【平均年収857.1万円】トヨタ自動車の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【平均年収857.1万円】トヨタ自動車の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】トヨタ自動車の年収・給与・ボーナス・報酬。ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか、同業他社や、年代、職種間での比較など年収に関する話題をデータや口コミを通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


トヨタ自動車の平均年収は857.1万円

それでは、はじめにトヨタ自動車の平均年収について見ていきます。トヨタ自動車の平均年収は、トヨタ自動車の有価証券報告書によると、857.1万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出したトヨタ自動車年代別年収レンジは、20歳代で510〜560万円、30歳代で710〜760万円、40歳代で880〜930万円となっています。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.73倍の額です。

トヨタ自動車の平均年収推移

トヨタ自動車・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2022年3月期857.1万円40.4歳16.4年70710人
2021年3月期858.3万円40歳16.2年71373人
2020年3月期865.9万円39.6歳15.8年74132人
2019年3月期742万円39.4歳15.7年74515人
2018年3月期721万円39.2歳15.5年74890人

出典:トヨタ自動車・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
トヨタ自動車の平均年収は前年を下回り857.1万円でした。
過去5年間では3番目の額になりました。

トヨタ自動車の年代別平均年収と中央値

トヨタ自動車の年収中央値は30代で726.8万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代531.2万円34.5万円95.3万円478.08万円
30代734.2万円47.2万円131.9万円660.78万円
40代912.4万円58.3万円163.9万円821.16万円
50代1078.8万円68.7万円193.9万円970.92万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

トヨタ自動車の年収が高い理由

高水準の賞与と福利厚生が年収を押し上げる

上述の通り、トヨタ自動車の賞与は毎年の春闘で決定され、またその決定要素として前年度の業績が大きく影響します。「年収における賞与の割合が大きい」という口コミは多く見られますが、しかしそれは、業績次第では大きく変動することも事実です。ここ数年では7ヶ月分近い水準の賞与が支給されており、「満足な額をもらえている」というのが社員の受け止め方です。

また、国内トップレベルの水準である福利厚生制度の充実度も、年収の高さに結びついています。子供一人につき約2万円が支給される家族手当や、年間9万円分の福利厚生ポイントと言った、所得に直結する制度のほか、格安の賃料で入居できる寮・社宅や、団体保険や事業所内託児所も整備されているなど、「可処分所得を増やす」制度も充実しています。もちろん、平均年収の数字自体も、高水準であることは間違いありませんが、こうした「目に見えない」価値も含めると、実質的にはさらに高い年収であると言えます。

トヨタ自動車の給与体系・内訳

月45時間分の「みなし残業代」が支給される制度も

トヨタ自動車の給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回(7・12月)の賞与で構成されています。

諸手当は超過勤務手当、家族手当、通勤費補助など一般的なもので、特殊な手当は見当たりません。残業時間については、労働組合がしっかりと機能していることもあり、「残業が基本は年間360時間に抑えられ、比較的自分の時間を持ててお金も自由に使える」と、充実した生活がうかがえる声が多く見られます。また裁量労働制も拡大していますが、その中で一部の主任職のみ対象となる制度においては、月45時間分の「みなし残業代」が支給されます。月10~30時間程度の「みなし残業代」が一般的である中、この制度はある意味「異例」と言えるでしょう。

基本給は社内の資格体系と、それに紐づく賃金等級で細かく設定されており、また毎年1回(4月)に昇給があります。この昇給額についても春闘で毎年交渉されますが、さらに人事評価も反映され、その結果によって個人ごとに昇給額が決められる形式です。

トヨタ自動車社員の給与明細(キャリコネ)

20代後半で700万円超、30代で1000万円超え

20代技術(非管理職)の 給与明細

20代技術(非管理職)の 給与明細

裁量労働制では18万円の手当も!

30代(非管理職)の 給与明細

30代(非管理職)の 給与明細

トヨタ自動車の職種別年収

職種による違いはなし

トヨタ自動車の職種は、事務職・技術職・業務職・生産関連職の大きく4つに分類されます。大卒キャリア採用として対象となるのは、事務職・技術職ですので、この2つの職種に絞って話を進めます。

事務職・技術職と職種が違っても、賃金体系は同一のものが適用されます。初任給についても以下の通り、学歴別に設定されており、職種による差異はありません。

<初任給(2018年4月実績)>
学部卒業相当/月給20万8,000円 
修士修了相当/月給23万円

年収は、社内の資格体系に紐づいて決まります。資格は、新入社員の担当事技職から始まり、指導職、主任職(係長級)、基幹職(課長級)、幹部職(部室長級)という大きく5つのランク分けがされています。資格別の年収の目安としては、担当事技職が500~600万円、指導職700~900万円、主任職900~1100万円、基幹職1300~1500万円、幹部職1600~2100万円といった当たりです。

トヨタ自動車社員の給与明細(キャリコネ)

職種が違っても年代が同じならほぼ同年収

20代技術(非管理職)の 給与明細

20代営業(非管理職)の 給与明細

30代では賞与年間400万円超えも!

30代技術(非管理職)の 給与明細

30代広告宣伝(非管理職)の 給与明細

トヨタ自動車で年収を上げる方法

年功序列の風土は根強いが、昨今はスピード出世も

上述の通り、トヨタ自動車の年収は社内の資格体系に紐づくため、年収を上げるには昇格することが必要です。

「自己申告制度」という人事制度に基づいた評価結果によって、昇格者が決定されます。具体的には、年2回上司と「2Way面談」という名の面談を行い、自分の能力と成果をアピールし、その後査定会議で決定された人事評価によって、昇格者が選定されます。(この人事評価結果はもちろん、賞与や昇給額にも反映されます)専門性や能力ももちろん必要ですが、英語力(TOEIC)も昇格の必須要件の一つであることも特徴です。

「査定に関しては上司が完全に決める」「基本的に年功序列で、若いうちは特に差がつかない」というネガティブコメントも目につきます。しかし、「査定制度は妥当。頑張れば頑張った分だけ報酬に反映される」「単に年数を重ねただけでは昇格できない。結果の出し方も評価される」と、人事制度はしっかりと機能しており、社員にとっても納得性の高い制度であると言えます。また、年功序列の風土についても昨今は改革の流れがあり、「実力が評価されスピード出世する人も」という口コミにもあるよう、通例とされていた滞留年数に関わらず、ある意味飛び級的に昇格するケースも散見されるようです。

トヨタ自動車社員の口コミ(キャリコネ)

満足度の高い査定制度と報酬レベル

「もともとのベースがたかく、さらに毎年昇給していく 査定制度や報酬額に関して不満がある人はいない……

年功序列の風土を覆すケースも

「メーカーとしてはダントツの給料だと思う 最近の若手には実力評価でスピード出世していく人も……

トヨタ自動車と競合他社の平均年収を比較

トヨタ自動車の競合や同業界であるスズキ、本田技研工業、日産自動車、マツダ、SUBARU、三菱自動車工業の7社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、トヨタ自動車が857.1万円、スズキが665.7万円、本田技研工業が778.7万円、日産自動車が811万円、マツダが637.5万円、SUBARUが645.1万円、三菱自動車工業が660.5万円です。
この7社の中で最高額はトヨタ自動車の857.1万円で、最低額がマツダの637.5万円。その差はおよそ220万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではトヨタ自動車は1番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
トヨタ自動車857.1万円40.4歳16.4年70710人126078.58億円
日産自動車811万円41.9歳16.5年23166人24093.48億円
本田技研工業778.7万円44.7歳22.2年34067人34542.63億円
スズキ665.7万円40.8歳18.3年16267人16907.61億円
三菱自動車工業660.5万円41.5歳15.4年13829人16147.87億円
SUBARU645.1万円39.1歳16年16961人14998.98億円
マツダ637.5万円41.8歳16.6年22652人23392.9億円

トヨタ自動車の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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この記事の執筆者

東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。


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