積水化学工業の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
幅広い事業分野を有する積水化学工業を束ねているのは、「社是」「グループビジョン」「経営戦略」の3要素で構成される"理念体系"です。3要素のうち、最も根本的な存在が「社是(3S精神」です。
この3S精神における「社会的価値の創造」「社会からの信頼獲得」といった文言からは、社会における価値や影響を意識した事業姿勢が感じられます。大企業ならではの、スケールの大きい姿勢と言えるでしょう。口コミにも「大きな取引に参加でき、キャリアアップが望める」と、企業規模によるメリットを挙げる声が見られます。
「社内の風通しが良い」と社内の雰囲気を評価する口コミも多く見られました。年功序列や女性の活躍しにくさなど、古い企業体質を指摘する声もあるものの、社員同士が良好な人間関係を築ける環境があるようです。
また、特徴的なのが積水化学工業の「理念を重んじる社風」です。創業以来の志を明文化したものが社是であり、具体的なビジョン・経営戦略に先行するものです。
しかし、この理念先導の経営方針が社員にとっては「具体性に欠ける」と映ることもあるようで、「計画を大きく立てすぎ。現場の人間のことを考えた明確なビジョンを」という口コミも見られました。一方で、「なぜ働くかを考えるのはいいことだ」と肯定的に受け止める向きもあり、これは社員自身の考え方や志向によるものが大きいでしょう。採用面接では、こうした社風にフィットする人材かどうかを見極められます。
■選考は何次まで?
書類選考通過後、内定までには1ヵ月~3カ月、通常3回の面接があります(面接の間に適性検査を挟む)。1次面接は人事担当者、2次面接は部署管理職者、最終面接は役員が面接官となることが多いようです。
奇をてらった質問はあまりなく、オーソドックスな質問にいかに的確に答え、自分なりの考えを語ることができるかを見られているようです。
現在、積水化学工業の「際立ち」をキーワードとして中途採用を行っています。他社の模倣や追随を許さないオリジナルな事業を目指す中、その実現のためにともに働き、また改革を呼び込む存在として中途入社者を求めていると考えられます。この「際立ち」を具体化するメンバーとして、自分のどのような能力やスキルが活かせるのか、整理しておく必要があります。
■面接内容の傾向は?
「どんなことを勉強したか」「どのようなことに気をつけてボランティアに取り組んでいたか」など、応募者の考え方や人柄を探る質問が多いようです。「なぜ転職するのか」「営業にとって一番大切なことは何か」など、答えがイエスやノーではなく、応募者が自分自身の言葉で回答しなければならない質問も多いようです。
「チームを率いる立場にいる場合、もっとも重要だと思うアクションは何か?」と質問された人もいました。自分で考えることのできる人材であることを前提として、その考えを仕事にどのように活かせるのかを問われていると言えるでしょう。
面接に挑む前に、普段自分がとっている行動がどのような考えに基づいているのか、確認しておく必要があります。具体的なエピソードを語る際にも「その根底にはどのような動機や考えがあったのか」をアピールできると良いでしょう。自分なりの「理念」を持ち、行動にうつせる人材であると印象づけることができます。
難易度の高い質問にもできるだけ的確に答えられるように、質疑応答のシミュレーションも十分にしておきましょう。
積水化学工業の面接攻略法(面接対策)
■積水化学工業の中期経営計画を踏まえた自己分析
積水化学工業の面接を受ける上では、経営戦略(中期経営計画「SHIFT 2019-fusion-」)を理解しておくことが不可欠です。
(以下、中期経営計画とします)
2017年4月に発表されたこの計画では、経営基盤の強化に加えて、「fusion(融合)」という中核概念が掲げられています。
やや抽象的な表現ですが、これは前中期経営計画において「協創」と呼ばれた取り組みからさらに一歩踏み込んだものと言えます。
ここで言われる「融合」とは、積水化学工業の持つリソースを3カンパニーの垣根を越え、社内外の括りをも越えて連携させることです。
この連携により企業としての成長の質をこれまでとは変え(シフト)、さらに成長を加速させ、2020年代の新たな中期経営計画へと繋げていくことを目指しています。
たとえば技術面で言えば、異なるカンパニーの持つ技術をかけ合わせ、新たな技術や製品を生み出すこと、それによって既存事業をも成長させ、企業としての競争力を強化していくような施策が「SHIFT 2019-fusion-」です。
この中期経営計画の全体像は下図のようになっています。
「SHIFT」の5要素中でも多様な人材の活躍を挙げていますし、中途採用のキーワードである「際立ち」はこの図の中でも「競争優位性」として位置づけられています。
事業における競争優位性を確保するために、独創的な思考・能力の人材や、事業の独創性をともに創っていけるような人材が求められていると言えるでしょう。
また、「社風への理解」の項目で触れたように、この中期経営計画には社是(3S精神)が先行して存在します。中途採用面接に挑むにあたっては、この3S精神もしっかりと理解しておくことが必要です。
■「なぜ積水化学工業に転職したいのか」の明確化には他社研究を忘れずに
積水化学工業の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ積水化学工業か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人物は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、積水化学工業という企業についてしっかりと理解する。そのためには競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●株式会社カネカ
●富士フイルム株式会社
●三井化学株式会社
積水化学工業の採用面接で実際に聞かれた質問内容
このように積水化学工業の採用面接を受ける上では、経営戦略に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では「幅広い分野にわたる事業を束ねるために理念を重視する」という社風を意識して、「積水化学工業の理念体系をきちんと理解し、それに基づいて事業成長のための業務を遂行できる人材」であると印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくといいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
20代・男性/代理店営業【3次面接を辞退】
40代・男性/商品企画【結果待ち】
30代前半・男性/法人営業
20代後半・男性/海外営業【3次面接を辞退】
積水化学工業の採用面接に向けて
積水化学工業の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●大企業ゆえの古さが良くも悪くも残る社風、社会における事業の影響や意義を重視する理念先導型の社風を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
●積水化学工業の中期経営計画を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
●競合他社についての理解を深め、「なぜ積水化学工業なのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールできるよう心がけましょう。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。