ファンケルの平均年収は588.7万円
それでは、はじめにファンケルの平均年収について見ていきます。ファンケルの平均年収は、2020年3月期の有価証券報告書によると、588.7万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出したファンケル年代別年収レンジは、20歳代で380〜480万円、30歳代で510〜610万円、40歳代で640〜740万円となっています。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は503.5万円(国税庁・平成30年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.17倍の額です。
■ファンケルの平均年収推移
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2020年3月期 | 588.7万円 | 39.6歳 | 12年 | 1055人 |
2019年3月期 | 595万円 | 39歳 | 11.7年 | 1018人 |
2018年3月期 | 565.9万円 | 38.7歳 | 11.4年 | 964人 |
2017年3月期 | 546.1万円 | 39.3歳 | 12.1年 | 743人 |
2016年3月期 | 563.5万円 | 38.8歳 | 11.7年 | 703人 |
出典:ファンケル・有価証券報告書
540~590万円間を行ったり来たり
ファンケルの過去5年間の平均年収は、540~590万円の中で増減を繰り返しています。2016年から2017年は、563.5万円から546.1万円と約20万円ダウン、しかし2018年には復調し、2019年には595万円にまで達しています。再び2020年は減少しますが、減り幅はわずかであり、588.7万円という結果です。
これは、ファンケルの業績と連動しています。単体の売上高は、国内需要が堅調に推移、かつインバウンド需要も寄与したこと、さらに新製品戦略や販路拡大が奏功し、5年連続増収を続けています。一方、営業利益については、2017年3月期には損失を計上しますが、2018年以降は大幅な増益を続けています。こうした業績の動きが、平均年収の動きにつながっているのです。
ファンケルの年代別平均年収と中央値
■ファンケルの年収中央値は30代で500.1万円
平均年収は収入における目安のひとつですが、実際にもらえる額とは大幅に違うこともしばしばです。年収実態により近いファンケルの年収中央値を世代別に見ていきます。下の表はファンケルの20代から60代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値一覧です。
ファンケルの年収実態
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 423.8万円 | 30.1万円 | 67.8万円 | 381.42万円 |
30代 | 555.7万円 | 38.9万円 | 88.9万円 | 500.1万円 |
40代 | 686.2万円 | 45.7万円 | 137.2万円 | 617.58万円 |
50代 | 797.2万円 | 53.1万円 | 159.4万円 | 717.48万円 |
60代 | 505.8万円 | 35.4万円 | 80.9万円 | 455.22万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
ファンケルは、通販主力の無添加化粧品メーカーであり、業種としては「製造業」に分類されます。この業種の平均年収は、全業種平均に比べると若干低い水準です。全業種平均は、20代が233.8万円、30代が320.6万円ですが、製造業平均は20代が219.8万円、30代が288.2万円です。すべての年代において、20~40万円程度下回る傾向が見られます。
こうした製造業において、ファンケルの年収中央値はすべての年代において業種別平均を大きく上回ります。20代は381.42万円、30代は500.1万円と、業種別平均の約1.7倍です。年代によっては300万円近く上回るケースもあり、いかにファンケルの年収が高いかが分かります。
ファンケルの給与体系・内訳
■入社後6年目までは「誕生日プレゼント制度」あり
ファンケルの給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回の賞与で構成されています。
諸手当は、時間外勤務手当・交通費などが主なものですが、「エリア限定正社員」については勤務地に応じて「地域手当」が支給されます。また、福利厚生として、食事手当(3500~5000円程度)、よいこ手当(子1人に対して月1万円、満18歳まで)なども支給されています。さらに福利厚生はこれ以外にも、社員割引(自社製品を3割引きで購入可能)や、ユニークなところでは「誕生日プレゼント制度」も。これは、入社後6年目まで社長から社員の自宅にバースデーメッセージと商品が届けられるもので、社員を大切にする社風が伺えます。
賞与は口コミによると、「年間4~4.5ヶ月分程度」ですが、さらに、「業績が良い場合は決算賞与も支給される」とのこと。しかしこの水準は、正社員を対象とするもので、エリア限定正社員に関しては、年間2ヶ月分程度と、かなり差があるのが実態のようです。
ファンケル社員の給与明細(キャリコネ)
20代から30代で年収130万円アップ
20代販売系(非管理職)の 給与明細
20代販売系(非管理職)の 給与明細
20代と30代でほぼ同年収のケースも
30代(非管理職)の 給与明細
30代(非管理職)の 給与明細
ファンケルの職種別年収
■正社員/エリア限定社員では処遇が異なる
ファンケルでは、雇用形態として「正社員」「エリア限定社員」の2つに区分されています。「正社員」は総合職、研究職、生産技術職、販売職など、幅広い職種での活躍が期待されます。「エリア限定社員」は、各店舗の主力として店舗運営を担うことが役割、かつ転勤は基本的にありません。
この2つの雇用形態では、給与体系も大きく異なります。前項の通り、賞与の基準月数も異なりますし、初任給も、雇用形態別→学歴別に以下の通り設定されています。
<初任給>
【正社員:総合職・生産技術職・販売職】
●修士・博士了/月給222,000円
●大卒/月給211,000円
●短大・専門・高専卒/月給183,000円
【正社員:研究職】
●博士了/月給253,000円
●修士了/月給228,000円
●大卒/月給211,000円
【エリア限定正社員】
●【関東】東京23区内:202,000円※その他首都圏(東京都23区外、埼玉県、神奈川県、千葉県)は192,300円
●【関西】大阪市内:200,000円 ※その他関西圏(大阪市除く大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)は192,300円
●【名古屋市内】名古屋市内:200,000円
正社員に限定した年代別想定年収としては、20代が250~500万円、30代が500~600万円、以降は役職によって異なり、課長級で700~750万円、部長級になると850万円を超える水準となります。
ファンケル社員の給与明細(キャリコネ)
賞与の金額が大きな年収差に
20代販売系(非管理職)の 給与明細
20代カスタマーサポート(非管理職)の 給与明細
同じ30代でも100万円近い年収差が生まれることも
30代技術(非管理職)の 給与明細
30代管理部門(非管理職)の 給与明細
ファンケルで年収を上げる方法
■管理職へのアセスメント試験は狭き門
ファンケルの給与は、職責ランクに応じて設定されているため、年収を上げるためには職責ランクを上げることが必要です。この評価・昇格の仕組みも、正社員とエリア限定正社員では以下の通り異なっています。
●正社員の場合
賞与・昇格昇級は、年2回の目標管理・相対評価によって決定されます。評価は、S~Dランクの5段階ですが、口コミによると「S評価を2回連続してとらないと給与は上がらない仕組み」とのこと。また職責ランクは、新入社員→L2職→L1職→M職という階層に分かれていますが、L1職からM職への昇格については、「アセスメント試験があるが、受かる人はほとんどいない」と狭き門であるようです。
●エリア限定正社員
年1回(12月)アセスメント試験が行われ、その結果によって翌年の職責ランク・昇給額が決定されます。アセスメント試験の内容は、筆記(製品知識)、メイク実技、接客ロールプレイングの3つですが、「社内資格を取ると、アセスメントで加点される」こともあるそうです。キャリアアップの流れとしては、ビューティアドバイザー→店長→SV→研修トレーナー、という順に昇格していきます。こちらについても、「入社から3年ほどでやる気があれば店長になることも可能」である一方、「更にその上に行こうとすると、厳しい」ようです。
また、エリア限定正社員の場合は、「正社員登用制度」を利用することで、正社員へ転換することが、大きな年収アップにつながります。
ファンケル社員の口コミ(キャリコネ)
頑張り・やる気が昇格につながる
「入社から3年ほどでやる気があれば店長になることも可能 頑張っている人を評価してくれる……」
年功序列の風土が根強い?
「個人目標の達成度合いはあまり重要視されていない 成果主義を謳っているが実質は年功序列……」
ファンケルのライバル企業と比較
■化粧品大手メーカーに追随する水準に
ファンケルは、通販主力の無添加化粧品メーカーであり、サプリや健康食品も展開しています。ライバル企業として、化粧品最大手の資生堂、化粧品大手のコーセー、化粧品・トイレタリーを展開する花王の3社を取り上げます。
ファンケルの平均年収が588.7万円であるのに対し、資生堂は716.5万円、コーセーが635万円、花王は812.4万円です。化粧品以外にも幅広く事業展開し、売上高・営業利益ともに他3社を圧倒する花王は、やはり平均年収も群を抜いています。他3社の中ではファンケルは最も低い水準ですが、コーセーとはわずか45万ほどの差。ここ数年の平均年収の伸びにより、化粧品大手にも引けを取らない水準にまで達していることが分かります。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
ファンケル | 588.7万円 | 39.6歳 | 12年 | 1055人 | 1096.3億円 |
資生堂 | 716.5万円 | 39歳 | 11.9年 | 3961人 | 3036.6億円 |
コーセー | 635万円 | 36.3歳 | 12.3年 | 1284人 | 680.4億円 |
花王 | 812.4万円 | 40.6歳 | 17.7年 | 7905人 | 9351.2億円 |
出典・参考
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績-」
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2020年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。