トヨタの採用面接前に知っておくべきこと
■社風への理解
トヨタ自動車(以下、トヨタ)は豊田自動織機製作所(現豊田自動織機)の自動車部を起源とします。「関東大震災の復興に活躍した自動車は、今後の交通機関の中心的な存在になるだろう」と予測した豊田喜一郎氏が設立しました。
その後も社会のニーズの変化に柔軟に対応し、日本を代表する超大手企業となった現在のトヨタについて、社員は、「まじめ」「体育会系」「ザ・日本企業」などの言葉で表現します。
体育会系、典型的な日本企業と言うと、上下関係が厳しく、パワハラやブラック企業などのネガティブなイメージを持たれる場合がありますが、「先輩社員がしっかりフォローしてくれる」「上司は優秀で優しい」「草食系でコツコツやるタイプ、誠実や忠実なタイプの方が出世しやすい」などの口コミから、上が下を愛情を持って育て、下もそれに応えて素直に学び成長していく、“古き良き日本企業”といった印象を受けます。
また、「部署によれば大きな仕事を若いうちから任せてもらえる」「大企業だが、個人的な提案もやる気次第で受け入れられる」など、業務が細分化されて、やりがいを感じにくいと言われる大手企業でありながらも、熱意があれば活躍できる環境は整えられています。
従来の日本企業で見られた理想的な上下関係の中、真面目に学んで共に成長していく。採用面接では、こうしたトヨタの組織風土にフィットする人材かどうかを見極められます。
■選考は何次まで?
中途採用は、公式WEBサイト上で職種や所属部署、勤務地などが明示される形で、随時募集が行われます。募集職種は技術系職種と事務系職種に大きく分けられますが、採用工程にそれらによる違いはありません。
ごく一般的な採用の流れでは、公式WEBサイト上で必要事項を登録→書類選考→一次面接および適性検査→最終面接で合否が決まります。適性検査は自宅でWEB上で受験するもの。しっかり対策したうえで臨みましょう。
一方、社員からの推薦など特殊なケースでは、一度の面接だけで選考が終わる場合もあるようです。いずれにしろ、面接後一週間以内に採用・不採用の連絡が届きます。
面接は圧迫面接ではなく、「終始和やかな雰囲気だった」という口コミが多く見られます。こちらの面接記事を参考に前準備をし、自分を飾ろうと意識しすぎず、自然体で臨みましょう。
■面接内容の傾向は?
志望動機や応募者の長所や短所など、ごくオーソドックスな質問が中心になります。ただし、よくある質問だからこそ、しっかり掘り下げた回答が求められます。
例えば志望動機では、「トヨタで何をしたいのか」「トヨタの良さは何か」など、さまざまな言葉で深堀されるようです。中には「なぜトヨタでないといけないのか?」と、しつこく聞かれた挙句、「トヨタの車種を挙げられるだけ挙げて」といった質問を投げかけられた人もいます。
「他の業種ではなくなぜ自動車業界なのか」、「その中でもなぜトヨタなのか」を小さなことも含めてすべて書き出し整理しておく、トヨタに関する知識をできる限り増やしておくなど、十分な前準備が必要です。
また、企業規模が大きく、多くの人と一緒に仕事をしていくことになるため、「チームメイトを巻き込んで成果を出した経験は?」「人間関係を構築する上で気をつけていることは?」など、協調性やコミュニケーション能力を図る質問はかなりの確率でされます。仲間と力を合わせて新規プロジェクトを成功させたなど、それらをアピールできる経験をまとめておきましょう。
トヨタの面接攻略法(面接対策)
■トヨタの中期経営計画を理解した上で自己分析をする
トヨタは、企業理念を実践するために必要な手法などを「トヨタウェイ2001」にまとめています。主だった内容は以下のとおりです。
同社では、上記「トヨタウェイ2001」に基づいた長期戦略を立てています。これらは今後活躍する人材を採用する際の人事戦略にも影響します。しっかり理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの戦略に合致する人材であることをアピールしましょう。
長期戦略では、「電動化」「情報化」「知能化」の3つのキーワードが目に付きます。環境問題や交通事故、渋滞といった課題解決への取り組みと同時に、AI技術の向上によって可能性の広がった新しいサービスの開発・提供に力を入れていく方向性が明記されており、それには上記3つのキーワードが深く関連しているのです。
「電動化」「情報化」「知能化」の促進には、同社のみでは限界があることにも触れ、異業種や大学などを巻き込んだオープン・イノベーションも積極的に進めています。
これまでのやり方を変えるということは、多かれ少なかれ失敗するリスクを伴います。同社の安定性を志望動機に挙げる人がいますが、例えそれが正直な気持ちでも、面接の場で前面に押し出すのは避けたほうがいいでしょう。
なお、応募職種が技術系職種で、専門的な技術力がある場合は、当然そこをアピールすべきです。また、部署によっては他企業や研究所の人たちなどとも接する機会が増えるでしょう。繰り返しになりますが、「協調性」や「コミュニケーション能力」を示せるエピソードを用意しておきましょう。
■「なぜトヨタに転職したいのか」の明確化には他社研究を
トヨタの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜトヨタか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、トヨタという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 本田技研工業株式会社
- 日産自動車株式会社
- 株式会社デンソー
トヨタの採用面接で実際に聞かれた質問内容
トヨタの採用面接を受ける前には、戦略に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「従来の日本企業で見られた理想的な上下関係の中、真面目に学んで共に成長していく」という社風を意識して、コミュニケーション能力があり、素直に学んで成長していくことができる人材であると印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
20代前半女性/営業【結果:1次面接で不採用】
年代不明女性/総務【結果:最終面接を辞退】
20代前半女性/カウンターセールス 【結果:2次面接を辞退】
20代後半男性/技術関連職【結果:採用】
トヨタの採用面接に向けて
トヨタの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「従来の日本企業で見られた理想的な上下関係の中、真面目に学んで共に成長していく」という社風を理解して、これに合致した人材であることをアピールする。
- 戦略を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる 。
- 競合他社についても研究し、「なぜトヨタか」に対する答えを明確にしておく。
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関西学院大学商学部卒。証券会社営業などを経て現在はフリーランスで活動。保険、年金、投資など幅広いジャンルに対応。2級FP技能士。