2022年08月23日
【年収研究シリーズ】花王社員の平均年収は高いのか?実際はいくらもらっている人が多い?給与制度は年俸・月給どっち?ボーナスは年何回で合計いくらもらえるのか?年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか?など、年収に関する話題をデータや口コミから明らかにします。就職・転職の判断にご活用ください。
それでは、はじめに花王の平均年収について見ていきます。花王の平均年収は、花王の有価証券報告書によると、789.3万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出した花王年代別年収レンジは、20歳代で460〜510万円、30歳代で650〜700万円、40歳代で810〜860万円となっています。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.6倍の額です。
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2021年12月期 | 789.3万円 | 40.5歳 | 17.4年 | 8508人 |
2020年12月期 | 823.9万円 | 40.5歳 | 17.4年 | 8112人 |
2019年12月期 | 812.4万円 | 40.6歳 | 17.7年 | 7905人 |
2019年12月期 | 812万円 | 40.6歳 | 17.7年 | 7905人 |
2018年12月期 | 822万円 | 40.8歳 | 17.9年 | 7655人 |
出典:花王・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
花王の平均年収は前年を下回り789.3万円でした。
過去5年間では最低の額になりました。
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 484.4万円 | 29万円 | 109.3万円 | 435.96万円 |
30代 | 669.4万円 | 39.5万円 | 151.1万円 | 602.46万円 |
40代 | 831.9万円 | 48.8万円 | 187.9万円 | 748.71万円 |
50代 | 983.5万円 | 57.5万円 | 222.2万円 | 885.15万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
花王の年収の高さを支えるのは、何といっても賞与の水準の高さにあります。
花王の賞与は、6月・12月・3月の年3回支給されます。うち2回分は固定分であり、口コミによると「それぞれ基本給2ヶ月分」を基本としているようです。残り1回分は、個人の成果および会社の業績次第で金額が変動します。3回分を合計すると、業績次第ではありますが、「年間で約7ヶ月分」という、他社に例を見ない高い水準です。
個人の成果によって変動するといっても、その金額は大きいものではなく、「成果を出しても10万円上乗せされる程度」だそうです。成果主義を取り入れつつも、その要素はゆるやかなものであり、逆に言えば全社員が安定して高い水準の賞与が支給される、とも言えます。
花王の給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年3回(6月・12月・3月)の賞与で構成されています。
諸手当は、時間外勤務手当や通勤費補助、住宅加算手当などが主だったものであり、その他に福利厚生として、独身寮や社員持株会、共済会などの制度が整備されています。住宅加算手当は、多くの会社がその支給対象を「既婚者のみ」としていますが、花王の場合は、独身者も既婚者も対象としていることが特徴的です。こうした手当類の充実については社員からの評判は高く、「給与制度に何一つ不満はない」「額面以上に福利厚生が充実」といった口コミが多く見られます。
花王社員の給与明細(キャリコネ)
入社10年で年収300万円アップ
20代技術(非管理職)の 給与明細
20代技術(非管理職)の 給与明細
入社5年では年収200万円アップ
30代(非管理職)の 給与明細
30代(非管理職)の 給与明細
花王の職種は、技術系(研究職、生産技術職)と事務系(営業、購買、管理、クリエイティブ職など)の大きく2つに分類されます。賃金制度は、両職種共通であり、等級によって給与が規定されているため、職種によって年収に差が生じるということはありません。
初任給についても、以下の通り、2職種共通で、学歴別に設定されています。
<初任給(2019年4月実績)>
●博士了:262,000円
●修士了:241,000円
●学部卒:221,000円
●高専卒:191,000円
●短大/専門学校(3年制)卒:184,500円
●短大/専門学校(2年制)卒:181,000円
年代、資格別の年収目安としては、担当層(20代)450~550万円、基幹層(30代前半)650~750万円、係長クラスは約900万円、課長クラスになると約1100万円、部長クラスは約1300万円といったあたりです。
花王社員の給与明細(キャリコネ)
20代までは横並びの年収
20代技術(非管理職)の 給与明細
20代営業(非管理職)の 給与明細
30代以降は徐々に実力差が年収差につながる
30代営業(非管理職)の 給与明細
30代広告宣伝(非管理職)の 給与明細
上述の通り、花王の年収は社内の等級によって規定されているため、年収を上げるためには、等級を上げる=昇格することが必要になります。
花王の階層は、大きく5段階(担当層→基幹層→リーダー/主任層→ミドルマネジメント層→シニアマネジメント層)に分かれており、この階層の中でさらに細かく等級が設定されています。新入社員が最初に等級が上がるのは、修士了の場合は入社7年目、大学卒の場合は入社9年目です。この段階までは完全に年功序列であり、「同期入社で給与は一律」です。しかし、マネジメント層への昇格は狭き門であり、課長職に昇格できるのは最短で30代後半という制度設計ではあるようですが、「最近は多くの人が40歳を超えてから」であり、かつ「課長職になれる比率も非常に低い」そうです。
評価制度は、目標管理制度が採用されており、年に1回、貢献度評価と行動・プロセス評価の2つの指標で評価が下されます。評価は5段階設定であり、その結果が給与・賞与に反映される仕組みになっています。上述の通り、その成果が反映される金額はそれほど大きいものではないため、社員からは「年功序列制と成果主義的要素のよいところが混合した査定制度」と評されています。
花王社員の口コミ(キャリコネ)
成果主義とはいえ、年功序列の文化も根強い
「入社10年までは、差はほとんどつかない 成果を重視するというよりも年功序列の色がまだまだ強い……」
管理職以上への昇格は狭き門
「30代半ばまではほとんど差が付くことなく昇進する 管理職には、恐らく半分程度の人しか昇格できない……」
花王の競合や同業界であるユニ・チャーム、大王製紙、資生堂の4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、花王が789.3万円、ユニ・チャームが842.9万円、大王製紙が632.4万円、資生堂が705.8万円です。
この4社の中で最高額はユニ・チャームの842.9万円で、最低額が大王製紙の632.4万円。その差はおよそ211万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では花王は2番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
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ユニ・チャーム | 842.9万円 | 41.4歳 | 16.1年 | 1465人 | 3822.1億円 |
花王 | 789.3万円 | 40.5歳 | 17.4年 | 8508人 | 8729.13億円 |
資生堂 | 705.8万円 | 38.9歳 | 11.2年 | 4260人 | 2750.63億円 |
大王製紙 | 632.4万円 | 42.3歳 | 17.9年 | 2725人 | 4401.57億円 |
花王の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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