【年収研究シリーズ】デンソーの年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
自動車完成メーカーのトヨタやホンダ、日産の名前は誰しも耳にしたことがあるでしょう。
では自動車部品メーカーはどうでしょうか。実は今、国内首位の自動車部品メーカーであるデンソーに投資家の熱い視線が注がれています。
デンソーは1949年に、トヨタ自動車の電装部が分離独立し日本電装株式会社として設立されました。トヨタ自動車を中心に自動車用電装部品を開発、そして生産販売をしており、現在では世界の主要な自動車メーカーにまで広く製品を供給しています。また、自動車部品が電子制御化されることを見越して、いち早く1960年代後半よりICの研究開発を社内で行っています。
アナリスト曰く「電動化、自動化、情報化といった次世代技術トレンドの恩恵をもっとも受けられる高成長銘柄」であるデンソーは、これまでの車社会に対して新たな価値を提供できるモビリティ社会の実現のために、日々挑戦し続けているのです。
またデンソーは年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。
デンソーの平均年収は786.8万円
まずはじめにデンソーの平均年収を見ていきましょう。デンソーの平均年収は786.8万円です(デンソー有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考にデンソーの年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で460〜510万円、30歳代で650〜700万円、40歳代で810〜860万円という結果がでました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.59倍の額です。
■デンソーの平均年収推移
デンソー・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
デンソーの平均年収は前年を上回り786.8万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。
デンソーの年代別平均年収と中央値
■デンソーの年収中央値は30代で667.3万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
デンソーと競合他社の平均年収を比較
デンソーの競合や同業界であるスタンレー電気、アイシン、小糸製作所、トヨタ自動車の5社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、デンソーが786.8万円、スタンレー電気が614.8万円、アイシンが672.1万円、小糸製作所が619.8万円、トヨタ自動車が857.1万円です。
この5社の中で最高額はトヨタ自動車の857.1万円で、最低額がスタンレー電気の614.8万円。その差はおよそ243万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではデンソーは2番目に位置します。
デンソーの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
デンソーの年収(給与・報酬)が高い理由は?
デンソーの年収が高い理由の1つに、収益が増えていることが挙げられます。デンソーの2018年3月期の連結決算では、売上収益が5兆1083億円で前年比12.8%の増収となり、車両の生産増加と拡販の恩恵を受けて好調であることがわかります。
得意先別の売上高においては、トヨタグループそしてトヨタを除くカーメーカー向けいずれにおいても、増収しているのです。トヨタグループ向けでは8.9%、その他のカーメーカー向けでも8.3%の増収でトヨタグループ内外あわせて順調です。国内だけでなく欧州・中国と、その他アジア地区で車両生産が増えていることに加え、国内と北米で単体製品やシステムが拡販されていることが収益上昇の背景にあります。そして、この収益が高い水準の年収を維持している理由といえるでしょう。
世界自動車市場を見てみると、米国や欧州、日本などの成熟市場での販売台数は横ばいになるといわれています。しかしBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)を中心とした、新興国の自動車市場に大きな成長が見込まれており、自動車部品業界もそれにともない売上の増加が継続することでしょう。
デンソー社内で年収(給与・報酬)が高い職種・役職は?
デンソーでは年功序列が基本ではありますが、仕事に対する評価によって同じ職位であっても10%ほどの違いが生じるようです。職種による違いはほとんどありません。
年収は役職に就くことで大きく差が出てきます。40歳前後で課長目前の係長に就くと、月平均40時間の残業代を加えて1000万円前後、そして課長に昇進することで1200万円程度の年収を得ることができるようです。役職が上がるにつれ、年収とともに職責も大幅に増えるといえます。
長い年数にわたる勤務の中、徐々に個人の業績が社内で認められることで、年収を上げていくことが可能であると知っておくとよいでしょう。
デンソー社員の給与明細(キャリコネ)
20代と30代で年収に違いが!
20代・機械設計(非管理職)の
給与明細
30代・機械設計(非管理職)の
給与明細
賞与あり・なしの違いで…
30代・倉庫作業/管理・賞与あり(非管理職)の
給与明細
30代・倉庫作業/管理・賞与なし(非管理職)の
給与明細
デンソーの見落としがちな留意点、課題は?
近年では、外資メガサプライヤーの台頭が国内自動車部品メーカーの脅威となっています。2015年春の新型「カローラ」に初搭載された自動ブレーキシステムを含む安全装備には、センサーモジュールが必要不可欠でした。このモジュールを納品したのはデンソーではなく、自動車部品大手メーカー世界2位であるドイツのコンチネンタルです。さらに2018年6月に、全面改良した新型「クラウン」の安全システムでも、デンソーとコンチネンタルの2社が競い合っています。
メガサプライヤーの台頭にどう対抗するのか懸念がある中、トヨタグループもようやく一歩を踏み出しました。2018年8月末にデンソーなど系列4社が共同出資し、自動運転に必要な制御コンピューターを開発する新会社の設立を決めたのです。今後、より加熱していくであろう世界規模の争いに対して、国内最大のグループとはいえ、対応は必須であるといえます。
デンソーには年収以外にメリットはある?
ここまでデンソーの年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
よりいっそうの競争力をつけるためにも、忘れてはならないのが社内の改革です。
デンソーは、人事上のさまざまなデータを一元管理し、経歴や得意分野など従業員の特性を「見える化」するため新システムを導入しました。自動運転などソフトウェア部門の人材不足に対して正確に現状把握をすることによって、戦略的に人材配置することを目指しているのです。
また、理由や資格を限定しないテレワーク制度をオフィス全社に導入しています。子供の世話や介護などの特別な理由がなくても、人事や総務だけでなく設計や開発含む「オフィス部門」全社員が利用できる仕組みです。これは名ばかりの一部導入ではありません。理由や資格なく使える制度を作り、社内の人材にとってよりよい環境作りも模索しているのです。
結論的には、就職・転職先として非常に魅力的だと言っていいでしょう。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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