ヤクルトの採用面接前に知っておくべきこと
■社風への理解
ヤクルト本社(以下、ヤクルト)の歴史は創始者、代田稔氏による乳酸菌シロタ株の発見により始まりました。乳酸菌シロタ株を使用した「ヤクルト」や「ジョア」、「ミルミル」などの乳酸菌飲料は同社の主軸商品です。また最近ではバイオ技術を応用し、食品事業で培ったノウハウを化粧品事業に展開。さらなる事業領域拡充をはかっています。医薬品事業では、同社が開発した2種の抗がん剤(カンプト、エルプラット)が大腸がんの第一選択薬として世界中で使用され、「世界の抗がん剤メーカー」として医療の現場で広く認知されています。
上記3つの事業に加え海外事業を4つめの事業柱に置き、人材・経費ともにリソースを投資。1964年の台湾進出を皮切りに、アジアをはじめ世界中へとネットワークを切り拓き、事業の拡充に力を入れています。近年では経済成長に伴った人口増加・食生活の変化が生じている新興国をベースに、食品事業の強化を進める動きがみられます。
そんな同社は良きも悪きも昔ながらの日本的な古い体質が残る会社。新しいことへの挑戦よりも安全・安定志向の経営を好む傾向があるようです。「年功序列が根強く残る」といった口コミが散見され、スピード出世やバリバリとキャリアを築きたい方には向かない可能性も。
また企業文化や価値観は他の企業に比べ独自性が強く、キャリア採用者はその風土に馴染めないこともあるようです。同社への転職を希望する場合は、風土や職場雰囲気もしっかりリサーチした上で応募をするようにしましょう。
一方、給与や待遇に対しては従業員全体の満足度が高いことが口コミからうかがえます。さらに社員一人ひとりを大切にする会社であり、部署や役職問わず風通しの良い関係がみられます。食品事業・医療事業ともに人々の暮らしと健康を支える商品を扱うという点では、ポジションや業種問わず従業員全員が大きなやりがいを持って取り組んでいるようです。
「ヤクルトにしかない価値と強みを活かし、世界中の人々の健康を守る」こうしたヤクルトの社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
■選考は何次まで?
ヤクルトのキャリア採用の選考プロセスは以下の通り。
応募→書類選考→面接(複数回・適性検査を含む)→内定
最初の書類選考は『履歴書(写真添付)』『職務経歴書』をコーポレートサイトに記載されている人事部人事課に送付します。コーポレートサイトにキャリア採用情報を記載していることから、最初の応募窓口は広く公募していることがうかがえます。
募集職種は、管理系・営業系・製造系の3種類。どの職種においても海外勤務経験者(5年以上)あるいは、TOEIC700点以上など海外勤務を視野に入れた有資格者が選考の対象になります。海外展開の最前線に立って事業を進めることができる人材が強く求められています。
一方、国内採用はポストが空いた時のみの募集になりますが、エージェント登録や説明会に参加するなど、こまめに情報収集をするようにしましょう。
■面接内容の傾向は?
ヤクルトのキャリア採用は、多くの方がしっかりと企業研究を行い、同社の商品(食品・化粧品)についても入念な下調べをした上で臨んでいるようです。面接では、ヤクルトの企業カラーを理解した上で、自分なりにヤクルトの欲している人材を分析することが内定への鍵となります。
「企業イメージからの華やかさがある仕事ではなく、泥臭い部分ばかりであるが大丈夫か?」という確認が何度もあったという口コミからは、気概と挑戦意欲を持っているのかを見極められます。フランクな面接官もいれば、威圧的な面接官もおり、プロセス問わず面接スタイルはさまざま。また最終面接では1対5~6名で質疑応答が行われます。面接官の応対や人数にマインドを左右されず、自分の意見をしっかり伝えられるよう面接慣れしておくと安心です。
清潔感や身だしなみは、食品を扱っている企業ということもあり、面接時には感度高く見られます。選考段階で髪の毛の長さを指摘されたという声もあるため、身だしなみには十分に注意しておきましょう。
ヤクルトの面接攻略法(面接対策)
■ヤクルトの「Yakult Vision 2020」を理解した上で自己分析をする
ヤクルトの面接を受ける上では、「Yakult Vision 2020」を理解しておくことが不可欠です。 「Yakult Vision 2020」では下図の通り「第3フェーズ計画」を打ち出しています。
ヤクルトの中期経営計画・第3フェーズ計画では、国内飲料食品の収益性を改善することにより、海外飲料食品の成長を促すことを最大のミッションとしています。海外でのヤクルトの認知拡大はもちろん、グローバルの横展開を通じ成長サイクルを継続させることを目的としています。
そのため同社のコーポレートサイト内の新卒採用では、グローバル人材の募集を大々的に掲げています。そのことからも同社では、世界で活躍できる人材を強く求めていることがわかります。
これはキャリア採用においても同じ。同業からの転職よりも、グローバル取引で通用するコミュニケーション力や異文化交流の経験、新しい環境に入っていく積極性や挑戦心など、海外勤務への適性が重要視されます。下図のようなグローバル進出の過程や今後の動向をしっかりと把握し、ヤクルトにとって有益な人材であることを経験や経歴をもとに具体でアピールすることがポイントです。
■「なぜヤクルトに転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
ヤクルトの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜヤクルトなのか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「新しい環境に入る積極性や挑戦心を持ち合わせているか」「海外事業推進の最前線に立てるか」といった視点だけでなく、「本当に同社のことを理解しているのか」という側面も併せて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、ヤクルトという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい他社の研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 明治ホールディングス株式会社
- カゴメ株式会社
- 味の素株式会社
ヤクルトの採用面接で実際に聞かれた質問内容
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかり考えながら面接対策をしておきましょう。
30代後半男性/経営企画【結果:2次面接で不採用】
20代前半女性/総務【結果:入社】
20代前半男性/代理店営業【結果:2次面接で不採用】
20代後半女性/研究開発【結果:2次面接で不採用】
ヤクルトの採用面接に向けて
ヤクルトの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- ヤクルトにしかない価値と強みを活かし、世界中の人々の健康を守る社風を意識して、これに合致した同社の価値を世界に発信できるグローバリゼーションに富んだ人材であることを自分の言葉でアピールする。
- 「Yakult Vision 2020」を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRに繋げる。
- 競合他社についても研究し、「なぜヤクルトで働きたいのか」に対する答えを明確にしておく。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
経営コンサルティング会社で採用コンサルやデータ分析を行いながらライターとして活動中。得意分野はスタッフ採用と教育。