いすゞ自動車の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
1916年創業、日本を代表する大型ディーゼル車メーカーのひとつとして名を馳せるいすゞ自動車。乗用車部門への進出とその不振により一時は経営危機に陥るも、国内生産拠点の集約、大規模な人員削減などの施策が功を奏し、ディーゼル排気ガス規制強化に伴う特需の波にも乗り、再建を果たしました。2019年にはボルボ・グループとの戦略的提携に合意。ボルボ傘下のUDトラックス買収による今後の事業戦略や、ボルボとの協業に注目が集まります。
そんないすゞ自動車の口コミには「古い体質」「年功序列」「学閥」といった言葉が並び、歴史ある大企業ならではの旧態依然とした職場環境があることがうかがえます。部署によって残業時間や職場内の風通しの良さが大きく異なる縦割りの組織文化、年功序列の評価制度、女性管理職の少なさなどに不満を覚える社員も少なくないよう。
一方で、「福利厚生は並み以上に整っている」「残業代がきちんとつく」「女性比率は少ないが働きやすい制度が整備されている」との声もあり、社員が安心して働ける制度や環境があるようです。そのため、体質の古さを「古き良き日本企業的だ」と受けとめる向きもあります。また、裁量度の高い業務内容や、多くの産業を支える商用車づくりにやりがいを感じる社員も多く、「自動車が好きという人には本当にいい会社」という口コミも見受けられます。
歴史ある大企業ゆえの体質の古さは否めないものの、安定した環境の中で高いやりがいをもって働ける。こうしたいすゞ自動車の社風に合うかどうかは、中途採用において応募者側・採用者側どちらにとっても重要なポイントとなります。
■選考は何次まで?
書類選考通過後、通常1~2回の面接があります。口コミによると、書類通過後に筆記試験を挟む場合や、人によって面接回数が異なる場合もあるようです。また、1次面接の結果が出るまでに2か月かかったという人もおり、スピーディな選考を望む場合はその旨を先方に伝えておく必要があるでしょう。
現在、いすゞ自動車では本社と藤沢工場の2拠点を勤務地として、開発部門・営業部門・管理部門などの部署で中途採用を行っています。口コミによると、面接では人柄をじっくり見極める人物重視傾向にあります。スキル面でのアピールポイントを整理することはもちろん、自分の人となりをどのように面接で伝えるのが効果的か、事前にしっかり対策をして臨みましょう。面接内容の傾向についての詳細は次項をご覧ください。
■面接内容の傾向は?
奇をてらった質問より、「志望動機は?」「これまでの経歴は?」といった中途採用面接としては一般的な質問から応募者の人となりを見極めようとする傾向があります。自己分析を徹底し、自分の強み・弱みをはじめ、「自分はどのような人間か」を的確に伝えられるよう整理しておきましょう。これまでのキャリアも棚卸しし、「いすゞ自動車に入社後はキャリアをどのように活かせるか」と交えて語れる用意をしておくと役立ちます。企業研究は入念に行い、入社への意気込みをしっかりと伝えられるようにしておきましょう。
「古い体制の残る会社だが大丈夫か?」「地味な企業だがどう思うか?」など、組織風土や職場の雰囲気を率直に伝えられ、応募者が受容できるかどうかを確認されることもあるようです。入社後、それまで抱いていたイメージとのギャップを理由に離職する……ということは、企業側にとっても避けたい事態。企業研究の段階でそのギャップをできるだけ埋めておきたいところですが、上記のような質問をされた場合、どのように答えるかも考えておくとよいでしょう。その際、「仕事をする上で自分が最優先したいこと」を明確にしておくと、良い判断基準となります。また、落ち着いて答えられるよう質疑応答のシミュレーションをしておきましょう。
いすゞ自動車の面接攻略法(面接対策)
■いすゞ自動車の中期経営計画を理解した上で自己分析をする
面接に臨む前に必ず押さえておきたいのが、いすゞ自動車の中期経営計画(2019~2021年度)です。
独自の事業を通じて社会を支える「CV(商用車)・LCV(ピックアップトラック)とパワートレインのエクセレントカンパニー」へと成長することを2030年までの中長期ビジョンとして掲げるいすゞ自動車。この中期経営計画を足がかりとして設定し、過去最高の売上高を達成した前中期経営計画の施策継続とレベルアップにより、中長期ビジョンを実現するための基盤を構築したい考えです。
テーマは「深化と進化」。好調を保つ既存事業のうち、中核事業での「収益性拡大」と中長期ビジョン実現に向けた「進化的取り組み」の2本柱で事業展開していく方針です。
顧客のニーズや課題を直接すくい上げ解決することで新規ソリューションを生み出し、販売台数の7割以上を占める海外での展開もさらに拡大。LCV・パワートレイン事業もそれぞれ強化するなど、これまでの戦略をより積極的なものにシフトしていきます。製品をさらに高付加価値なものとするために先端技術開発を各領域でスピードアップ、攻守一体のIT戦略によるデジタルイノベーションの推進、産業を支える新規事業の創出など、中長期ビジョンを見据えた「進化」施策にも力を注ぎます。
また、事業を通じて社会課題にもコミットし、社会における同社の価値を確かなものにすることで、企業としての持続的成長をも叶えるのがいすゞ自動車の姿勢。社会の成長に貢献してこそ中長期ビジョンの達成があります。
中途採用においても、将来を見据えた中期経営計画を理解し、社会といすゞ自動車の持続的成長のために広い視野で働ける人材が求められていると言えるでしょう。したがって、採用面接に臨むにあたっては、中期経営計画をしっかりと理解し、自己分析に落とし込んでおくことが必要です。
■「なぜいすゞ自動車に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
いすゞ自動車の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜいすゞ自動車か」というものがあります。志望動機を問うことで面接官が知りたいのは「入社後に何がやりたいのか」「これまでのキャリアをどのように活かすつもりなのか」といったキャリアビジョン的な要素を含めた、入社への熱意です。「どれだけ企業研究をしてきたか」「どれくらい当社のことを理解しているか」も併せてアピールすることで、入社への意気込みや、今後の仕事への意欲を面接官に理解してもらえる可能性は高くなります。
業界理解や職種理解の枠を超えて、いすゞ自動車という企業についてしっかりと理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、商用車の製造・販売において競合する以下のような企業について調べておくのがおすすめです。
- 三菱ふそうトラック・バス株式会社
- 日野自動車株式会社
いすゞ自動車の採用面接で実際に聞かれた質問内容
いすゞ自動車が目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのか、企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。いすゞ自動車の場合、歴史ある大企業ゆえの体質の古さは否めないものの、安定した環境の中で高いやりがいをもって働ける社風であることを意識して、「社会といすゞ自動車の持続的成長のために広い視野で働ける人材」だと印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。自分ならこれらの質問にどのように答えるか、質疑応答シミュレーションの一環としてぜひ考えてみてください。
[20代後半・男性/研究開発] 【結果:内定を辞退】
[20代前半・男性/研究開発] 【結果:結果待ち】
[20代後半・男性/財務] 【結果:入社】
[20代後半・男性/財務] 【結果:入社】
いすゞ自動車の採用面接に向けて
いすゞ自動車の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 歴史ある大企業ゆえの体質の古さは否めないものの、安定した環境の中で高いやりがいをもって働ける社風であることを理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
- いすゞ自動車の中期経営計画を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
- 競合他社についての理解を深め、「なぜいすゞ自動車なのか」に対する答えを明確にしておく。
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大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。