2022年07月27日

【平均年収747.1万円】コマツ(小松製作所)社員の給料は実際いくらもらっているのか?

【年収研究シリーズ】コマツ(小松製作所)の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


コマツ(小松製作所)は、日本国内はもちろん、世界に名をとどろかせる建設機械メーカーです。しかし世界有数の建機企業に成長するまでの道のりは、決して順風満帆ではありませんでした。1921年に竹内鉱業より分離独立して設立された小松製作所は、国産第1号の農耕用トラクターを完成させるなど、国内の建設機械・鉱山機械メーカーとしての道を歩んできました。1960年代に海外事業を開始してからは、現場主導で海外ビジネスを展開し、技術力優先の企業だったのです。

結果として2001年に元社長の坂根正弘氏が社長として就任した時点で、非効率な経営の広がりから経営赤字を抱えており、さらには台頭してきたアジア企業との激しい競争にも直面していました。そんな中で坂根元社長は「ダントツ経営」と呼ばれる戦略を打ち出し、強みをもつ製品に集中特化して経営を効率化させ、新興国中心の成長市場で事業を展開しました。とくに建機にGPSと通信機器を搭載した「盗まれない建機」は、ICT(Information and Communication Technology)を用いた主力製品として力を注ぎ、2004年には営業利益3500億円という数字をあげて、見事なV字回復を果たしたのです。

またコマツは年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

コマツの平均年収は747.1万円

それでは、はじめにコマツの平均年収について見ていきます。コマツの平均年収は、コマツの有価証券報告書によると、747.1万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出したコマツ年代別年収レンジは、20歳代で440〜490万円、30歳代で610〜660万円、40歳代で770〜820万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.51倍の額です。

コマツの平均年収推移

グラフが表示されない場合はこちら
小松製作所・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2022年3月期747.1万円40.4歳15.9年11927人
2021年3月期718.6万円39.8歳15.3年11795人
2020年3月期746.8万円39.5歳15.1年11692人
2019年3月期760.8万円39.6歳14.3年11537人
2018年3月期738.7万円39.3歳14.1年10465人

出典:小松製作所・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
コマツの平均年収は前年を上回り747.1万円でした。
過去5年間では2番目に高い額になりました。

コマツの年代別平均年収と中央値

コマツの年収中央値は30代で633.7万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

小松製作所の年収実態
年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代458.6万円29.7万円83.8万円412.74万円
30代633.7万円40.6万円115.9万円570.33万円
40代787.5万円50.2万円144.1万円708.75万円
50代931万円59.1万円170.4万円837.9万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

コマツと競合他社の平均年収を比較

コマツの競合や同業界である日立建機、豊田自動織機、クボタ、酒井重工業の5社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、コマツが747.1万円、日立建機が717.2万円、豊田自動織機が774.8万円、クボタが794.2万円、酒井重工業が593.8万円です。
この5社の中で最高額はクボタの794.2万円で、最低額が酒井重工業の593.8万円。その差はおよそ201万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではコマツは3番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
クボタ794.2万円40.4歳14.9年11711人10750.18億円
豊田自動織機774.8万円41.2歳18.7年14200人9620.29億円
小松製作所747.1万円40.4歳15.9年11927人9522.47億円
日立建機717.2万円39.9歳15.6年5496人5518.59億円
酒井重工業593.8万円40.8歳14.6年312人205.09億円

コマツの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

コマツ社内で年収が高い職種・役職は?

採用の時点で、G(全社採用)とE(事業所採用)の2つに分かれ、待遇の違いから、Gの給与が高い傾向があります。G社員は国内外での勤務があり、2018年春の初任給実績で技術系は23万9200円に対して、事務系は21万8200円です。Eは原則的に採用事務所の運営に携わり、技術系には21万8200円、事務系には20万8200円が支払われています。

さらに昇格と昇給でも違いが生じます。Gは2~3年に1回昇格をし、基本給が3~5万円程度あがりますが、事業所に限定されたEの職種階級はGよりも昇格頻度は少ないようです。また年功序列の色合いが濃く、30代で多くの社員の年収が600万円に届きます。その後は主任技師で800万円超となり、1000万円を超えるのは管理職に上がってからのようです。

キャリコネに寄せられた給与明細を見ると、世代間での違い、同年代・同職種なのになんでこんなに差が生まれるのかの理由が確認できます。

コマツ社員の給与明細(キャリコネ)

同職種でも20代と30代では年収に差が出る!

20代・研究開発(非管理職)の 給与明細

30代・研究開発(非管理職)の 給与明細

賞与額の違いと手当の有無でこんなに差が…

20代・技術関連職・賞与あり(非管理職)の 給与明細

20代・技術関連職・賞与あり(非管理職)の 給与明細

年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。

コマツの見落としがちな留意点、課題は?

コマツの留意点としては、E(事務所採用)であっても転居を伴う転勤が発生する場合があることです。同社の採用サイトには3~4年の期間を定め、転居を伴う異動が発生する可能性が公表されています。転居が必要となる点に懸念がある方は、事前に詳細を確認するとよいでしょう。

またEで採用された後に転勤を経験し、転勤先でG(全社採用)への職種転換をしたにもかかわらず、給与を見ると入社時期からGとして働いている社員と同じ水準まで大きく伸びないこともあります。Eのメリットである転居が発生しない異動を享受できないだけでなく、転換後に仕事に見合った待遇を受けられないのであれば、社員として待遇の見直しを求める改善の声をあげる必要がありそうです。

コマツには年収以外にメリットはある?

ここまでコマツの年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?

コマツは社員の私生活を支えるため、複数の休暇制度を用意しています。年間休日数が多いだけでなく、年次休暇のうち5日間を連続して取得し、前後の週末をあわせて9連休にすることで海外旅行や趣味の時間にあてられます。さらにライフサポート休暇も別に設けられ、病気による通院、出産の立会いや育児などに使うこともできるのです。

2006年に制定された経営基本「コマツウェイ」には、品質と信頼を追及し、コマツを取り巻く社会とすべての関係者からの信頼度をあわせたものを企業価値と考えて、最大化するための指針が書かれています。コマツは企業価値を高めるため、関係者である社員との信頼関係の構築に力を注ぎ、ワークライフバランスにも大きく配慮しているといえるでしょう。

結論的には、就職・転職先として非常に魅力的だと言っていいでしょう。

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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