2022年07月22日

【平均年収872.3万円】住友林業の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】住友林業の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


2041年までに高さ350メートル、地上70階建ての木造の高層ビルを建てる ー そんなとんでもない目標を掲げた企業があります。あまりに型破りで非現実的なこの構想を打ち出したのが、木造住宅のリーディングカンパニー、住友林業だというから、なおのこと驚かされます。

計画されているビルは住居や店舗などが入る複合ビルで、内装にも木材を多く使うため従来の高層ビルとは異なる雰囲気になるそうです。そう聞くと楽しみではある一方、耐震性や防火性などの多くの疑問が残ります。

住友林業が誕生したのは元禄4年、西暦でいうと1691年で、今年で創業328年目を迎える日本屈指の歴史ある企業です。住友家による現愛媛県別子銅山の開発と別子銅山での備林の経営が同社のルーツで、2041年は創業350年目にあたり、350メートルという高さはそこからきています。今回のように壮大な事業を企画できるのは、経営が安定しているという同社の自信の表れでもあります。

また住友林業は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

住友林業の平均年収は872.3万円

それでは、はじめに住友林業の平均年収について見ていきます。住友林業の平均年収は、住友林業の有価証券報告書によると、872.3万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出した住友林業年代別年収レンジは、20歳代で500〜550万円、30歳代で700〜750万円、40歳代で910〜960万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.76倍の額です。

住友林業の平均年収推移

グラフが表示されない場合はこちら
住友林業・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2021年12月期872.3万円43.2歳15.8年5091人
2020年12月期869.9万円42.6歳15.2年5073人
2020年3月期858.7万円42.5歳15.2年4914人
2019年3月期859.3万円42.2歳14.9年4824人
2018年3月期867万円42歳14.8年4693人

出典:住友林業・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
住友林業の平均年収は前年を上回り872.3万円でした。
過去5年間では最高額になりました。

住友林業の年代別平均年収と中央値

住友林業の年収中央値は30代で722.6万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

住友林業の年収実態
年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代517.1万円30万円123.7万円465.39万円
30代722.6万円41.4万円173万円650.34万円
40代927.4万円52.8万円222.2万円834.66万円
50代1171.4万円66.4万円280.8万円1054.26万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

住友林業と競合他社の平均年収を比較

住友林業の競合や同業界である積水ハウス、積水化学工業、大和ハウス工業の4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、住友林業が872.3万円、積水ハウスが799.5万円、積水化学工業が897.2万円、大和ハウス工業が884.2万円です。
この4社の中で最高額は積水化学工業の897.2万円で、最低額が積水ハウスの799.5万円。その差はおよそ98万円で、そこそこの差があります。
この比較企業の中では住友林業は3番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
積水化学工業897.2万円43.6歳15.7年2761人3591.76億円
大和ハウス工業884.2万円39.7歳15年16147人19761.65億円
住友林業872.3万円43.2歳15.8年5091人472.02億円
積水ハウス799.5万円43.3歳16.7年15017人11503.64億円

住友林業の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

住友林業の年収が高い理由

利益率の高い受注にポイントをつけて賞与に反映

住友林業では利益率の高い受注に応じてポイントをつけ、それをもとに賞与を支給する仕組みとなっています。営業職の賞与は、成績とそのポイントによると考えてよいでしょう。ポイントは利益率に比例して与えられるため、苦労して受注できたとしても、利益率の低い案件であればポイントはあまり伸びず、高い案件の受注に成功すれば一気に大きな数字が加算されるようです。

最近では他のメーカーとの価格競争も激化しており、厳しい競争の中受注に成功するためには、利益率を下げざるを得ないケースも多いといいます。そういった厳しい側面もあるポイント制度ですが、一方で利益率の高い案件の受注に成功すれば、ボーナスが大幅にアップする可能性があります。新卒入社5年も経っていない20代の若手社員でも、年収700万円から800万円になる人もいるほどです。

住友林業社員の給与明細(キャリコネ)

年齢にインセンティブも加わって年収が倍に!!

20代・コンサルティング営業(非管理職)の 給与明細

30代・コンサルティング営業(非管理職)の 給与明細

ポイント制度の影響!?同年代でも大きな差が!

20代・企画営業(非管理職)の 給与明細

20代・企画営業(非管理職)の 給与明細

住友林業で働く上での課題・懸念点

歩合制に馴染めるかどうか

就職先として考えた場合の住友林業の大きな課題点は、やはり給与体系の不安定さといえるでしょう。平均年収は高いといっても基本給は特別高い水準とはいえず、歩合で稼ぐ企業です。数字として出せなかった年はほとんどボーナスを得ることができないため、年収にすると300万円を切ることもあります。逆に数字として目に見える成果を上げることができれば、新入社員でも1000万円を優に超えることがあります。

つまり数字を出せる社員や出せない社員、数字を出せた年度、出せなかった年度で、年収に非常に大きな差が出るということです。また歩合が支給されるタイミングは、契約時ではなく建物の竣工時を基準としており、受注や販売に成功してすぐ翌月に給与が増えるわけではないことも、留意する必要があります。

住友林業には年収以外にメリットはある?

ここまで住友林業の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?

入社してすぐに、歩合制をベースにした成果主義の給与体系が適用されるわけではありません。入社後3年間は育成の期間となっているので、思うような成果を出せなくてもボーナスは固定で保障されます。ただし3年経つとその制度は利用できなくなり、成績で年収が決まってきます。3年の間に自分なりの必勝法を身に付けておく必要があるといえるでしょう。3年とはいえ猶予期間がある点は、成果主義の企業としては比較的寛容な対応です。

この背景には、住友林業はハウスメーカーという一側面にとらわれず、住宅建材には使えない木材料をエネルギーに利用する再生エネルギー事業に乗り出すなど、収益構造を拡大している同社の挑戦姿勢にあるといえます。

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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