日本政策投資銀行の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
日本開発銀行として、1951年に誕生したDBJ。1956年にはもうひとつの前身である北海道開発公庫が設立され、その後も社会ニーズの変化に対応しながら日本社会と日本経済に貢献してきました。1999年に現在の日本政策投資銀行(DBJ)として再編され、2008年には株式会社化し、「公共性」と「収益性」を目指す組織へと転換しています。
DBJでは、将来的に有望な宇宙開発に関する事業やヘルスケア分野など、さまざまな産業の挑戦に対する支援に取り組んできました。また、東日本大震災の時には成長支援ファンドを立ち上げるなど、復興支援や金融危機時の対応もおこなっています。
以下に、DBJの企業理念を示します。
金融をツールとして、日本社会の未来をデザインしていく。DBJはこうした使命(ミッション)の達成のために価値観を共有し、独自の役割を果たし続けています。
こうしたDBJでは、再生可能エネルギーや宇宙開発など長期間にわたるプロジェクトにかかわる機会が多いことから、「日本の産業全体を意識した仕事ができるため、モチベーションの維持が可能」「プロジェクトごとの結束力が強く、仕事を完遂したときの達成感は計りしれない」といった口コミが見受けられ、働きがいが存分に感じられている様子がうかがえます。
また、若手をしっかりと育成する組織であるため、「若いうちから責任のあるポジションにつくことができる」といった口コミも見られます。日々のキャッチアップが欠かせず体力的にも精神的にもタフさを要求されるものの、チャレンジ精神があり、早い成長を望む人にはこの上ない環境といえるでしょう。
福利厚生として低家賃の社員寮をあげる口コミがあったことも特筆すべき点です。研修制度やワークライフバランス制度が万全に整えられているので、じっくりと腰を落ち着けて仕事に取り組める環境だといえそうです。
金融プロフェッショナル集団の一員として、日本社会の持続的な発展に貢献していく。こうした企業文化に合致するとアピールできる、複数のポイントを準備しておきましょう。
■選考は何次まで?
同行では2020年6月現在、総合職(法人営業部門、投資銀行部門、調査研究部門など)で中途採用の募集をおこなっています。詳細はコーポレートサイトに記載されているので確認しておきましょう。
選考プロセスは、履歴書・職務経歴書を郵送後、2週間を目途に書類選考がおこなわれ、通過の場合は面接の連絡が入ります。面接は複数回おこなわれ、適性試験や能力試験が実施される場合もあるようです。内定した場合は、入社の説明へと進みます。
DBJが求める人物像は、コーポレートサイトの採用ページに詳しく記載されています。これに該当している点を探し、具体的に説明できるよう準備しておくことをおすすめします。また、コーポレートサイトの新卒採用ページには、職員のインタビューやキャリアストーリーなどが掲載されています。これらにも目を通し、同行の雰囲気をつかんでおきましょう。
■面接内容の傾向は?
同行の面接では、志望動機のほかに、これまで担当した職務内容を詳しく聞かれるケースがあるようです。融資業務やM&A業務の経験などを整理し、それらをどのようにDBJで活かしていくか、関連づけて説明できるようにしておくとよいでしょう。
キャリア採用ページの人事部長からのメッセージにもあるように、キャリア総合職の募集は「即戦力人材を補強する」ものではなく、「長期的な視野で人材を育成していく」ものです。オックスフォード大学のビジネススクールと提携した独自のプログラムや、スイスの国際経営開発研究所のプログラムを拡張した研修制度が準備され、海外への派遣も含めた研修制度も非常に充実している同行。研修制度についての詳細は採用ページにもまとめられているので、事前に確認しておくことをおすすめします。また、今後のキャリアパスについて尋ねられても、よどみなく回答できるようにしておければ安心でしょう。
また、面接は想像以上に厳かな雰囲気の中でおこなわれるようです。緊張しないよう事前にしっかり準備し、落ち着いて対応できるようにしておきましょう。
日本政策投資銀行の面接攻略法(面接対策)
■日本政策投資銀行の「ビジョン2030」を理解した上で自己分析をする
DBJの採用面接には、長期ビジョンである「ビジョン2030」を事前に理解した上で臨む必要があります。なお、中期経営計画を理解しておくことも重要です。最新版が策定・発表されていないか定期的に確認し、「ビジョン2030」と同様に、中期経営計画を理解した上で自己分析に落とし込んでおきましょう。
「ビジョン2030」では、以下に示す3点を重点領域として定めています。
「インフラ再構築・強化」については、今後ますます課題となる再生可能エネルギーに関して、日本国内のみならず英国や台湾の洋上発電事業にも取り組んでいます。また、水素社会の実現を目指し、燃料電池自動車向けの水素ステーションの整備に携わるなど、エネルギー政策にも貢献していきます。運輸・交通分野では、羽田空港国際線旅客ターミナルの再拡張を通じて首都機能の強化を実施。その他、陸・海・空それぞれの分野でインフラの強化・再構築の取り組みを進めています。また都市基盤の再整備に向け、環境や社会の目指すべき姿を考慮した街づくりをサポートしています。
「産業の創造・転換と成長」では、ものづくり大国ニッポンを支える産業分野に対して、AIをはじめとした技術革新を踏まえた新技術の事業化・生産性向上に向けた取り組みに対し、さまざまな課題解決の支援をおこなっています。
「地域の自立・活性化」では、DBJに蓄積された多くの知見を通じて地域の特色を活かした案件を創出し、地場産業の発展に取り組んでいます。また国内産業に閉じた支援にとどまらず、海外の先進的な事業への積極的な取り組みをおこなっています。それらの知見を国内市場へ還元し、海外からの投融資の機会の創出にも注力しています。
同行ではリスクを適切に評価することにより、有望な事業や関連する市場の創造をけん引するとともに、危機時の対応など社会的な要請にも的確に応えることによって、2030年の経済・社会においてDBJ独自の役割を果たしていきたいとしています。
「ビジョン2030」を理解した上で自己分析に落とし込み、その中で自身に何ができるのか、どんなことに挑戦したいのかを提示できるよう、具体的なアイデアを複数準備しておきましょう。
■「なぜ日本政策投資銀行に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
同行の採用面接では、「なぜDBJを志望したのか」と問われることを考えておきましょう。この質問は、志望動機のほかに「当社を本当に理解して応募したのか」という点を見極める目的で尋ねられます。これに対応するためには、面接官を納得させる理由を伝える必要があるでしょう。
内定に至るには、DBJに関するさまざまな情報を分析するだけでなく、同様の事業に取り組む他社研究が重要です。競合を研究することで、DBJという組織の立ち位置が明確になり、より同行を理解できるようになるでしょう。以下にあげた金融機関や社会基盤に貢献する国立の機関について調べてみることをおすすめします。
- 株式会社商工組合中央金庫
- 株式会社日本政策金融公庫
- 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)
日本政策投資銀行の採用面接で実際に聞かれた質問内容
DBJに関する企業研究を通じて、同行が目指す方向性や求めている人物像が見えてきたのではないでしょうか。
DBJの採用面接を受ける前には、「ビジョン2030」に基づいた自己分析や、競合研究を踏まえた志望動機の整理がポイントとなります。そして面接の場では、「金融プロフェッショナル集団の一員として、日本社会の持続的な発展に貢献していける」人材であると印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくことをおすすめします。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。以下の質問以外に、日本経済に関する意見を聞かれることなどもあるようです。このような質問をされたらどのように答えるか、実際の面接をイメージして回答を考えるながら、対策をしておきましょう。
[20代後半・男性/営業] 【結果:一次面接で不採用】
[30代前半・女性/金融関連職] 【結果:入社】
[20代前半・女性/経理] 【結果:最終面接で不採用】
日本政策投資銀行の採用面接に向けて
DBJの採用面接を受けるにあたって、押さえておきたい重要なポイントをご紹介しきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「金融プロフェッショナル集団の一員として、日本社会の持続的な発展に貢献していく」という企業文化に合致する人材であることをアピールする。
- DBJの「ビジョン2030」を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
- 競合他社についても研究し、「なぜDBJなのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについて万全に対策をおこない、面接当日は冷静さも意識しながら、明るい表情で対応できるように心がけましょう。