ベネッセの採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
1955年、前身である福武書店の名で岡山に創業したのがベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)の始まりです。現在60年以上経過し、誰もが知る通信教材最大手の企業へと成長しました。ラテン語で『よく⽣きる』を意味する造語「Benesse」が社名と企業理念の両方に使われています。人が生まれてから亡くなるまでのあらゆるライフステージに寄り添うべく、BtoCの領域で様々な商材づくりを推進してきました。
グループ会社を一括しホールディングス化をしたのが2009年。現在ベネッセはベネッセホールディングスを完全親会社とし、ホールディングスの傘下という位置づけになっています。
ベネッセには2つの主力領域があります。ひとつめが教育領域です。ここではさらに通信教育講座と学校向け事業に部が分かれています。通信教育として誰もが知る『進研ゼミ』『こどもちゃれんじ』はこどもの年齢や状況にあわせた個別性の高い内容になっており、他社の類似商材の中でも国内トップクラスの会員数を維持しています。『こどもちゃれんじ』に関しては既に中国や台湾などのアジアにも展開しており、今後世界をリードする教育ブランドに育てることを目標としています。学校向け事業では『進研模試』や進路支援教材『スタディ・サポート』といった学校教員向けへのサポートを行うことで、最終的には個人(生徒)向け支援につながる商材を開発しています。
教育領域の次にコアな事業となるのが、生活領域です。ベネッセの商品ラインナップの中でも比較的手薄であった『衣・食・住』向けの事業で、同社はターゲットを女性とその家族と定めました。女性のライフステージに合わせた情報提供のみならず、その先にある『幸せな価値・体験』を提供することをミッションとしています。そのため顧客に対し一方向伝達型ではなく双方向対話型交流を実施することで差別化をはかり、読者のニーズを随所に反映した商品設計がされています。例えば『たまひよクラブ』や『サンキュ!』といった雑誌事業では顧客の声や反応をもとに商品・サービス創造がなされています。他にも口コミサイト『ウィメンズパーク』、食材宅配など多種多様なサービスがリリースされている状況です。
女性向け支援と教育支援のこの2つの軸が、ベネッセ内の社内制度や組織風土にも関連しています。口コミを見ると、女性社員が働きやすい環境、男性と同じ昇進機会に満足感を感じる社員が多く、女性を大切にする姿勢は従業員に対しても実践されているといえるでしょう。また入社してよかったと思う理由の中では、仕事のやりがい、おもしろさという回答が上位にきます。教育という社会性・公共性の高い事業に携われること、知名度が高いゆえに市場に大きなインパクトを与え続けられることが刺激的であるようです。加えて、顧客向けだけでなく自社従業員への教育にも積極的で能⼒開発制度が充実している点、豊富なキャリアパスが設けられている点などもポジティブな反応としてあがっています。
一方で、「花形部署の発言権が強い」「部署によっては慢性的に業務量が多い」を例にあげて社内の不均衡さを指摘するコメントや、「第三の事業が育っていない」「DM以外の効果的アプローチがまだ見つかっていない。そのDMも2014年の顧客情報漏えい事件で積極施策が打ち出しにくい」といった将来性に不安をもつ声がでています。
このような状況下でベネッセは、困難な環境に挑める人材、とりわけロジカルな戦略立案で事業創造ができる仲間を強く望んでいます。
■選考は何次まで?
内定までの選考期間は、複数名採用ポジションとそうでない場合とで異なります。第二新卒者向けの総合職採用では複数名採用を予定しているため、1DAY選考会という面接に書類選考通過者全員を集められます。面接は1日で完結し、最短2週間で合否が判明します。他方、採用枠が1名で個別選考の場合は書類提出後平均3週間~4週間です。書類選考後2回~3回の面接で内定となる選考スタイルが一般的です。1次面接は現場管理職もしくは人事担当者、2次面接では現場の統括責任者であることが多いようです。「一次面接結果の通知が遅く1~2週間待たされた」「結果連絡が遅かったが面接フィードバックが詳細だった」という口コミが見受けられ、各応募者について時間をかけ見極めながら慎重な採用を実施している様子が感じとれます。
中途採用領域では、20代中盤までの若手社員を第二新卒枠と扱い総合職として採用する方法の他、募集職種を6種に分類して採用を行っています。「企画・編集」「IT・システム」「マーケティング」「営業・営業アシスタント」「スタッフ職(例:人事や教室運営職)」「その他(例:紙面に掲載するフォトグラファー)」があり、このうち最も積極的に採用しているのは「IT・システム」です。
なお最終⾯接合格後、内定者面談が設定されます。ここでは雇用条件について詳細な説明がうけられ、内定者はその情報をもとに入社についての意思決定を行うことができます。内定受諾期限は内定通知書発行日からおおむね1週間以内に設定されることが多いようです。
■面接内容の傾向は?
職種ごとに求める人物像が異なり、従って質問の種類はバラエティに富んでいますが、過去の口コミより共通の傾向として4点に集約しました。
パターン①仮定の状況を設定したうえで、あなたならどう行動するかを問う質問 「もし○○の状況だったら、どんなアクションをするか?」「こんな内容のクレームがきたらどう対応するか?」「今まで一番許せなかったことは」
パターン②正解のない抽象的な質問 「あなたにとって夢とは」「よく⽣きる(Benesse)とはどのような状態か」
パターン③業界や企業に対する志望動機を深掘り 「なぜ教育業界なのか」「なぜ当社なのか」 「(回答したことに関して)他社も似たことをしているが、なぜ当社か?」
パターン④経歴や実績についての詳細質問 「一番大変だったことはなにか」「これまでの経験をどう生かせそうか」「○○の経験が薄いあなたを採用するメリットはあるか」
その他には、二次面接スタイルが圧迫面接で、厳しい質問を矢継ぎ早に浴びせられたという口コミも目につきます。ここから推察されることは、面接の中で定着性や早期即戦力性を見るだけでなく「地頭の良さ」「論理的思考力」「ストレス耐性」を測っているのではということです。それらをもとに今後のポテンシャルやのびしろを判断しているのでしょう。
二次面接で高圧的な面接官が登場し、企業に対する印象が悪くなった方が過去にいるようです。しかしながら圧迫面接は応募者の「ストレス耐性」や「機転の早さ」を見るために、あえて面接官が演技をしている場合もあります。面接のひとつの手法として行われているのか、それとも企業の社風を表しているのか、見極めが必要といえるでしょう。
ベネッセの面接攻略法(面接対策)
■ベネッセの「中期経営計画」を理解した上で自己分析をする
ベネッセホールディングスでは、2018年度から5カ年の中期経営計画「変革と成長 Benesse2022」をスタートさせています。
この高い目標の達成に向けて、具体的な施策にはどのようなものがあるのでしょうか。主なものを下記にまとめます。
・DM戦略からの脱却
・タブレット端末を中心としたデジタル教材の販促強化
・人工知能(AI)技術を駆使して、教材から得た学習ログの解析をすすめ商品の質向上に直結させる
・教育・入試改革にあわせたコンテンツ推進により、さらなる会員数増加をめざす
・競争力のある英語4技能検定「GTEC」の運営強化
・海外展開の加速化
これらを実現するためには、主体的思考や高い行動力を兼ねそろえた人材を保有していく必要があり、ベネッセホールディングスでは大切にしている価値観・行動指針を次のように言語化して、フィットする人材を選抜しています。面接ではここに合致するかどうかがひとつの合否ポイントといえるでしょう。顧客志向を体現した事例、チームワークを発揮した事例、多数の部署・取引先とコミュニケーションをとりながら調整力を磨いた事例など、これまでの職歴の中で得た経験があればエピソード形式で詳細に伝えるとよいでしょう。
■「なぜベネッセに転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
他のデジタル教育企業や進学塾と競合が激化している背景から、「教育に携わりたい」という理由だけでは志望動機として足りません。ベネッセの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ教育業界か」「なぜベネッセか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、ベネッセの強みや方向性についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
- 株式会社学研ホールディングス
- 株式会社ジャストシステム
- 株式会社Z会
- 株式会社公文教育研究会
ベネッセの採用面接で実際に聞かれた質問内容
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。
20代後半・女性/マーケティング職【一次面接で不採用】
20代後半・女性/経営企画【最終面接で不採用】
30代後半・男性/経営企画【入社】
40代後半・女性/コールセンター【二次面接を辞退】
ベネッセの採用面接に向けて
ベネッセの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 教育産業が少子化により縮小化し、競争環境が激化している状況を理解する。そのため現状を打破できるような創造的な視点をもち、組織をリーディングできる人材であることを訴求できるよう、回答を準備する。
- ベネッセホールディングスの企業理念と経営戦略を理解して、これに沿った自己分析をすすめる。想定外の質問も多いため、PRできる材料を複数ストックしておく。
- 競合他社についても研究し、「なぜ教育業界か」「なぜベネッセか」に対する答えを明確にしておく。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
北海道大学文学部卒業。専攻は社会学。小売業界を経て人材業界に転職。20代~30代向けの転職支援を行うキャリアコンサルタント。