シャープの採用面接前に知っておくべきこと
■社風への理解
「シャーペン」として親しまれているシャープペンシルの大ヒットにより、一気に成長したシャープ。戦前は鉱石ラジオ、戦後は電子レンジや液晶技術と主力商品を変えながら、時代に合った商品を提供してきました。
シャープの経営信条には「誠意は人の道」「礼儀は美」などと、人道を重視する言葉が並びます。まごころを重視し、利益のために人の道を踏み外すことを戒めるような内容であり、アメリカ的な成果主義からは一線を画しているような印象さえ受けます。実際に1970年代以降経営は苦戦。台湾企業の傘下となった現在も、新しいヒット商品の開発や海外進出などによる経営改革の真っ最中です。
口コミでは、「先輩の後ろ姿を見ながらしっかりと学べる」「技術を身につけられる」などと、学ぶ体制に対する充実度が挙がっているのが特徴。経営改革が推し進められる中、部署によって残業の多さや成果主義度合いなどがまちまちであり、今後の変化にも柔軟に対応していく必要があるでしょう。
困難な状況にあってもまごころを持って仕事に取組み、全員を幸せにする。こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
■選考は何次まで?
シャープの中途採用は、大きく分けて「技術系」と「営業・スタッフ系」の二種で行われています。複数のテーマ(職種)への同時応募は不可ですが、応募職種に不採用となった場合、別のテーマに再度応募することができます。書類の郵送は不可で、インターネットでの応募か、もしくは人材会社を通しての応募のみ受け付けとなるので注意しましょう。
書類選考後、適性検査と面接数回が行われます。経験者の話では3回行われたとのこと。選考期間は2週間から1カ月程度です。適性検査は筆記試験のような内容で、自己アピールの論述や一般教養が出題されたとのこと。
技術職では、学生時代の研究について5分程度でプレゼンするという面接が行われることもあります。また、英語の質問時間が設けられることも。できないからといって必ずしも不採用になるとは限らないようですが、自己紹介や自己PRなどを簡単に英語でまとめて暗記しておくと便利でしょう。英語が得意な人は、ぜひアピールの場にしましょう。
■面接内容の傾向は?
シャープは、長い間経営難に苦しみ、何度も人員削減を行ったのち、2016年台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の子会社となりました。そのため、経営難に関する質問がよく出されます。「経営難なのになぜシャープなのか」については、しっかりと考え、言葉で伝えられるようにしておきましょう。ほかにも、「どうして経営難になったと思うか」「どうすればよかったと思うか」など、今までのシャープの動きを観察していたかどうか、そのときに自分なりの考えを持っていたかどうかなどを問われることがあるでしょう。
それ以外の質問内容は一般的なことが多いものの、面接が圧迫気味だったという声が聞こえてきます。和やかな雰囲気で行われた場合も「上の立場の人を尊重し、会社の雰囲気になじめるかを見られている」という声も。素直さを忘れずに受け答えしたいところです。
シャープの面接攻略法(面接対策)
■シャープの経営戦略を理解した上で自己分析をする
シャープの面接を受ける上では、経営戦略を理解しておくことが不可欠です。主だった戦略には以下のようなものがあります。
8K+5GとAIoTで世界を変える
シャープの経営戦略は今後活躍する人材を採用する人事戦略にも影響します。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの経営戦略に合致する人材であることをアピールしましょう。
今後の事業の中核となるのは、主に3つ。超高精細映像規格である8K、次世代の通信技術である5G、そして人工知能によってモノが学習するAIoTシステムです。AIoTは登録商標ともなっているシャープの造語。家電製品やモバイルのために生まれた技術を、ビジネスソリューション分野で応用していくことを目標にしています。人材募集もこの3つの分野を軸に行われているため、自分がどの分野でどのように活躍したいのか、イメージして面接に挑みたいところ。
また、近年着実に成果が上がっているのが世界への市場拡大。国内市場メインの経営体制から、海外売上高80%にもっていくことが会社としての目標です。英語の面接が行われていることからも、グローバルに活躍できる人材が重宝されることは間違いないでしょう。
■「なぜシャープに転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
シャープの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜシャープか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、シャープという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- ソニー株式会社
- パナソニック株式会社
- サムスン電子株式会社
シャープの採用面接で実際に聞かれた質問内容
このように、シャープの採用面接を受ける前には、行動指針に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「困難に直面しても真心を忘れずに仕事に取り組む」という社風を意識して、「8K+5GとAIoTで世界を変える」ことに真剣に取り組んでいける人材であると印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。
実際に技術がどれだけ普及していくのか、商品として成功するのは何か、どの会社がシェアを奪うのかなどはまだまだ未知数。新技術や新商品でシャープが勝者となるために、どのような貢献ができそうかを、整理しておきましょう。また、海外での経験や海外志向などがあれば、具体的なエピソードとともに簡潔に話せるよう準備しておくといいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
20代前半男性/代理店営業【結果:入社】
20代後半男性/システムコンサルタント【結果:2次面接で不採用】
20代後半男性/人事コンサルタント【結果:内定を辞退】
20代前半女性/技術関連職【結果:2次面接を辞退】
シャープの採用面接に向けて
シャープの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の6つです。
- 「困難な状況でも真心を持って仕事に取り組む」という社風を理解して、これに合致した人材であることをアピールする。
- 英語面接に備え、英文自己PRなどを用意しておく。
- 経営難について今までの経緯を調べ、今後どうあるべきか自分なりの考えをまとめておく。
- 「8K+5GとAIoTで世界を変える」ことにどのように貢献したいかを考えておく。
- 海外経験や、海外志向についてPRすることがあれば、整理して自己PRに落とし込む。
- 競合他社についても研究し、「なぜシャープか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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慶応義塾大学卒業後、大手ITメディア、出版社ライターを経て、旅行会社に勤務。新規事業企画に携わる。