【平均年収1114.1万円】豊田通商の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

ビジネス雑誌の『週刊ダイヤモンド』2018年4月14日号に、「最強オーナー企業ランキング！」が掲載されました。

これは長期的な視点で経営を進めるオーナー企業（同族経営の企業）を、ROA（総資産利益率）や営業利益、流動比率、自己資本比率の4つの指標に売上高を加えて偏差値化し、独自に作成したランキングです。これで上位に立った企業は、オーナー企業の強みである「高い収益性と安定性」を実現する、まさに最強のオーナー企業と言えます。

ビジネス情報サイトの「ダイヤモンド・オンライン」では、業種別で卸売業のランキング表が公開されており、2位以下を大きく引き離して堂々の1位となったのは、豊田通商でした。

豊田通商は三菱商事や三井物産、伊藤忠商事などと並び、大手商社7社に数えられており、トヨタグループを構成する中心的な会社の一つでもあります。

自動車や機械をはじめ、エネルギー、食品などさまざまなジャンルを扱う一方で、昨今の空港民営化の流れにのって仙台空港の運営権を獲得しており、幅広い事業を展開しています。さらに2018年3月期の連結決算では純利益が前期比20.7％増の1302億円と、過去最高益を更新するなど業績は好調です。

商社といえば高給であるイメージがある通り、豊田通商も東洋経済オンラインのランキングの常連でもあります。

それでは、豊田通商の年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。

豊田通商を含めて総合商社の平均年収が概して高いのは、収益と利益額が大きいことが理由です。

中でも豊田通商の2018年度の業績は、自動車生産関連商品の取り扱いが増えたことや、円安の影響などにより非常に好調です。

また最新の2019年3月期の連結決算発表（国際会計基準）によると、収益は6兆7627億200万円、当期純利益は1326億2200万円という結果になっています。単体で見ても売上高は3兆5356億7000万円、人件費含む諸経費を抜いた純利益は586億8400万円に上ります。これを従業員数の2744人で割ると、一人あたり2138万円もの利益を生み出していることになるのです。

そういった利益を昇給やボーナスとして社員に還元する仕組みが整っており、場合によっては年間の基本給分に匹敵するほどのボーナスが出されることもあります。
また住宅手当をはじめ、出張手当や海外赴任手当など、手当の厚さも平均年収を上げている大きな要因です。

豊田通商に限らず、「激務」であることが総合商社の共通の課題です。
残業が深夜まで及ぶことがしばしばあり、休日出勤も少なくありません。それらの残業代が多いことも高い年収の要因に挙げられます。

グローバルな市場で、モノの売買に携われることが総合商社で働く醍醐味ですが、国内海外を問わず出張が多いことは、人によっては大きな負担となります。海外出張から帰ってきて、すぐにまた別の国へ出張するといったハードなスケジュールを組まれることもあるのです。さらに仕事となれば、テロ多発地域や山奥などの危険な場所に行かざるを得ないこともあります。

商社は「モノを右から左に動かすだけで利益を生む」というイメージがあり、利益率が非常に高いと思われがちですが、実情は薄利多売であることが多いです。つまりモノを大量に動かすことによる「スケールメリット」で利益を生んでいることになります。それゆえに一つの事業がうまくいかなかった場合の業績への影響は多大です。

何と言ってもトヨタ自動車を中心とする「トヨタグループ」としての信頼感があります。

豊田通商は1922年の綿花の輸入から始まり、100年近くもの長い期間に渡ってアフリカでの事業を続けてきた歴史があり、2016年12月には自動車販売や医薬品卸事業などをアフリカ33カ国で展開していた、フランス最大の商社CFAO社を子会社化しました。これによりアフリカでの存在感が増し、新興国での今後の業績拡大にますます期待ができます。

さらに今回の連結最終利益も過去最高を更新し、いまだに右肩上がりの成長を続けています。そして何より世界中をまたにかけ、大きな仕事に携われるというやりがいは、やはり大きな魅力です。