ゼンリンの採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
1948年、大分県別府市の名所旧跡を紹介する小冊子の付録として地図を製作したことから事業をスタートさせたゼンリン。社名の由来は「善隣(善隣友好)」であり、戦後ゆえに可能となった地図製作・販売を通じて平和な社会に貢献する意思が込められています。1982年、全国を網羅する住宅地図情報を強みにデジタル地図分野へと進出、カーナビの普及とともに大きく成長してきました。地図の製作・販売はもちろん、あらゆるプラットフォームをターゲットとしてデジタル地図情報を提供する国内最大手の地図情報会社です。
そんなゼンリンの口コミからは、安定性を重視する保守的な社風が浮かび上がります。九州に本社を置く企業のため、給与水準は東京都心部の企業には及ばないものの、住宅手当をはじめとした福利厚生の充実、休暇の取りやすさ、女性が働きやすい制度があることなどを評価する声が多く聞かれます。休日出勤や残業も抑制傾向にあり、パソコンの稼働と連動して労働時間管理がおこなわれているなど、労働環境は極めてホワイト。
また、「やる気と実績があれば男女問わず責任ある仕事を与えてもらえる」「学閥・派閥がなく本当に自身の実力だけで勝負できる」といった口コミが散見され、実力主義の企業風土に満足感を抱く人も多いよう。
しかし、「寡占企業で競合が少ないためか保守色が強い」「危機感がない」という声も。おっとりした人が多く、良くも悪くも大らかで変化を嫌う傾向がある様子。女性管理職はまだ少なく、部署や上司によって職場の雰囲気が大きく異なる縦社会の一面もあるなど、アグレッシブに成果を追い求めながら働きたい人には向かない環境と言えそうです。
こうした安定性を重視する保守的なゼンリンの社風のもと、能力を活かして意欲的に業務に取り組むことができるかどうかは、応募者側・採用側どちらにとっても重要なポイントです。自分の性格やスキルはもちろん、キャリアビジョンも見直しながら対策をおこなっていきましょう。
■選考は何次まで?
コーポレートサイトのキャリア採用ページによると、ゼンリンの選考プロセスは転職サイトへのキャリア登録からスタートします。口コミによると、書類選考通過後、筆記試験を挟んで複数回の面接があるようです。グループディスカッション形式の面接に参加する場合もあるため、当日慌てないように心の準備をしておきましょう。選考期間は1週間~3ヶ月程度と、個人によって大きく異なることも事前に知っておく必要があります。
コーポレートサイトの新卒採用ページには、「先輩社員紹介」や「ジョブストーリー」といったコンテンツが掲載されており、キャリア採用への応募者が読んでも参考になる内容となっています。企業研究の一環として、職場の雰囲気や実際の業務内容を掴むためにも一読しておきましょう。
■面接内容の傾向は?
面接では、ゼンリンでの業務に活かせるスキルや発想力を探る傾向があります。「将来のプランニングと現在何ができるか」について問われたり、「実現不可能でもいいので、あなたが考えるナビシステムをプレゼンしてください」と求められたりすることがあるようです。「今持っているスキル」「将来を描く力」「新しい技術や事業の創造に貢献できる発想力」といった、実際に即戦力として業務に取り組むにあたって必要な能力を見ていると考えられます。自己分析をしっかりとおこない、自分のどのようなスキルと素養がゼンリンで活かせるのか、整理しておくことが必要です。その際、「仕事を通じてどのような人材へと成長していきたいか」という視点を盛り込むとよいでしょう。
また、志望動機について聞かれることも多いようです。「業界ナンバーワンだから」という回答に終始しないための綿密な企業研究が必須となります。後の項で述べるゼンリンの中長期経営計画や理念をしっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、ゼンリンへとベクトルを定めた経緯を理路整然と伝えられる準備をしておきましょう。
ゼンリンの面接攻略法(面接対策)
■ゼンリンの中長期経営計画 「ZGP25」を理解した上で自己分析をする
ゼンリンの面接を受ける前に、中長期経営計画「ZENRIN GROWTH PLAN 2025」(以下、ZGP25)を理解しておきましょう。
前中長期経営計画「ZGP2020」を改編して策定された「ZGP25」では、「『量と質』の最適化」をテーマに、上図のような基本方針が策定されています。目まぐるしく変化する事業環境に対応し、社会インフラとしての地図情報を最適な形式で提供し続けること、それにより企業としての持続的成長を叶えることを目指しています。
基本方針の実現のための事業面における方針は上図の通りです。ゼンリンが保有する時空間情報を常に適切な形式で提供することにより、顧客が位置情報を最も高価値な状態で利用できるよう努めます。また、事業の収益構造については「フロー型」「ストック型」「サブスクリプション型」「ハイブリッド型」の4つのビジネスモデルを使い分け、強固な収益基盤を構築したい考えです。
生産面では、業界随一のカバー網を誇る位置情報をネットワーク化し、構築したデータベースに多様性と拡張性を持たせることで、多様化するモビリティ社会において革新的なサービスを提供し続けることを目標としています。併せて、財務面でも健全性を維持、安定した株主還元を続けていくとしています。
また、組織・人事面でも、事業環境の変化に対応できる知見豊かな人材(人財)を育成するための施策と、社員が安心して働ける環境づくりに注力していく方針です。「友愛・奉仕・創造」を社訓とし、「ZENRIN WAY」と呼ばれる理念(上図)を掲げるゼンリンでは、地図情報という社会インフラを通じた社会貢献への意識も重視されています。中途採用においても、「より良い社会への貢献を意識しつつ、ゼンリンの競争優位性を維持するために能力をいかんなく発揮できる人材」が求められていると言えます。実務的な内容に留まらず、社会貢献の観点からも自己PRができると好印象でしょう。
■「なぜゼンリンに転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
ゼンリンの面接では「なぜゼンリンか」と聞かれる場面が多く見られます。ゼンリンの場合、志望動機を問うことで面接官は「これまでのキャリアや能力、素養をどのように当社で活かすつもりなのか」といった入社後のビジョンと併せて、「当社のことをどれだけ理解しているか」「事業面の成長への貢献だけでなく、社会的意義を考えつつ業務に取り組める人材なのか」を見極めようとしています。
自分の希望する職種への理解だけでなく、ゼンリンという企業の根底にある理念や方向性についてしっかりと理解した上での自己PRが大切です。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れずにおこないましょう。業界トップであること以外の面からも「なぜ同業他社ではなくゼンリンを志望するのか」を論理的に説明することは、面接において大きな意味を持ちます。具体的には、デジタル地図分野で競合する以下の企業について調べておくことがおすすめです。
- 株式会社昭文社
- 株式会社トヨタマップマスター
- インクリメント・ピー株式会社
ゼンリンの採用面接で実際に聞かれた質問内容
ゼンリンが目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。ゼンリンの場合、「安定性を重視する保守的な社風」を意識して、「より良い社会への貢献を意識しつつ、ゼンリンの競争優位性を維持するために能力をいかんなく発揮できる人材」と面接官に印象づけられるようなエピソードを準備し、話の流れに応じて披露できるようにしておくとよいでしょう。
以下に面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。自分が質問を受けた場合に置き換え、ぜひ最適な回答例を探しながら質疑応答のシミュレーションをしてみてください。
[60代後半・女性/プログラマー] 【結果:一次面接で不採用】
[20代前半・男性/企画営業] 【結果:最終面接で不採用】
[20代前半・男性/企画営業] 【結果:入社】
[30代前半・男性/調査・分析] 【結果:入社】
ゼンリンの採用面接に向けて
ゼンリンの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「安定性を重視する保守的な社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
- ゼンリンの中長期経営計画「ZGP25」を理解して、これに沿った自己分析をおこない、自己PRへとつなげる。
- 競合他社についての理解を深め、「なぜゼンリンなのか」に対する答えを明確にしておく。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。