【平均年収851.6万円】トヨタ自動車の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【平均年収851.6万円】トヨタ自動車の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】トヨタ自動車社員の平均年収は高いのか?実際はいくらもらっている人が多い?給与制度は年俸・月給どっち?ボーナスは年何回で合計いくらもらえるのか?年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか?など、年収に関する話題をデータや口コミから明らかにします。就職・転職の判断にご活用ください。


トヨタ自動車の平均年収は851.6万円

トヨタ自動車の平均年収は851.6万円です(2019年3月期有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考にトヨタ自動車の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で570〜670万円、30歳代で760〜860万円、40歳代で950〜1050万円という結果になりました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は503.5万円(国税庁・平成30年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.7倍の額です。

トヨタ自動車の平均年収推移

過去5年間はほぼ横ばいが続く

トヨタ自動車・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移

決算月平均年収平均年齢従業員数
2019年3月期851.6万円39.4歳74515人
2018年3月期831.9万円39.2歳74890人
2017年3月期852.3万円39歳73875人
2016年3月期851.9万円38.9歳72721人
2015年3月期838.3万円39.1歳70037人

出典:トヨタ自動車・有価証券報告書

トヨタ自動車の過去5年間の平均年収は、850万円を中心としてほぼ横ばいの状態が続いています。

2018年に一度831.9万円まで下がっているのは、2017年3月期決算の結果が影響しているものと考えられます(前年比約30%の減益)。トヨタ自動車の昇給・賞与額は毎年の春闘によって決まりますが、前年度の業績により賞与額は大きく変動します。2016年賞与が月給7.1ヶ月分に対し、2017年賞与は6.3ヶ月分に減り、2018年は6.6ヶ月分まで回復したことが、この平均年収の動きにつながっていることが分かります。

トヨタ自動車の年代別平均年収と中央値

トヨタ自動車の年収中央値は30代で723.5万円

平均年収は収入における目安のひとつですが、実際にもらえる額とは大幅に違うこともしばしばです。年収実態により近いトヨタ自動車の年収中央値を世代別に見ていきます。下の表はトヨタ自動車の20代から60代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値一覧です。

トヨタ自動車株式会社の年代別平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値・業種別平均・全業種平均

年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代613.1万円32.9万円122.6万円551.79万円
30代803.9万円43.2万円160.7万円723.5万円
40代992.7万円53.3万円198.5万円893.43万円
50代1153.2万円62万円230.6万円1037.88万円
60代731.6万円39.3万円146.3万円658.44万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

トヨタ自動車は、業種でいうと「製造業」に該当します。製造業は、全年代において、平均年収が全業種平均を下回る業種です。

その中で、トヨタ自動車の年収中央値は、すべての年代において業種別平均を大きく上回ります。大企業の場合、こうした現象は珍しくはありませんが、特に30代を見てみると、実に3倍近くの差が。「メーカーとしては断トツの年収」という口コミが多く見られますが、確かに事実であると言えます。

トヨタ自動車の年収が高い理由

高水準の賞与と福利厚生が年収を押し上げる

上述の通り、トヨタ自動車の賞与は毎年の春闘で決定され、またその決定要素として前年度の業績が大きく影響します。「年収における賞与の割合が大きい」という口コミは多く見られますが、しかしそれは、業績次第では大きく変動することも事実です。ここ数年では7ヶ月分近い水準の賞与が支給されており、「満足な額をもらえている」というのが社員の受け止め方です。

また、国内トップレベルの水準である福利厚生制度の充実度も、年収の高さに結びついています。子供一人につき約2万円が支給される家族手当や、年間9万円分の福利厚生ポイントと言った、所得に直結する制度のほか、格安の賃料で入居できる寮・社宅や、団体保険や事業所内託児所も整備されているなど、「可処分所得を増やす」制度も充実しています。もちろん、平均年収の数字自体も、高水準であることは間違いありませんが、こうした「目に見えない」価値も含めると、実質的にはさらに高い年収であると言えます。

トヨタ自動車の給与体系・内訳

月45時間分の「みなし残業代」が支給される制度も

トヨタ自動車の給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回(7・12月)の賞与で構成されています。

諸手当は超過勤務手当、家族手当、通勤費補助など一般的なもので、特殊な手当は見当たりません。残業時間については、労働組合がしっかりと機能していることもあり、「残業が基本は年間360時間に抑えられ、比較的自分の時間を持ててお金も自由に使える」と、充実した生活がうかがえる声が多く見られます。また裁量労働制も拡大していますが、その中で一部の主任職のみ対象となる制度においては、月45時間分の「みなし残業代」が支給されます。月10~30時間程度の「みなし残業代」が一般的である中、この制度はある意味「異例」と言えるでしょう。

基本給は社内の資格体系と、それに紐づく賃金等級で細かく設定されており、また毎年1回(4月)に昇給があります。この昇給額についても春闘で毎年交渉されますが、さらに人事評価も反映され、その結果によって個人ごとに昇給額が決められる形式です。

トヨタ自動車社員の給与明細(キャリコネ)

20代後半で700万円超、30代で1000万円超え

20代技術(非管理職)の 給与明細

20代技術(非管理職)の 給与明細

裁量労働制では18万円の手当も!

30代(非管理職)の 給与明細

30代(非管理職)の 給与明細

トヨタ自動車の職種別年収

職種による違いはなし

トヨタ自動車の職種は、事務職・技術職・業務職・生産関連職の大きく4つに分類されます。大卒キャリア採用として対象となるのは、事務職・技術職ですので、この2つの職種に絞って話を進めます。

事務職・技術職と職種が違っても、賃金体系は同一のものが適用されます。初任給についても以下の通り、学歴別に設定されており、職種による差異はありません。

<初任給(2018年4月実績)>
学部卒業相当/月給20万8,000円 
修士修了相当/月給23万円

年収は、社内の資格体系に紐づいて決まります。資格は、新入社員の担当事技職から始まり、指導職、主任職(係長級)、基幹職(課長級)、幹部職(部室長級)という大きく5つのランク分けがされています。資格別の年収の目安としては、担当事技職が500~600万円、指導職700~900万円、主任職900~1100万円、基幹職1300~1500万円、幹部職1600~2100万円といった当たりです。

トヨタ自動車社員の給与明細(キャリコネ)

職種が違っても年代が同じならほぼ同年収

20代技術(非管理職)の 給与明細

20代営業(非管理職)の 給与明細

30代では賞与年間400万円超えも!

30代技術(非管理職)の 給与明細

30代広告宣伝(非管理職)の 給与明細

トヨタ自動車で年収を上げる方法

年功序列の風土は根強いが、昨今はスピード出世も

上述の通り、トヨタ自動車の年収は社内の資格体系に紐づくため、年収を上げるには昇格することが必要です。

「自己申告制度」という人事制度に基づいた評価結果によって、昇格者が決定されます。具体的には、年2回上司と「2Way面談」という名の面談を行い、自分の能力と成果をアピールし、その後査定会議で決定された人事評価によって、昇格者が選定されます。(この人事評価結果はもちろん、賞与や昇給額にも反映されます)専門性や能力ももちろん必要ですが、英語力(TOEIC)も昇格の必須要件の一つであることも特徴です。

「査定に関しては上司が完全に決める」「基本的に年功序列で、若いうちは特に差がつかない」というネガティブコメントも目につきます。しかし、「査定制度は妥当。頑張れば頑張った分だけ報酬に反映される」「単に年数を重ねただけでは昇格できない。結果の出し方も評価される」と、人事制度はしっかりと機能しており、社員にとっても納得性の高い制度であると言えます。また、年功序列の風土についても昨今は改革の流れがあり、「実力が評価されスピード出世する人も」という口コミにもあるよう、通例とされていた滞留年数に関わらず、ある意味飛び級的に昇格するケースも散見されるようです。

トヨタ自動車社員の口コミ(キャリコネ)

満足度の高い査定制度と報酬レベル

「もともとのベースがたかく、さらに毎年昇給していく 査定制度や報酬額に関して不満がある人はいない……

年功序列の風土を覆すケースも

「メーカーとしてはダントツの給料だと思う 最近の若手には実力評価でスピード出世していく人も……

トヨタ自動車のライバル企業と比較

自動車メーカーとしては断トツ

2018年世界販売台数ランキングは、1位フォルクスワーゲン、2位日産・ルノー・三菱自動車、3位トヨタグループ、4位ゼネラル・モーターズ、5位現代自動車グループ、6位フォード、7位ホンダと続きます。今回の比較対象としては、日本メーカーの3社、日産、三菱自動車、ホンダ(本田技研工業)を選定します。

トヨタ自動車の平均年収が851.6万円に対し、日産自動車は815.5万円、三菱自動車が742.1万円、本田技研工業は819.8万円と、トヨタ自動車に軍配が上がる結果となっています。もちろん、総合商社や一部の金融系企業には劣る数字ではあるものの、自動車メーカーとしては、シェアとともに、断トツのレベルの報酬レベルであると言えるでしょう。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
トヨタ自動車851.6万円39.4歳15.7年74515人126344.4億円
日産自動車815.5万円41.8歳18.4年22791人36444.8億円
三菱自動車742.1万円41.3歳16.1年14171人115858.2億円
本田技研工業819.8万円45.6歳24.1年22675人40775.6億円

出典・参考
厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」「平成30年国民生活基礎調査」
経済産業省「平成30年企業活動基本調査速報-平成29年度実績-」
国税庁「平成30年度民間給与実態統計調査」
マイナビ「業種別 モデル年収平均ランキング」

この記事の執筆者

東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。


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