2022年08月09日
【年収研究シリーズ】オリエンタルランド社員の平均年収は高いのか?実際はいくらもらっている人が多い?給与制度は年俸・月給どっち?ボーナスは年何回で合計いくらもらえるのか?年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか?など、年収に関する話題をデータや口コミから明らかにします。就職・転職の判断にご活用ください。
それでは、はじめにオリエンタルランドの平均年収について見ていきます。オリエンタルランドの平均年収は、オリエンタルランドの有価証券報告書によると、491.8万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出したオリエンタルランド年代別年収レンジは、20歳代で310〜360万円、30歳代で420〜470万円、40歳代で520〜570万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1倍の額です。
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 491.8万円 | 39.9歳 | 10.1年 | 5409人 |
2021年3月期 | 451.3万円 | 39.2歳 | 9.8年 | 5375人 |
2020年3月期 | 708.8万円 | 39.9歳 | 10.7年 | 4845人 |
2019年3月期 | 697.2万円 | 41.3歳 | 15.9年 | 3260人 |
2018年3月期 | 672.1万円 | 41.5歳 | 16.2年 | 3194人 |
出典:オリエンタルランド・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
オリエンタルランドの平均年収は前年を上回り491.8万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 325.4万円 | 21.7万円 | 57.2万円 | 292.86万円 |
30代 | 444.4万円 | 29.2万円 | 78.2万円 | 399.96万円 |
40代 | 542.8万円 | 35.4万円 | 95.6万円 | 488.52万円 |
50代 | 564.5万円 | 36.8万円 | 99.4万円 | 508.05万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
オリエンタルランドはその主力事業であるテーマパーク事業において、以下のような点から、他の追随を許さない圧倒的な優位性を保持しています。
1.「ディズニー」というブランド力
最も大きな強みは、アメリカのディズニー・エンタプライゼズ・インク社とライセンス契約を結んでいること。世界中で愛されるディズニー作品をテーマにした東京ディズニーリゾートは、それだけで大きな集客力を持ちます。
2.恵まれた立地
東京駅から電車で約15分。世界で最も人口が多い都市圏である、人口約3700万人の東京都市圏内に位置します。観光客もアクセスしやすく、多くの周辺住民のリピートも期待できる、極めて恵まれた立地です。
また、従業員の質の高さやリピーターを飽きさせない工夫など、同社のホスピタリティの高さには定評があります。
以上のような理由から、東京ディズニーリゾートは常に国内トップ、世界でもトップクラスの入園者数を維持しているのです。
このようにメインのテーマパーク事業で安定した収益を生み続けていることが、オリエンタルランドの高い平均年収につながっているといえるでしょう。
同社の給与体系は、基本給+各種手当の一般的な月給制です。手当には通勤手当や時間外勤務手当、休日勤務手当、早朝・深夜勤務手当といった一般的なもののほか、着替え手当などのユニークなものもあります。着替え手当はコスチュームに着替えなければいけない従業員に対して、一律数百円程度支給されるもの。着替えに要するであろう時間への時間給加算の位置づけです。
ボーナスは基本年2回。「基本給はそれほど高くないが、ボーナスは高い」といった声が多く聞かれます。実際キャリコネに投稿された給与明細から算出すると、基本給の5~7ヶ月分は支給されています。また、8ヶ月分が支給されるといった情報もありますので、ボーナスが高いことは間違いないでしょう。
基本の年2回のボーナスに加え、会社全体で業績が良かった場合は、個人の成績に関わらず特別ボーナスも支給されます。
ただし、2020年は新型コロナウィルス感染拡大による約4ヶ月の休園の影響で業績が悪化したことにより、冬季ボーナスは計画比7割削減する予定で、年収は大きく下がる可能性が高くなっています。
オリエンタルランド社員の給与明細(キャリコネ)
7年で基本給は●万円アップ!
20代販売系(非管理職)の 給与明細
20代(非管理職)の 給与明細
少しずつの昇給でも積み重なれば……
30代(非管理職)の 給与明細
30代(非管理職)の 給与明細
同社では、大きく「総合職」「テーマパークマネージメント職」「専門職」の3つの職種に分かれ、専門職はさらにショーコスチュームコーディネーター、ITエンジニア、技術、調理に分かれます。新卒では、最終学歴により以下のように応募できる職種が決まってきます。
・大卒・大学院卒…総合職、テーマパークマネージメント職、ショーコスチュームコーディネーター、ITエンジニア、技術
・高専卒…技術
・調理専門学校卒…調理
初任給をみると、専門職の調理のみ19万7000円で、その他は21万8000円。初年度からボーナスが若干出たとして、年収ベースで、「調理」は260万円程度、その他の職種は300万円程度です。
一方中途採用では、例えば応募資格が社会人経験3年以上の総合職と2年以上のテーマパークマネージメント職が、共に月収24万5000円以上と同額。テーマパークマネージメント職のうち防火・防災管理担当者は月収22万9000以上ですが、他の職種と異なり、「社会人経験年数は不問」となっています。
初任給の差は小さいですが、職種により賃金カーブが異なり、年次を重ねていくことでその差が大きくなっていきます。
オリエンタルランド社員の給与明細(キャリコネ)
残業代等の違いのみで職種間の差はほぼなし
20代コンサルタント(非管理職)の 給与明細
20代広告宣伝(非管理職)の 給与明細
職種間ではなく時間外手当等の差が影響!?
30代クリエイティブ(非管理職)の 給与明細
30代営業(非管理職)の 給与明細
基本的に年功序列で、一例とし総合職の年収推移を挙げると、1年目で300万円程度、2年目から5年目で350~500万円程度、最速でリーダーアドバイザーに昇進した場合で、6年目で600万円程度となります。ただし年功序列ではあるものの、単に社歴を重ねていくだけでは基本給の大きな上昇は見られず、多くて月5000円程度の昇給です。
「昇進」に成功すれば短期での大幅なアップも期待できますが、昇進試験を受けられるのが入社6年目以降、さらに年2度しかチャンスがなく、難易度も高いといいます。 従って昇進できずに、「大きく年収が増えるタイミングがない」といったケースもあると言わざるをえないでしょう。
なお、順調に昇進すれば、40歳マネージャークラスで年収1000万円程度が期待できます。
オリエンタルランド社員の口コミ(キャリコネ)
不満もあるが納得もある
「良くも悪くも年功序列で、若手には頑張っても評価がなかなか伴わない環境ではあると思う。 みんながあまり差がつかないようになっている。役職が上がらない限りは基本給も安い。ただ……」
年功序列で若い人には厳しい側面が
「安定はしているが、大企業としては決して高収入ではない。 査定はあるものの、部署によって評価軸が異なったり、上司に……」
オリエンタルランドの競合や同業界であるグリーンランドリゾート、伊豆シャボテンリゾート、富士急行、常磐興産、日本スキー場開発の6社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、オリエンタルランドが491.8万円、グリーンランドリゾートが457.2万円、伊豆シャボテンリゾートが519.1万円、富士急行が563.1万円、常磐興産が353.8万円、日本スキー場開発が572.5万円です。
この6社の中で最高額は日本スキー場開発の572.5万円で、最低額が常磐興産の353.8万円。その差はおよそ219万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではオリエンタルランドは4番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
日本スキー場開発 | 572.5万円 | 38.6歳 | 4.9年 | 81人 | 8.62億円 |
富士急行 | 563.1万円 | 38.7歳 | 12.8年 | 187人 | 204.19億円 |
伊豆シャボテンリゾート | 519.1万円 | 37.6歳 | 8年 | 7人 | 19.89億円 |
オリエンタルランド | 491.8万円 | 39.9歳 | 10.1年 | 5409人 | 2309.02億円 |
グリーンランドリゾート | 457.2万円 | 38.3歳 | 11.3年 | 77人 | 39.78億円 |
常磐興産 | 353.8万円 | 42.3歳 | 9.3年 | 519人 | 77.86億円 |
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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