2022年07月28日

【平均年収877.6万円】横河電機の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】横河電機の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


2018年11月の禁輸制裁では180日の一時的適用除外を認められていた日本ですが、猶予期間の期限である2019年5月に、アメリカによる対イラン制裁が再開されました。これにより、国内のガソリン価格が一時2015年前半の高さまで上昇し、私たちの国民生活への影響が広がりつつありましたが、2019年8月には落ち着きを取り戻した状態です。とはいえ、今後のイラン情勢の動向、石油輸出国機構(OPEC)の需給管理制裁などによっては、秋の行楽シーズンに向けて再び値上がりする可能性も残されています。

その一方で企業は、原油価格の上昇を機に設備投資に対する意欲を持ち直しているのです。これが好機となり、受注が増え増益を計上している好調な企業があります。それが今回取り上げる、プラント制御システムで日本首位を誇る横河電機です。

横河電機の前身となる横河電機研究所は1915年、当時は輸入に依存していた計測器の国産化に取り組むため、建築家として知られた横河民輔氏によって東京で設立されました。設立から半世紀以上が過ぎ、1975年に世界で初めて分散型生産制御システム(DCS)を販売しました。プラントの安定稼働実現を目指して40年以上を超えた今も、お客様に高く評価されている企業です。

また横河電機は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

横河電機の平均年収は877.6万円

まずはじめに横河電機の平均年収を見ていきましょう。横河電機の平均年収は877.6万円です(横河電機有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考に横河電機の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で520〜570万円、30歳代で720〜770万円、40歳代で900〜950万円という結果がでました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.78倍の額です。

横河電機の平均年収推移

グラフが表示されない場合はこちら
横河電機・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2022年3月期877.6万円44.9歳18.5年2503人
2021年3月期880.4万円45.2歳18.8年2536人
2020年3月期856.2万円45歳19.1年2496人
2019年3月期863.1万円45歳21.4年2574人
2018年3月期872.8万円44.9歳20年2590人

出典:横河電機・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
横河電機の平均年収は前年を下回り877.6万円でした。
過去5年間では2番目に高い額になりました。

横河電機の年代別平均年収と中央値

横河電機の年収中央値は30代で744.1万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

横河電機の年収実態
年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代538.4万円34.9万円96.6万円484.56万円
30代744.1万円47.8万円133.7万円669.69万円
40代924.8万円59.1万円166.2万円832.32万円
50代1093.4万円69.6万円196.5万円984.06万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

横河電機と競合他社の平均年収を比較

横河電機の競合や同業界であるアズビル、島津製作所、堀場製作所の4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、横河電機が877.6万円、アズビルが773万円、島津製作所が841万円、堀場製作所が619.7万円です。
この4社の中で最高額は横河電機の877.6万円で、最低額が堀場製作所の619.7万円。その差はおよそ258万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では横河電機は1番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
横河電機877.6万円44.9歳18.5年2503人1049.26億円
島津製作所841万円43.4歳18.3年3491人2246.08億円
アズビル773万円45.9歳20.1年5329人1748.79億円
堀場製作所619.7万円41.2歳14.9年1542人500.13億円

横河電機の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

横河電機の年収が高い理由は?

横河電機の年収が高い理由の1つとして、好調な制御事業が総売上高の80%強を占めている点が挙げられます。2017年度のセグメント別売上比率を見てみると、制御事業は89.3%と非常に高い数字が占めており、残りの10%程度が創業時からの事業である計測事業とそのほかの事業の売上です。制御事業では冒頭で紹介した制御・運転監視を実現するDCS(分散型制御システム)をはじめ、生産設備の状況をリアルタイムで計測するセンサー、分析機器、そしてプラントの事故を未然に防止する安全計装システムを提供しています。そしてこれらハード製品やシステムに加えて、ソフトウェア製品やコンサルティングサービスなど、ソフト面からもプラントの管理業務を支援する幅広い事業で展開をしています。

さらに海外市場でのビジネス拡大による収益の増加も、年収を押し上げる要因です。2005年度における制御事業の海外売上高比率は約半分の47.6%ですが、毎年その比率を高めており2017年度には70.6%まで拡大しています。また海外比率拡大に伴い海外売上高も増え、2005年度の海外売上高1205億円は、2017年度までに200%超の増加となる2563億円を計上しており、著しい成長をみせています。

横河電機社内で年収が高い職種・役職は?

横河電機では、基本給よりはボーナスで報酬を支払う傾向があります。基本給が低くても、基本給の約6か月分が年間賞与として支給されるため、結果として年収が上がるのです。

また年功序列の色が強く反映されており、40代以降から役職に就くことで年収に差が出てきます。一般社員のグレードは4つに分かれていて、さらに同じグレード内にもいくつかの階級に区分されています。そのため階級の違いや所属部署の違い、また経験年数などによって同じグレード内の同じ職種であっても年収にばらつきがあるものの、最終的には実力に応じて40代ごろから課長などのマネージャー職に就き、活躍するケースが多いようです。課長になると、1000万円台を超える年収が期待できると考えてよいでしょう。

キャリコネに寄せられた給与明細を見ると、世代間での違い、同年代・同職種なのになんでこんなに差が生まれるのかの理由が確認できます。

横河電機社員の給与明細(キャリコネ)

同職種であっても20代と30代で違いが!

20代・機械設計(非管理職)の 給与明細

30代・機械設計(非管理職)の 給与明細

賞与の有り無しで年収に大きな違いが!

20代・技術関連職・賞与あり(非管理職)の 給与明細

20代・技術関連職・賞与なし(非管理職)の 給与明細

年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。

横河電機の見落としがちな留意点、課題は?

横河電機に就職・転職を考える場合の留意点として、海外勤務や海外出張が多いことが挙げられます。地域別人員構成で日本は全体の37%と低く、サービス拠点が80か国に加えて海外開発拠点も8か国に点在し、海外出張や海外駐在勤務となる確率が高いと考えてよさそうです。

また上司が外国人になる可能性もあります。同社がグローバルに事業を拡大するなかで、海外そして国内でも多様な人種や国籍をもつ人材の活用を進めています。そしてハード製品を売る従来型ビジネスからコンサルティングなど、サービスやソリューションを販売するビジネス形態へと変わっているため、海外のコンサルティングに強い企業から同社へ加わった外国人も活躍しているのです。言語能力や海外渡航・海外勤務に心配がある方は、その頻度や可能性を事前に確認しておくとよいでしょう。

横河電機には年収以外にメリットはある?

ここまで横河電機の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?

横河電機は働きやすい企業として、社員から多くの支持を得ています。横河電機の平均勤続年数は21年で、大学卒業後の22歳から定年60歳までの38年の半分にあたる、勤続年数19年を定着率の高さの目安とすると、同社は定着率が非常に高い企業といえるでしょう。

勤続年数の高さの理由は高年収だけではなく、ワークライフバランスの取りやすい職場環境にもあります。取得時期が選べる夏休みや、年間定められた有給日数取得を奨励するフレックスホリデー制度が設けられています。さらには業務に支障がない限り、前日に申し出るだけで有給休暇を取得して家族の行事や私用にあてることもできるのです。この他にも、部下の残業が少ないことが上司の評価基準の1つであることから、残業が少ない点も社員に人気のポイントです。

休暇の取りやすさと残業の少なさを会社の魅力と感じて働く社員が多い横河電機は、職場での社員のやる気を最大限に引き出し、今後加速するダイバーシティー化の強みを活かして、グローバル企業として活躍しつづけることでしょう。

結論的には、就職・転職先として非常に魅力的だと言っていいでしょう。

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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