竹中工務店の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
創業は江戸時代初期にまで遡る竹中工務店。いわゆるスーパーゼネコン5社の一角をなし、東京タワーや5大ドーム球場、近年では東京ミッドタウンやあべのハルカスなど、名だたる建築物の施工を手がけてきました。施工した建築物を「作品」と呼び、大手でありながら非上場の姿勢を貫くなど、独自性豊かな経営をおこなっています。
そんな竹中工務店の口コミには、「残業が多い」という内容が非常に多く見受けられます。「プライベートは優先できない」「仕事人間が多く、家庭より仕事(の比重が大きい)」といった口コミからも分かるように、良好なワークライフバランスの実現は難しい現状があるようです。「遅くまで残っている人を頑張っているとみなす傾向がいまだにある」と不満の声も上がるなど、長時間残業を美徳とする文化も根深く残ります。また、評価制度は年功序列。ある程度の年次までは少しずつ昇給していきますが、「(30代以降は)上層部が詰まっていて簡単には昇格できない」という難点も。こうした歴史ある大企業ゆえの保守的な企業体質になじめるかどうかは、個人の考え方や志向によるところが大きいでしょう。
一方、「大きな物件を最初から最後まで担当でき、達成感もやりがいもある」「有名な大型建築物の設計にかかわれるのがやりがい」といった声も多く、スーパーゼネコンならではのダイナミックな仕事内容にやりがいを見出す人は少なくないよう。仕事においてやりがいに重きを置く人には適した環境と言えそうです。
さらに、大型案件が多く、チームで業務を進める竹中工務店で働くには、上司や同僚とのコミュニケーション能力が必須。新卒入社の社員は全員、入社後1年間の寮生活をともにする制度があるなど、協調性を重視する風土があることも知っておきましょう。
このように、保守的かつ協調性を重視する社風が特色の竹中工務店。こうした社風にフィットし、組織の一員として良好な人間関係を築きながら成果を出せる人材であるかどうかは、面接時に採用側が見極めたいポイントのひとつです。自分のこれまでの実績や今後のキャリア形成の方向性はもちろん、性格やコミュニケーション能力についても洗い出しつつ対策をおこなう必要があります。
■選考は何次まで?
竹中工務店の選考プロセスは、コーポレートサイト内の採用ページ経由でエントリーすることからスタートします。書類選考通過後、筆記試験と専門審査を経て2回の面接があり、内定に至るというのが一般的な流れとなっています。口コミによると、選考期間は2週間~3ヶ月と、人によって大きく異なるため、長期戦となる心づもりをしておくか、スピーディーな選考を望むのであれば先方にその旨を伝える必要があるでしょう。
2020年3月現在、竹中工務店では技術系職種(施工管理・建築設計・プロポーザル)で中途採用をおこなっています。採用ページには、採用メッセージや転職者インタビューが掲載されており、社風や職場の雰囲気をうかがえるだけでなく、自己PR作成のヒントが詰まった内容となっています。面接対策を練るための手段のひとつとして、しっかりと読み込んでおきましょう。
■面接内容の傾向は?
竹中工務店の面接では、志望動機について聞かれることが多いようです。採用面接としてはオーソドックスな質問だからこそ、丁寧で説得力のある回答ができるようにしておきたいものです。自分のこれまでのキャリアや今後のビジョンと企業研究の結果をすりあわせ、「竹中工務店へと転職のベクトルを定めた経緯」について明確に伝えられるようにしておきましょう。
また、「何のために仕事をしているのか?」「これまでの仕事内容と違うが、それをどのように考えるか?」など、イエスかノーかでは答えられない質問をされることも少なくないよう。「なぜ」「どのように」という切り口の質問によって、応募者の思考力や仕事への姿勢などを掘り下げる意図があると考えられます。入社すれば即戦力としての働きを期待される中途採用においては、最適かつ論理的なアプローチで成果を出せる素養を備えた人材であることをアピールできれば非常に有利です。常日頃から、「どのようなプロセスで結論を出したか」を確認し、検証する習慣をつけておくと役立ちます。
竹中工務店の面接攻略法(面接対策)
■竹中工務店の成長戦略を理解した上で自己分析をする
面接に臨む前に必ずおさえておきたいのが、竹中工務店の成長戦略です。
2025年のビジョンを上図のように掲げる竹中工務店。「まち」全体を事業領域として、構想から施工、完成後の維持管理までのすべての段階で建築に携わることで、「人々が安心して暮らせるまちづくり」に寄与し、ひいてはサステナブル社会の実現に貢献することを目指します。そのためには建築だけでなく、その周辺事業を担うグループ各社との連携を強化し、サービス領域の拡大と質的向上を狙います。社会の変化に伴う課題やニーズの変容に対応した新たなソリューション、新たなビジネスモデルの開拓も積極的におこない、建築を通じて「まち」に新たな価値を付加していくとしています。
具体的には、「まちづくり総合エンジニアリング企業」として上図のようにまちづくりに関わっていく姿勢です。まちづくりの方向性を導き出し、そこに各専門領域からそれぞれアプローチをおこない、「サステナブルなまちづくり」に貢献していきます。
また、「まち」の抱える課題を分析・整理するためのイノベーションを「MACHIinonovation(マチノベーション)」と名づけ、これを推進することで社会的要因を背景とした課題の解決にコミットしていく方針です。こうした取り組みは既に国内各地で始まっており、地域のステークホルダーと共同でまちづくりを進めています。
このような竹中工務店の成長戦略とともに理解しておきたいのが、企業理念です。「棟梁精神」「作品主義」などに表れているように、同社では「社会に貢献できる最良の作品づくり」が重視されます。中途採用においても、営利だけではなく社会的意義を意識しながら「最良の建築」を追求する人物が求められていると言えます。建築を通じてまちづくりやサステナブル社会に寄与したいという意思をアピールできると有利です。
■「なぜ竹中工務店に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
面接では「なぜ竹中工務店か」という質問に対する理路整然とした回答が求められます。志望動機を問うことで面接官は「これまでの経歴をどのように当社で活かすつもりなのか」といった入社後のビジョンと併せて、「どれだけ企業研究をして面接に臨んでいるか」「当社の戦略だけでなく、根幹にある精神や企業理念までも理解した上で業務に取り組める人物なのか」を見極めようとしています。
自分の希望する職種・業務内容への理解だけでなく、竹中工務店の戦略とその内容、および企業理念についてしっかりと理解した上での自己PRが必要です。その一環として、競合となりやすい企業の他社研究も忘れずにおこないましょう。「なぜ竹中工務店を志望するのか」を論理的に説明できれば、独自路線を貫く同社で成果を上げられる素地があることもアピールできます。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 株式会社大林組
- 鹿島建設株式会社
- 清水建設株式会社
- 大成建設株式会社
竹中工務店の採用面接で実際に聞かれた質問内容
竹中工務店が目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。竹中工務店の場合、成長戦略を理解した上で、社会貢献の意識をもって「最良の建築」を追求する姿勢が重視されます。
「保守的かつ協調性を重視する社風」を意識して、「事業の根幹にある精神に共感しつつ、成長戦略に沿った事業展開に貢献できる人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
以下に面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。自分ならこれらの質問にどのように答えるか、面接対策の一環としてぜひシミュレーションしてみてください。
[30代後半・男性/代理店営業] 【結果:二次面接で不採用】
[30代前半・男性/建築設計] 【結果:一次面接で不採用】
[20代前半・女性/建築設計] 【結果:最終を辞退】
[10代後半・男性/コンサルティング営業] 【結果:入社】
竹中工務店の採用面接に向けて
竹中工務店の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「保守的かつ協調性を重視する社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
- 竹中工務店の成長戦略および企業理念を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
- 競合他社についての理解を深め、「なぜ竹中工務店なのか」に対する答えを明確にしておく。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。