へと成長しました。

近年は、4年連続で史上最高益を更新していますが、これは創業以来の「商人魂」があるからこそ。従来のビジネスだけではなく、新規の次世代ビジネスに積極的に挑戦してきた賜物だと言えます。

この商人魂は、コーポレートメッセージ「ひとりの商人、無数の使命」に強く表されています。社員一人ひとりが豊かな個性をもち、卓越した「個人の力」を発揮することが伊藤忠商事の強みであり、「野武士集団」と評されることもあります。社員からも、「個では絶対に負けない社風」「社風として自由闊達」「個人主義」という口コミが多く寄せられています。

「個人の力」が高められる理由として、若手社員に積極的に大きな裁量権を持たせるという「任せてみる文化」が挙げられます。口コミでも「早くから独り立ちさせようという風土」「基本的には営業は個人プレイ、個人に予算がつく」「社風として『何でもアリ』の精神。若いうちから新規事業にも携われる」という声が多く見られます。一方、「上下関係が厳しい」「会社全体の運動会もあり、先輩主催の飲み会も多い」という声も見られ、体育会系な風土も持ち合わせているようです。

体育会系な風土のもと、一人ひとりが卓越した「個人の力・商人魂」を発揮することで、会社全体として大きなビジネスを進化させる。こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。

選考は何次まで?

伊藤忠商事の中途採用プロセスは、書類選考と筆記試験・適性検査、および3回の面接です。1次面接は現場社員の課長クラス、2次面接は現場社員の部長クラス、最終面接は役員が担当します。

伊藤忠商事の組織は、繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融の7つのカンパニーに分かれています。募集職種は予め設定されてはおらず、応募時に登録したキャリア情報をもとに、適したポジションが出た場合に個別にオファーされるという形式です。キャリア登録の際には、希望するポジションからのオファーが届きやすいように、これまでの経験や専門性を具体的に登録するようにしましょう。

面接内容の傾向は?

面接内容には、「体育会系な風土のもと、一人ひとりが卓越した『個人の力・商人魂』を発揮することで、会社全体として大きなビジネスを進化させる」という社風が大いに反映されています。「これだけは負けない、というものは何ですか?」「最も達成感のあった仕事は?」といった「個人の力」を確認する質問から、「社命に応じられるか?」という体育会系気質の有無を問うような質問まで、あらゆる角度からカルチャーフィットが確認されます。

一方、「今日の日経平均株価は?」「今後の食産業をどう捉える?」というような、ビジネスセンスを問う質問も多く見られます。社風にフィットした上で、伊藤忠商事のビジネス進化に貢献できる人材かどうかも重要な指標となりますので、しっかりと対策しておくことが必要です。

伊藤忠商事の面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。

伊藤忠商事の面接攻略法(面接対策)

伊藤忠商事の企業行動基準「ITOCHU Values」「5 self-tests」を理解した上で自己分析をする

この「ITOCHU Values」は、以下の5つで構成されています。

●先見性[Visionary]
あるべき将来像を描き、そのビジョンと道筋を明確に示して周囲の意欲を引き出し成功に導くこと。

●誠実[Integrity]
明言された約束を守り、裏表のない行動をし、どこでも誰とでも常に高い倫理観を持って接すること。

●多様性[Diversity]
性別、年齢、国籍、勤務経験等の違いを受け入れ、尊重し、その多様性を活用してよりよい成果を生み出すこと。

●情熱[Passion]
取り組んでいることに集中してエネルギーを注ぎ、成功するまで強い意志を持ち続けること。

●挑戦[Challenge]
いかに困難であっても強い意図を持って新しいことに果敢に挑み、創意工夫をして未来を切り拓くこと。

これは、伊藤忠商事の企業カルチャーの土台となる価値観。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの「ITOCHU Values」に合致する人材であることをアピールしましょう。

伊藤忠商事は、「体育会系な風土のもと、一人ひとりが卓越した『個人の力・商人魂』を発揮することで、会社全体として大きなビジネスを進化させる」という社風ですが、これに沿ったエピソードを「ITOCHU Values」の視点も絡めて紹介することで、より強力なアピールになります。

例えば、これまでのプロジェクトを遂行する上で、自らの専門性を生かすとともに、社内外の多様なメンバーの個性を活かすよう工夫したエピソードがあれば、社風の「個人の力」と企業行動基準の「多様性」を合わせてアピールすることが可能です。

また、困難な場面でも諦めることなく高い目標を掲げ、そのビジョンをチーム全体で共有しながら乗り越えてきたエピソードがあれば、企業行動基準の「先見性」「情熱」「挑戦」の側面をアピールすることができます。その際、常にビジネス発展を目指す視点を盛り込むことで、社風に合致する人材であることもより印象付けられます。

面接官との全てのやり取りを通して、どんな質問に対しても真摯な姿勢でコミュニケーションすることで、「誠実」さについても伝えることができるでしょう。

「なぜ伊藤忠商事に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要

伊藤忠商事の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ伊藤忠商事か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。

業界理解や職種理解の枠を超えて、伊藤忠商事という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。特に、五大総合商社それぞれの特徴を把握した上で業界の全体像を理解しておくことが不可欠であるため、以下の企業についても、しっかり調べておくことがおすすめです。

●三菱商事株式会社
●三井物産株式会社
●住友商事株式会社
●丸紅株式会社

伊藤忠商事の採用面接で実際に聞かれた質問内容

このように、伊藤忠商事の採用面接を受ける前には、「ITOCHU Values」に基づいた自己分析や、他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「体育会系な風土のもと、一人ひとりが卓越した『個人の力・商人魂』を発揮することで、会社全体として大きなビジネスを進化させる」という社風を意識して、困難な場面でも個人の力とチームワークを発揮し、情熱とビジョンを持って乗り越えられる人材であることを印象づけられるよう、様々なエピソードを準備しておくと良いでしょう。

面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。

29歳男性/海外営業【結果:1次面接で不採用】

質問

これだけは負けないことは何ですか?

回答

新規立ち上げの経験…(口コミの続きとアドバイスを見る

35歳女性/機械カンパニー【結果:入社】

質問

社命に応じられるか?

回答

キャリア形成は自分の意図しないこともある…(口コミの続きとアドバイスを見る

32歳男性/営業【結果:2次面接で不採用】

質問

今日の日経平均株価はいくらですか?

回答

答えることができませんでした…(口コミの続きとアドバイスを見る

30歳女性/経営企画【結果:最終面接を辞退】

質問

今後の食産業をどのように捉えているか

回答

国内では農家の高齢化、人口減少に伴い…(口コミの続きとアドバイスを見る

伊藤忠商事の採用面接に向けて

伊藤忠商事の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。

●体育会系な風土のもと、一人ひとりが卓越した『個人の力・商人魂』を発揮することで、会社全体として大きなビジネスを進化させるという社風を意識する。そして、困難な場面でも個人の力とチームワークを発揮し、情熱とビジョンを持って乗り越えられる人材であることをアピールする。

●伊藤忠商事の企業行動基準「ITOCHU Values」を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。

●競合他社について研究し、「なぜ伊藤忠商事か」に対する答えを明確にしておく。


これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。

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この記事の執筆者

東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。