大王製紙の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
1943年、愛媛県で新聞紙や産業用紙の製造からスタートした大王製紙。かつて経営破綻や「大王製紙事件」を経験するも再建に成功し、製紙メーカーとしては現在国内4位。特に家庭用ティッシュペーパーなどの「エリエール」ブランド製品は高い知名度を誇る主力商品です。2016年には創業者の志に立ち返った「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」を経営理念に採用し、積極的に事業を展開しています。
口コミによると、大王製紙の社風は古風でトップダウン傾向が強いことが特色のようです。「社の方針に100%従える従順さが求められる」「体育会系で精神論的」との声も。一方で、大王製紙事件後、創業家出身者による経営から脱して経営再建を果たした経営陣を評価する口コミも見受けられます。「(再建は)トップダウンの経営方針ゆえに成し遂げられた偉業」と見る社員や、「経営指示が迅速に末端まで行きわたる点が強み」と分析する社員もいます。経営陣の策定する方針を忠実に実現する、社員の結束力が組織としての強さを生み出しているようです。「社風に染まる覚悟、もしくは何があろうと自分を貫き通す覚悟を」という口コミもあるように、大王製紙で働く上で社員の「結束力」「忠実さ」は重要なキーワードと言えるでしょう。
また、労働時間チェック体制が整備されていたり、女性が長く働き続けられる制度が揃っていたりと、社員が働きやすい環境があります。「誠意と熱意」を社是に掲げる大王製紙。組織の構成員として社員を大切にする一面もあります。結束力を重視する、古風かつトップダウン傾向の強い社風にフィットする人材であるかどうかは、面接時に採用側が見極めたいポイントのひとつです。
■選考は何次まで?
大王製紙の選考プロセスはコーポレートサイトへのエントリーから始まります。書類選考を通過後、2~3回の面接があります。選考期間は1週間~1ヶ月程度のことが多いようです。
口コミには、圧迫面接だと感じた人が散見されるため、面接官が多少高圧的な場合もあると覚悟しておく必要があります。また集団面接の場合もありますので、その場で困惑しないよう心の準備をしておきましょう。
2020年2月現在、大王製紙ではエンジニア職や商品開発職などの職種で中途採用を行っています。面接では人柄とともに実務能力を重視する傾向があります。自分のどのような面が大王製紙の組織風土の中で活かせるのか、またそれをどのようにアピールするべきか、事前にしっかりと対策して臨みましょう。
■面接内容の傾向は?
志望動機や転職理由など、中途採用面接では一般的と言える質問が多いようです。オーソドックスな質問を重ねる中で、応募者の人柄を見定めようとする傾向が見られます。特色ある大王製紙の社風に順応できる人物であるかどうかは重要なポイントです。綿密な自己分析と企業研究を行い、実際の面接では、質問の核心をとらえた的確な回答とはきはきした応対を心がけましょう。「仕事をする上で最も重視していること」「苦境を乗り越えた経験」「これまでのキャリアで得たもの」など、自己分析の結果を項目別に整理しておくと役立ちます。「ともに働きたい人物」だと印象づけられるエピソードをいくつか選定し、話の流れに応じて披露できる準備をしておくのもよいでしょう。
「当社の製品を今後どうしていきたいか?」と聞かれた人(技術関連職)や、「好きな商品を家族にセールスするシミュレーション」を要求された人(営業職)も。大王製紙で実際に仕事をするにあたって必要な実務能力を問われる傾向もあるようです。中途採用の場合、入社すれば即戦力として見なされ、待遇相応のパフォーマンスを求められます。自分の希望する職種ではどのようなスキルが要求されるのかを熟考の上で面接に臨みましょう。シミュレーショントークを要求されることを想定して、いくつか仮定の題目をこなしてみるのも有効です。
また、「転勤は可能か」という質問をされることもあるようです。入社してから会社の指示と自分の意思とのミスマッチを招くことのないよう、転勤の可否に関して自分なりの答えを出しておきましょう。
大王製紙の面接攻略法(面接対策)
■大王製紙の「Move on 革進と飛翔」を理解した上で自己分析をする
大王製紙の面接を受ける前に、第3次中期事業計画「Move on 革進と飛翔」を理解しておきましょう。
大王製紙が目指す姿は上図の通りです。「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」という経営理念のもと、社会への貢献を常に意識した事業活動を行うことで、社会の繁栄と企業としての価値向上の両方を実現することを目指します。利潤追求のみならず、社会全体の「やさしい未来」にコミットしていくことが大王製紙の目指す企業像と言えます。
こうしたビジョンに基づき、上図のような第3次中期事業計画が策定されています。これまで培ってきた製造面での強みを活かして生産ポートフォリオの変革を行い、競争優位性をさらに向上させることを第一の課題としています。メディア用途の用紙需要が減少する中、製品分野は「梱包・包装用途紙」へとシフトさせていく方向です。国内でのブランド力をより強固なものにするとともに、海外への製品展開も今まで以上に積極的に行っていくとしています。
また、経営基盤を堅固にするための施策にも注力する方針です。持続的成長を叶えるためのESGへの取り組み、業務改革の推進による経営効率化、働き方改革を重点的に進めていくことが発表されています。特に働き方改革では、社員ひとりひとりの生産性・効率性の向上を目標のひとつとしています。中途採用においてもこの点に貢献できる実務能力の高い人材を求めていると言えるでしょう。したがって、第3次中期事業計画をしっかりと理解し、実務能力をアピールすることができれば有利です。
■「なぜ大王製紙に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
大王製紙の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ大王製紙か」というものがあります。志望動機を問うことで面接官が知りたいのは「入社後に何がやりたいのか」「これまでのキャリアをどのように活かすつもりなのか」といったキャリアビジョン的な要素を含めた、入社への熱意です。「どれだけ企業研究をしてきたか」「どれくらい当社のことを理解しているか」も併せてアピールすることで、入社への意気込みや、今後の仕事への意欲を面接官に理解してもらえる可能性は高くなります。
業界理解や職種理解の枠を超えて、大王製紙という企業についてしっかりと理解する。そのためには競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。「なぜ他社ではなく大王製紙なのか」を自分なりの言葉で理路整然と説明できれば、志望動機の説得力が増します。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 王子製紙株式会社
- 日本製紙株式会社
- レンゴー株式会社
大王製紙の採用面接で実際に聞かれた質問内容
大王製紙が目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。大王製紙の場合「結束力を重視する、古風かつトップダウン傾向の強い社風」を意識して、「組織になじみながら実務能力を惜しみなく発揮できる人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
[20代後半・男性/技術関連職] 【結果:3次面接を辞退】
[20代後半・男性/ルートセールス] 【結果:一次面接で不採用】
[50代前半・男性/代理店営業] 【結果:入社】
[20代後半・男性/代理店営業] 【結果:入社】
大王製紙の採用面接に向けて
大王製紙の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「結束力を重視する、古風かつトップダウン傾向の強い社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
- 大王製紙の第3次中期事業計画「Move on 革進と飛翔」を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
- 競合他社についての理解を深め、「なぜ大王製紙なのか」に対する答えを明確にしておく。
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大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。