プリンスホテルの採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
訪日客の増加により堅調な推移を続けているホテル業界。オリンピック後の景気を不安視する声や、外交問題の成り行きが不透明であることなど不安要素はいくつかあるものの、しばらくは増収が見込まれており、業界全体に明るさと活気があります。
「総合力でNo.1のチェーンホテル」を目指すプリンスホテルは、業界を牽引する存在。ホテル事業に加えて、ゴルフ事業、スキー事業、その他レジャー事業の4つの分野で多角的な経営を行っています。総売上高1905億円(2017年度)、ホテル数74件(海外含む)、総客室数21000客室(2019年1月)という規模は国内でも最大級です。
社風に関する口コミ内容は「体育会系」と「アットホーム」に二分されます。社歴が10年以上となる比較的長めの在籍社員が「社風は体育会系」と評する傾向にあります。上司の指示は絶対、精神論中心の指導が長らく主流だったようです。一方、2010年以降の口コミでは「風通しがよい」「サークルのよう」「役職者を○○さんと呼び、フレンドリーな関係性を築けている」といった表現が増えてきます。24時間年中無休というホテルの特性上、社内の公式イベントはわずかですが、それぞれの部署ごと・関係性ごとでコミュニケーションの場(食事会やスポーツ大会)が設けられ、親睦を深めている様子が各口コミからうかがえます。
社風の変化には、数年前から行っているコンプライアンス研修の実施と関係がありそうです。会社が率先して啓蒙活動を行っており、コンプラ関連のポスターが社内各所に貼られ、社員には定期的な講習会への参加が義務づけられています。その甲斐あって末端社員までコンプライアンス遵守の意識が浸透していると評価する声も。実際に「ハラスメントにあった」旨の話は社内でほとんど耳にしないとのことです。また法令順守という観点では、サービス残業撲滅についても施策が進んでいます。残業代は一分単位で支給。タイムカードに出勤時刻を打刻してからでないと、PCを立ち上げてはいけない決まりなっているほどの徹底ぶりです。こうした動きをうけて全社的に残業時間は減りつつありますが、社内では紙作業もまだ多く、社内システムが整っていない部分もあるようで今後の改善が望まれています。
社風においてもうひとつ特徴的なことは、学歴によって配属される部に偏りがあることです。大卒の場合は現場研修もそこそこに管理系職種に配属になります。専門学校や短大卒は現場研修後そのまま正式配属となり、一度配属先が決まると入社後の大きな配置転換はあまり無いようです。大卒初任給がベテランの専門学校卒よりも高い設定になっており、社内には学歴コンプレックスと人事制度に対する不満が存在するとの口コミが散見されます。
年齢や経歴の異なる同僚・先輩とコミュニケーションをとる際は、こういった社風や風土があることをふまえ、十分な気配りや配慮を意識する必要がありそうです。
■選考は何次まで?
プリンスホテルは中途入社者をコーポレートサイト上の採用ページで募集することが多く、求人広告を積極的に掲載することは少ないようです。今後プリンスホテルが新たに開業するホテルに興味がある人は、求人をこまめにチェックをするか、直接企業に問い合わせして情報を集めにいくとよいでしょう。
プリンスホテルの選考フローは、入社時に希望される雇用形態や職種によって異なります。正社員職種の場合、面接を複数回行います。一次は現場責任者クラスで、二次面接官は人事部長となることが多いようです。契約社員の場合は1回の面接で合否が判明します。筆記試験はありません。面接官は人事担当者もしくは現場の責任者。英語が必要な部署では、面接官とは別に英語スキルをチェックする役割の社員が同席するケースもあります。
年末年始やゴールデンウィークなどの繁忙期があると面接日の設定が遅れることがあるものの、早ければ10日前後、遅くとも3週間前後で内定が出ます。
過去の口コミによると、面接官は年配の男性となることが多いようですが、ホテルマンとしての高い接遇スキルが面接でも発揮されるとのことで、威圧的な質問はありません。リラックスして話せるような雰囲気づくりに配慮してくれ、穏やかな空気の中で会話することができるとのことです。
■面接内容の傾向は?
サービス系職種の中には未経験であっても応募できるポジションがあります。そういった職種では即戦力よりも、適性(接客向きか)や志望度(仕事を選んだ理由が明確)を重要視しており、定着性の有無を面接で確認しています。
プリンスホテルでは、自社組織に適応する人材を4つの観点で測っています。
●おもてなしの精神を持っているか。様々なタイプの顧客に好印象を常に与えられるか。
●遊び心を有しているか。顧客の笑顔と感動を創出することができるか。
●チームワーク力があるか。異なる立場や考え方の仲間と協力して目標に向かえるか。
●バイタリティがあるか。ホテルは24時間営業。シフト制の中で体力・気力を保てるか。
この4点は、プリンスホテルが高い顧客満足度と収益性を維持していくうえでも非常に重要視しているパーソナリティです。面接対策として自己分析を行う際には、自分の業務経験の中からこの4つに該当するエピソードを集めてみましょう。志望動機の場面で伝えてもよいですし長所や強みを聞かれた場面で話すのも効果的です。ポイントは「場面設定」にあります。できるだけ辛かった・大変だった場面のエピソードを選びましょう。ハプニングやクレームの中で、どう解決したかという内容のものが評価されやすいです。失敗や挫折を成長に変えられるかといった点も、同社には大きなPRになります。
業界経験者の場合は、過去に勤めていたホテル名や施設のコンセプト、客層や稼働率など詳しくヒアリングされます。仕事をする上でのポリシーや、今後のキャリアパスをどう考えているかについてもしっかりまとめておきましょう。
職種によっては英語が必須のことや、貴賓客や要人の接客など専門的な経験が求められることもあるので、求人票内容をよく確認しましょう。応募条件に記載のある項目は企業が重要視しているスキルになるので、何をどのレベルで行えるのかスキルを言語化しておくことが大切です。
プリンスホテルの面接攻略法(面接対策)
■プリンスホテル中期経営計画を理解した上で自己分析をする
プリンスホテルの採用面接を受けるにあたり、所属する西武ホールディングスの中期経営計画(~2021)を理解しておきましょう。
西武グループはホテル事業を成長産業と位置付けており、積極的な投資を行っています。2020年以降、顧客ニーズを的確に捉えた新しいタイプのホテルを続々と開業させる予定です。
そのひとつが「プリンススマートイン」。これまでプリンスホテルは、「ザ・プリンス」「グランドプリンスホテル」「プリンスホテル」の3つのブランドで展開してきましたが、4つ目のブランドを作りました。一定規模以上の都市や新幹線停車駅、地方空港周辺などまだ進出していない地帯に宿泊特化型のホテルを誕生させます。予約時からチェックアウトまでの一連の流れが「スマート」であり、機能性、利便性に優れたホテル運営を目指すとしています。
プリンスホテルだけでなく、各チェーンが新タイプのホテルを続々と誕生させています。競合他社が多い業界なので、イノベーションや新たな付加価値を提供していかないと淘汰されてしまいます。面接では「ホテル関連のニュースで最近気になったものは?」「これからのホテル業界がどうなると思うか?」といった質問をされることがありますので、プリンセスホテルを含めた業界の動向を調べ、自分なりの見解をまとめておきましょう。その際、こうなるだろうという予測だけを語るのではなく、その予測に対して「だから自分はこんな仕事がしたい」「こんな貢献をしていきたい」といった自己PRに繋がる内容にしておきましょう。
■「なぜプリンスホテルに転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
プリンスホテルの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜうちの会社なのか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面もあわせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、プリンスホテルという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他ホテルチェーンの研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 株式会社帝国ホテル
- 株式会社ニュー・オータニ
- 株式会社ホテルオークラ東京
- リゾートトラスト株式会社
プリンスホテルの採用面接で実際に聞かれた質問内容
このように、プリンスホテルの採用面接を受ける前には、中期経営計画に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、おもてなしの心やバイタリティを持っている人材であると訴求できるよう、それに沿ったエピソードを複数用意しておきましょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、十分に考えながら面接対策しておきましょう。
20代前半・男性/調理職【入社】
40代前半・女性/カスタマーサポート職【入社】
30代前半・男性/総務職【一次面接で不採用】
10代後半・男性/料飲スタッフ【入社】
プリンスホテルの採用面接に向けて
プリンスホテルの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 同社が求める人物像(4つ)を把握し、それに沿ったエピソードを伝えることで組織に貢献できる人材であるとアピールできるようにしておく。
- 中期経営計画を理解したうえで、ホテル業界の動向について研究しておく。競合企業が多い関係の中で、どのような付加価値をつけて差別化を行っていくか、自分なりの考えを伝えられるようにまとめておく。
- 競合他社について研究し「なぜプリンスホテルか」に対する答えを明確にしておく。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
北海道大学文学部卒業。専攻は社会学。小売業界を経て人材業界に転職。20代~30代向けの転職支援を行うキャリアコンサルタント。