東急の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
渋沢栄一が創設した田園都市株式会社をルーツに持つ東急は、東京都内外の交通インフラの整備や人々の生活基盤構築に大きく貢献してきました。鉄道事業のほか、主要拠点である渋谷周辺の開発などを長らく牽引しましたが、2019年に分社化。鉄道事業を東急電鉄へと分割し、現在は幅広い領域を持つグループ各社の統括のほか、不動産事業を手がける事業持株会社として経営をおこなっています。
「美しい時代へ―東急グループ」をグループスローガンとして掲げ、人と社会の調和を重んじる東急。交通事業からリゾート事業まで、さまざまな事業領域において文化的な生活環境をつくりだすことに貢献し、社会的に価値ある企業であり続けることを目指します。
口コミからは、大企業ならではの穏やかで安定的な企業風土が見えてきます。「可もなく不可もないが、優しい」「紳士的な人が多い」「福利厚生が充実している」といった意見が多く、安心して働き続けられる環境が整備されているようです。
しかし、「半役所的な空気があり、若手にとっては風通しが良くない」「もう一歩踏みこんで改善策を進めるには窮屈」との声も聞かれます。前例にならって仕事を進めることが多く、着実に業務をこなせるのは大きなメリットと言えますが、歴史ある企業ゆえに柔軟さを欠く面があることも否めないようです。
一方、新しい事業を手がける部門では「挑戦する社風を感じた」という人もおり、今後の展開に期待がかかります。
「歴史ある大企業ゆえの穏やかな企業風土のもと、『美しい時代』づくりに向けて業務に取り組む」。中途採用面接においては、こうした東急の社風にフィットするかどうかを見極められます。自分の希望する働き方やキャリアビジョンなどを洗い出し、面接対策を進めましょう。
■選考は何次まで?
2023年1月現在、東急では、オープンポジションの総合職やアソシエイト職、ビル運用事業従事者やデジタルデザイン職(いずれも正社員)など、幅広い職種で中途採用をおこなっています。
コーポレートサイト内のキャリア採用情報ページによると、選考プロセスは「書類選考→適性検査→面接(通常2回)→内定」となることが多いようです。希望する職種における募集がない場合、キャリアを登録することでオファーを受けられる可能性もあります。
また、採用情報ページ内には事業内容や長期経営構想にかんするコンテンツのほか、社員インタビューなどが用意されています。企業理解を深めるのに役立つ内容となっているため、面接前にはぜひ目を通しておきましょう。
■面接内容の傾向は?
口コミによると、東急の面接では、意表をつく質問をされることは少なく、志望動機や転職理由のほか、性格や素養について問われる傾向が見られます。中途採用面接で一般的とされる質問に対しては事前に回答を用意しておくなど、基礎的な準備が欠かせません。
「怒りっぽい性格ですか?」「できない検査にはどう対応しますか?」と聞かれた人も見受けられました。調和を重んじる東急だけに、応募者の性格やとっさの対応力を見極めようとする意図もあるようです。自己分析を徹底するとともに、面接前にはさまざまな質問を想定してシミュレーションをおこなうとよいでしょう。
東急の面接攻略法(面接対策)
■東急の中期3か年経営計画を理解した上で自己分析をする
東急の面接を受ける前に、同社の中期3か年経営計画を理解しておきましょう。
東急では、長期経営構想として、2030年までの経営方針と事業戦略を上図のように策定しています。グループスローガン「美しい時代へ―東急グループ」を価値基準に掲げ、東急電鉄沿線の各エリアを軸とした戦略、事業ごとの戦略を組み合わせることで、サスティナブル課題へのコミットと事業成長の両立を図る方針です。
この長期経営構想のもと、上図のような中期3か年経営計画(2021年度~2023年度)が打ち出されました。コロナ禍の影響により、前中期経営計画の目標が未達に終わったことを受け、事業を取り巻く環境の変化に対応し、収益規模を復元することを目標としています。交通事業・不動産事業をはじめとする各事業で構造改革をおこない、収益構造を強靭化するとともに、新たな成長へとつなげたい考えです。
また、コロナ禍が社会全体に大きな変化をもたらしたことを踏まえ、時代のニーズに対応できるサービスを提供できるよう、事業内容を進化させていきたい東急。各事業それぞれにおいて、ライフスタイルの変化をとらえた戦略を推進する姿勢です。「家ナカ需要」を取り込む東急ストアのEC強化戦略や、東急ベルのホームコンビニエンスサービス充実戦略などがこれに当たります。
こうした経営方針にもとづき、中途採用においても時代の変化に柔軟に対応できる人材が求められるでしょう。面接では、フレキシブルな思考力や情報感度の高さを示せると有利です。
■「なぜ東急か」をはっきりさせるためには他社研究が必要
中途採用面接で頻出する質問のひとつ、「なぜ当社を志望するのか」。この問いかけは、企業理解の深度はもちろん、同業他社との違いをしっかりと分析できているかを見極めるためのものであると考えられます。
企業理解を深めるために有効なのが他社研究です。競合となりやすい他社との違いを明らかにすることで、東急のカラーや経営戦略などを浮き彫りにすることができます。
沿線エリア、事業領域ともに広い東急には、ライバル企業が存在しないとも言われます。しかし、事業内容や企業規模において共通点の多い次の企業と比較することで、東急の独自性を知ることができるでしょう。
- 小田急電鉄株式会社
- 東武鉄道株式会社
- 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
- 三井不動産株式会社
東急の採用面接で実際に聞かれた質問内容
東急の経営方針や求める人物像が企業研究を通じて理解できたのではないでしょうか。
東急の場合「歴史ある大企業ゆえの穏やかな企業風土のもと、『美しい時代』づくりに向けて業務に取り組む社風」を意識して、「グループスローガンに共感したうえで時代の変化に柔軟に対応できる人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問に自分ならどう答えるか、面接のシミュレーションをしてみてください。
[30代後半・男性/その他] 【結果:最終面接で不採用】
[20代前半・女性/医療福祉関連] 【結果:入社】
[30代前半・女性/技術関連職] 【結果:入社】
[20代前半・女性/サービス関連職] 【結果:入社】
東急の採用面接に向けて
東急の採用面接を受けるにあたって、その社風や経営方針、求められる人物像など、事前に理解しておきたいことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
これらについてしっかりと準備をおこない、面接当日は入社意欲や自身の強みなどを誠実さの伝わる言葉でアピールしましょう。
大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。