2022年08月18日
【年収研究シリーズ】ヤマハ発動機社員の平均年収は高いのか?実際はいくらもらっている人が多い?給与制度は年俸・月給どっち?ボーナスは年何回で合計いくらもらえるのか?年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか?など、年収に関する話題をデータや口コミから明らかにします。就職・転職の判断にご活用ください。
まずはじめにヤマハ発動機の平均年収を見ていきましょう。ヤマハ発動機の平均年収は726万円です(ヤマハ発動機有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考にヤマハ発動機の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で430〜480万円、30歳代で600〜650万円、40歳代で750〜800万円という結果がでました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.47倍の額です。
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2021年12月期 | 726万円 | 43.8歳 | 20.3年 | 10160人 |
2020年12月期 | 714万円 | 43.3歳 | 19.9年 | 10359人 |
2019年12月期 | 745.6万円 | 42.9歳 | 19.4年 | 10567人 |
2019年3月期 | 760万円 | 43.3歳 | 19.9年 | 10614人 |
2018年3月期 | 740万円 | 43.2歳 | 19.8年 | 10564人 |
出典:ヤマハ発動機・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
ヤマハ発動機の平均年収は前年を上回り726万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 445.6万円 | 25.4万円 | 112.3万円 | 401.04万円 |
30代 | 615.8万円 | 34.6万円 | 155.4万円 | 554.22万円 |
40代 | 765.3万円 | 42.6万円 | 193.2万円 | 688.77万円 |
50代 | 904.7万円 | 50.2万円 | 228.5万円 | 814.23万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
ヤマハ発動機の年収が高い理由として、まず挙げられるのは賞与の金額の多さです。
賞与の支給額は、毎年の春闘により決定されます。直近の実績を見ると、2019年6.0ヶ月、2018年6.3ヶ月、2017年5.8ヶ月、2016年6ヶ月と、平均して6.0ヶ月分程度と、大変高い水準を保っています。
続いて挙げられるのは、海外駐在員の手当の高さです。同じ階層であっても、国内で勤務するケースと比べて「年収に200~300万円の差がつく」ようで、手当のボリュームがいかに大きいかが分かります。
年収自体の高さはもちろんですが、メインの勤務地が静岡県西部であり、「田舎な分、生活費が安く、困らないレベル」という声も社員から多く聞かれます。中途採用サイトには、「転職移住者アンケート」や「オフを楽しむ社員たち」といった記事も掲載されており、仕事・報酬面のみならず、暮らしという意味でも魅力的な会社であることが伺えます。
ヤマハ発動機の給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回(6・12月)の賞与で構成されています。
諸手当は、資格手当・家族手当など、一般的なものがほとんどですが、注目すべきは福利厚生制度の充実ぶりです。「オンタイムとオフタイムの両立が感動を味わうための秘訣」というのが会社のポリシーであり、ソフト(制度)・ハード(施設)両面で充実しています。財産づくりに関しては、従業員持株会はもちろん、社員預金には会社からの金利上乗せもあります。また自社製品のみならず、ヤマハ㈱商品(CD・楽器など)に関しても社員割引が適用されることは大きな魅力です。
「報酬は大手製造業の中では決して高くない」という口コミも見られます。しかし、格安の家賃の寮が完備されているため、「生活するには不満のないレベル」のようです。
ヤマハ発動機社員の給与明細(キャリコネ)
20代と30代では年収200万円の差が!
20代技術(非管理職)の 給与明細
20代技術(非管理職)の 給与明細
30代では賞与が200万円超
30代(非管理職)の 給与明細
30代(非管理職)の 給与明細
ヤマハ発動機の職種は、営業・物流・広報や管理系等の「事務系総合職」と、研究開発・生産技術・品質管理等の「技術系総合職」の2つに分類されます。
職種によって処遇が異なることはなく、2つの職種共通の賃金制度が適用されるため、社内的な階層によって賃金のグレードが決まります。また、初任給は以下の通り、学歴別に設定されています。
【2018年度実績】
・高専卒 18万5000円
・大学卒 21万0000円(高専専攻科卒含)
・修士了 23万2000円
・博士了 26万1000円
中途採用の募集要項を見ても、職種や配属職場によって処遇が異なることはなく、「経験、能力等を考慮し、規定により」決定され、「月給23万円~40万円」の範囲内で決定されるようです。年代別の年収目安としては、30歳で500~600万、35歳で700~750万、40歳で800~900万といったあたりです。基幹職に昇格すると(早ければ30代後半で昇格可能)、1000万を超える報酬を得られるようです。
ヤマハ発動機社員の給与明細(キャリコネ)
同年次なら年収もほぼ同じ
20代技術(非管理職)の 給与明細
20代営業(非管理職)の 給与明細
評価によって徐々に差が
30代管理部門(非管理職)の 給与明細
30代技術(非管理職)の 給与明細
上述のとおり、社内の階層によって報酬レベルが決められているため、年収を上げるためには、一定以上の評価を得て、昇格することが必要です。
ヤマハ発動機の評価制度は「目標管理」によるもの。期初に年間の定量達成目標を上司とともに設定、その達成度に応じて5段階で評価され、その結果が昇給額や賞与に反映されます。主任クラスまではその達成プロセスが、基幹職以上になると成果自体が重視されることが特徴です。
とはいえ、昇格順は年功序列で決められる文化も根強く、「個人差は非常につきにくい」「村社会的、上司の好き嫌いにより評価が決まる」という声も。その一方で人材育成にも力をいれていることも、ヤマハ発動機の大きな特徴。「自立・高度化」「チームワーク」「グローバル」の3つが人材育成の軸として掲げられており、様々な制度が施行されています。社内人材公募制度である「セルフ・バリュー・チャレンジ制度」や、入社4年目までに総合職全社員が海外経験を積める研修プログラム等が代表例です。こうした取り組みにより、全社員のスキルが底上げされ、ある程度の年次までは「個人差がつきにくい」状況が生まれているとも言えるでしょう。
ヤマハ発動機社員の口コミ(キャリコネ)
年功序列の風土は根強い
「個々の目標設定は明確に設定される 年功序列の色合いが強く、個人差は非常につきにくい……」
昇格直前は戦略的に高い評価を付けられることも
「出世はほぼ年功序列、若手はモチベーションを保ちにくい 主任昇格前は良い評価がつきやすい……」
ヤマハ発動機の競合や同業界である本田技研工業、スズキ、川崎重工業の4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、ヤマハ発動機が726万円、本田技研工業が778.7万円、スズキが665.7万円、川崎重工業が683.8万円です。
この4社の中で最高額は本田技研工業の778.7万円で、最低額がスズキの665.7万円。その差はおよそ113万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではヤマハ発動機は2番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
本田技研工業 | 778.7万円 | 44.7歳 | 22.2年 | 34067人 | 34542.63億円 |
ヤマハ発動機 | 726万円 | 43.8歳 | 20.3年 | 10160人 | 7578.1億円 |
川崎重工業 | 683.8万円 | 40.5歳 | 14.9年 | 13381人 | 8922.03億円 |
スズキ | 665.7万円 | 40.8歳 | 18.3年 | 16267人 | 16907.61億円 |
ヤマハ発動機の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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