【年収研究シリーズ】クボタの年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
2018年秋の大人気ドラマ「下町ロケット」の続編では、「佃製作所」の新たな戦いの舞台として農業機械が登場しています。劇中で使用される農業機械の提供はもちろん、シナリオ制作や機械操作などの技術指導や監修まで手がけているのが、今回取り上げる企業「クボタ」です。クボタは農業機械メーカーでは国内首位、そして世界では3位のシェアを有しています。
都会の日常生活ではあまり見かけることのない農業機械ですが、同ドラマ放送中のクボタのトラクターのCMが話題になっています。視聴者からは「下町ロケットのCMにクボタのトラクターが映っている。トラクターのCMなんて普段見ない。ここだけでしか見ない!」との声や、ドラマ内の「農業を救いたい」の言葉の後にクボタのCMが流れることに対し「この流れでクボタのCM、メチャかっこいいな、ほんと!」といった声も聞かれ、世間でも農業機械に対する興味がわき上がってきているようです。
またクボタは年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。
クボタの平均年収は794.2万円
それでは、はじめにクボタの平均年収について見ていきます。クボタの平均年収は、クボタの有価証券報告書によると、794.2万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出したクボタ年代別年収レンジは、20歳代で470〜520万円、30歳代で650〜700万円、40歳代で820〜870万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.61倍の額です。
■クボタの平均年収推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
クボタの平均年収は前年を下回り794.2万円でした。
過去5年間では3番目の額になりました。
クボタの年代別平均年収と中央値
■クボタの年収中央値は30代で673.5万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
クボタと競合他社の平均年収を比較
クボタの競合や同業界である豊田自動織機、日立建機、小松製作所、酒井重工業、井関農機の6社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、クボタが794.2万円、豊田自動織機が774.8万円、日立建機が717.2万円、小松製作所が747.1万円、酒井重工業が593.8万円、井関農機が585.4万円です。
この6社の中で最高額はクボタの794.2万円で、最低額が井関農機の585.4万円。その差はおよそ209万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではクボタは1番目に位置します。
クボタの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
でもなぜクボタの年収が高いのでしょうか? その理由を探っていきましょう。
クボタの年収が高い理由
■農業機械でシェア世界第3位
クボタの年収が高い理由は、機械部門の存在にありました。クボタの全体売上高1兆7515億円のうち、機械部門の売上高は1兆4366億円と実に82%も占めており、水・環境部門が16.3%、その他が1.7%と、機械部門が群を抜いて高いことがわかります。
この機械部門では、国内首位の売上高を誇る農業機械の製造をしています。さらに海外に目を向けると、農業機械でのクボタの立ち位置は首位の米国Deere(ディア)、2位のイギリスCNH Industrialに続き、なんと世界3位です。また機械部門では、ミニショベルも製造していますが、重量6トン未満のミニショベルの販売においては、クボタが世界シェアNo.1を占めています。この建設機械事業を農業機械に次ぐ主力事業に位置づけており、今後ますます注力していく構えです。
また機械部門の利益率は13.8%と高い数値を記録しています。水・環境部門の利益率が9.2%であることを鑑みると、いかに利益率の高い事業であるかがわかるでしょう。
■40代後半で1500万円
クボタには年功序列の風潮があり、40歳手前で管理職に昇格してから給与が大幅に上昇していくようです。1つの目安として、35歳の課長で年収900万円、40代後半の部長で1500万円、50代の部長で1700万円くらいと考えてよさそうです。
管理職になるためには試験を受けなければなりませんが、試験を突破し、管理職の地位を目指すのが年収アップへの近道でしょう。なお技術職では、一定の単位の取得や論文の作成が必要になることもあるようです。
また、年収における賞与の占める割合が高いのがクボタの特徴です。賞与は会社の業績に大きく左右されるため、現在のような好業績が続けば高い収入が期待できるかもしれません。
キャリコネに寄せられた給与明細を見ると、世代間での違い、同年代・同職種なのになんでこんなに差が生まれるのかの理由が確認できます。
クボタ社員の給与明細(キャリコネ)
20代と30代で賞与に大きな差が!
20代・研究開発(非管理職)の
給与明細
30代・研究開発(非管理職)の
給与明細
同年代・同職種でも年収に差が!
20代・法人営業(非管理職) の
給与明細
20代・法人営業(非管理職) の
給与明細
年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。
アジア圏での農業の構造変化に対応できるか
クボタの海外売上比率は全体の約7割を占めているため、海外市場の動向は今後の懸念材料といえます。クボタがシェア4割を握る北米では、競合メーカーのDeere(ディア・米国)が参入し、ローン金利ゼロのキャンペーンを展開したため、クボタは7年間無金利の施策で対抗しました。その結果、クボタに販売奨励金の負担が重くのしかかったため、2018年12月期は営業減益につながる見通しです。
また、中国の農業機械市場の急激な低迷によりクボタは打撃を受けています。中国を含むアジア事業の2018年7~9月期の売上高は798億円で、前年同期より6%も減少しました。中国で刈り取り作業を専門に請け負う「賃刈り屋」が相次いで参入したため、刈り取りビジネスから撤退する業者が増え、農業機械の販売が急激に減速したことも一因と考えられています。
クボタには年収以外にメリットはある?
ここまでクボタの年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
クボタは海外展開の先に、グローバル・メジャー・ブランド(GMB)になることを目指しています。社長の木股氏の言葉によれば、GMBとは「売上や利益で世界のトップを争うブランド」ということだけでなく、「もっとも多くのお客様から信頼されることによって、もっとも多くの社会貢献をなしうるブランド」であるということを意味しています。
クボタのミッションでサービスの対象とするのは、食料・水・環境であり、いずれも人類の生存に欠かせないものです。日本発のメーカーで、生きるために欠かせないものを作り出し世界で1番を目指したい人、そして拡大する社会貢献に共感できる人には、ぜひとも目指してほしい企業といえるでしょう。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
転職系アフィリエイトサイト・転職エージェントサイトらによる剽窃・模倣を禁止します。 もし剽窃・模倣を発見された方は「お問い合わせ」よりお知らせください。