Zuoraの概要
Zuora(ズオラ)は、サブスクリプション支援のSaaS会社、つまりサブスクリプション・ビジネスにおける収益向上を支援するプラットフォームを提供する会社です。
Zuoraの創業者は、「サブスクリプション・エコノミー」という言葉を提唱するティエン・ツォ(Tien Tzuo)。従来型の売り切り型ビジネスモデルからサブスクリプション型への変更を、次のように語っています。
従来のビジネスでは、顧客との関係の終着点は購入でした。サブスクリプションビジネスでは、購入は顧客との関係の始まりなのです。(ニック・メータ他著:『カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則』より)
ティエンは、salesforce社の創業期メンバー(11人目の社員)。2007年に米カリフォルニア州でZuoraを創業し、現在は1000人を超える従業員が働いており、世界26カ国の1,000を超える顧客(うち80社は上場企業。FORTUNE 100のうち26社)にサービスを提供しています。
日本法人のZuora Japan株式会社は、2015年8月に設立。代表取締役社長の桑野順一郎氏は、キリバ・ジャパンなど外資系IT企業で代表として日本ビジネスの立ち上げに従事した後、米Zuora社の日本進出にともない日本法人の社長に就任しています。
「サブスクリプション・ビジネスを支援するシステム」とは?
サブスクリプションとは、もともと雑誌などの「定期購読」を指す言葉でした。現在では、音楽配信サービスの「Apple Music」や動画サービスの「Netflix」など、さまざまなサブスクリプションのサービスが私たちの生活に浸透し、領域をさらに拡大しつつあります。
サブスクリプションは、基本的には継続課金に関するものですが、継続課金のパターンにもさまざまな種類があります。
- 定額制(月払い・年払い)
- 従量制
- 階層型
- アドオン(追加課金)
- アップグレード(期間途中でのメニュー変更)
- フリートライアル、フリーミアム
しかし、「初月無料」のキャンペーンひとつとっても、既存の販売管理システムでは対応が困難です。さらに、顧客の獲得・維持のためのオンライン/オフラインでの営業・マーケティング活動への対応を加えると、システムはさらに複雑になります。
- 新規顧客の獲得
- アップセル(上位価格帯の商品購入を勧める)
- クロスセル(関連商品の購入を勧める)
- 解約の阻止
そこで、Zuoraを利用することで、柔軟な課金メニューや営業・マーケティング活動、さらには管理業務をも支える一連の業務を自動化することが可能になります。
- 見積作成
- 販売
- 契約管理
- 請求計算・発行
- クレジットカード決済連携
- 入金・回収管理
- 売上計上
- 会計締め処理
- 分析・レポート
サブスクリプションが拡大している背景として、Zuoraでは「所有から利用へ」という顧客ニーズの変化をあげています。また、企業がサブスクリプション導入するメリットは、「顧客とのダイレクトな関係」を構築できること、売り切り型ではなく成長を前提とした「ストック型」のビジネスモデルを構築できることがあげられます。
なお、Zuoraはサブスクリプションについて、単なる課金方法に留まらず、顧客を正しく理解し継続的に価値を提供し続けることで「長期的リレーションシップ」を構築して収益化する、新しいビジネスモデル、と説明しています。
「典型的なサブスクリプション契約では、時間の経過と共に顧客のニーズは変化します。つまり、常に顧客とつながり、縦軸の高さをアジャストしながら横軸を伸ばし、収益という面積を最大化することがサブスクリプションビジネスを収益化させるベストプラクティスになるわけです。」
Zuoraの製品群
Zuoraは2019年10月、サブスクリプションビジネスを支援する新プラットフォーム「Zuora Central Platform」の日本語版を発表しました。これにより、Zuoraのサービスと各企業が持つ基幹システムなどとの統合が容易になりました。
「Zuora Central Platform」は「アプリケーション・レイヤー」(業務)/「ディベロッパー・レイヤー」(開発者)/「アドミニストレータ・レイヤー」(管理者)の三層で構成されています。
■アプリケーション・レイヤー
プライシングから請求回収、会計締め、レポート・分析に至るまでの収益化のプロセスを全てカバーする、一連のアプリケーションスイートを提供します。
- Zuora Billing(請求):50以上の課金モデルと180以上の通貨をサポートし、さまざまなプライシング、パッケージング戦略を迅速に設計、実行することが可能
- Zuora Revenue(収益):収益管理の自動化による決算処理のスピードアップと、コンプライアンスと最新の会計ルールに基づいた対応が可能に
- Zuora Collect(回収):回収、督促のワークフローの設定や、決済に失敗した際のリトライのロジックによる解約の防止などが実現
- Zuora CPQ(製品構成‐価格設定‐見積もり):製品発注から価格提示、提案書・見積書・契約書などの作成・管理までをサポート
- Zuora Analytics(分析):サブスクリプションビジネス向けに特別に設計された堅牢なビジネス分析およびレポート機能を提供
■ディベロッパー・レイヤー
「ノーコード」「ローコード」開発者向けのための標準的な機能群を備え、高度で拡張性の高いプラットフォームを提供します。
- イベント&通知
- ワークフロー
- データアクセス
- カスタムオブジェクト
■アドミニストレータ・レイヤー
高い信頼性と安全性を実現し、拡張性の高いテクノロジーインフラストラクチャで一貫性を保持しつつ管理します。
- テナント管理
- プロダクション環境&サンドボックス環境
- 監査証跡
- セキュリティ
Zuora製品の導入事例
Zuoraの「Investor Day」(2021年4月12日開催)の資料によると、Zuoraのサービスは、Docusign、zendeskやbox、DAZNといった「破壊的新興企業」だけでなく、Fordやブリヂストン、HoneywellやNCR、PHILIPSやSiemens、XeroxやCaterpillarといった「既存大企業」でも採用され始めています。
サブスクリプション・エコノミーによって、テクノロジーメーカーは「ハードウェア」から「ソフトウェアサービス(SaaS)」へ、自動車メーカーは「車の所有」から「移動サービス(MaaS)」へと、提供するものが変化します。
2020年には、オンラインミーティングのZoomや、ギターメーカーのFenderが、Zuoraのサービスを採用し、サブスクリプション・ビジネスを行っています。
Zuoraのウェブサイトには、Zuoraのサービスを利用している顧客ストーリーが掲載されています。グローバルでは、航空会社のサーフ・エア、ソフトウェアのヒューレット・パッカード・エンタープライズ、建設機械メーカーのキャタピラー、メディアのガーディアン、フィナンシャル・タイムズ、DAZNなどの例が紹介されています。
日本国内では、freee、弁護士ドットコムのクラウドサイン、SmartHRといったSaaSサービスのほか、幅広い業種でZuoraのサービスが導入されています。特に複合機メーカーは、リコー、エプソン、キヤノン、コニカミノルタの4社が、Zuoraのサービスを使ってサブスクリプション・ビジネスを行っています。
- 大手製造業:リコー、エプソン、キヤノン、NEC、ソニー、コニカミノルタ、パナソニック
- メディア:日本経済新聞社、ダイヤモンド社、西日本新聞、カドカワ、毎日新聞社、スポニチ
- その他:食べログ、ぐるなび、野村證券、ベネフィット・ワン、富士フイルム、シャチハタ、東京ガス、弥生、チームスピリット、note
「Zuoraは、従量課金をはじめ、購入量によって価格を変動させるボリューム課金やティア課金など、お客様のニーズに応じてサブスクリプション・ビジネスで求められるあらゆる課金モデルに対応できます。しかも、将来の機能拡張やクロスセル・アップセルへの対応も容易です。これらは、既存の販売管理システムでは対応が困難な領域でした」(株式会社リコー RSI統括室 室長 堀場 一弘 氏)
日本国内のお客様事例、サブスクリプション・ビジネスに関する基本的な情報から最新レポート、ノウハウ、インダストリに特化したコンテンツなど、皆様に有益な情報を公開しています。
Zuoraが展開する市場の成長性
Zuoraの2021年度の総収益(年間売上)は305Mドル、日本円で約334億円(1ドル109.50円として)。内訳は、サブスクリプション売上が242Mドル、プロフェッショナルサービス売上が63Mドル。サービス部分は2期連続で減少していますが、サブスク部分は着実に積み上げています。
Zuoraは、サブスクリプション・ビジネスをサポートするサービスのトッププレイヤーです。しかし現在の「市場シェア」は5%にとどまります。この理由は、残りの95%の会社は、自前のシステム開発や、既存のERPのカスタマイズをしているためです。
これらの会社が、今後Zuoraのシステムに乗り換える可能性は十分に残されています。市場規模も今後大きくなっていくことを踏まえると、Zuoraのシェア拡大の余地は大きいと考えられます。
また、Zuoraによると、サブスクリプションをビジネスに取り込んでいる会社の成長率は、2012年1月1日時点を100%とした場合、2020年第4四半期に437%にのぼっているとのこと。これはS&P 500 Sales企業の132%を大きく上回っています。
前年同期比の成長率も、S&P 500 Sales企業はコロナ禍の影響を受けて一時はマイナス10%まで落ち込んだのに対し、サブスクリプションをビジネスに取り込んでいる会社はプラス11%を維持しています。
矢野経済研究所の調査によると、BtoC 7市場のサブスクリプションサービス国内市場規模は、2020年度には8,759億6,000万円に達しています。そして2021年度は前年度比13.8%増の9,965億円、2023年度は同6.7%増の1兆1,490億円まで拡大すると予測しています。
Zuoraのヴィジョン・ミッション・企業文化
Zuoraのビジョンは「THE WORLD SUBSCRIBED」。世界をサブスクし尽くす、とでも訳せばよいでしょうか。
ミッションは「To help the world's best companies win in the Subscription Economy.」(世界最高の会社たちをサブスクリプション・エコノミーで勝利させる。)です。
関連したものとして、Zuoraのウェブサイトには「END OF OWNERSHIP」(所有の終わり)という言葉が見られます。サブスクリプション・エコノミーによって、物理的な製品の所有から、サービスへのアクセスを求める消費者の新たな要求に応える価値あるサービス・プロバイダーに変革するという意味で、「USERSHIP」という言葉も使われています。
“Goodbye, Ownership. Hello, Usership!”
「所有」から「継続的利用」へ。
Zuoraの企業文化(Our Culture)としては、「The ZEO Way」という言葉が掲げられています。ZEOとは、社名の「Zuora」と最高経営責任者「CEO」を掛け合わせた造語で、“Zuoraでは、すべての従業員が自分のZuora体験のCEO、つまりZEOである”という意味を込めています。
この言葉は、CEOのツォが社員を集めたオフサイトミーティングで、「この会社の文化をどのようにしたいか」と尋ねたとき、さまざまな意見が出る中で、共通していたのは「自分の運命は自分で切り開く」という意識だったとのこと。そこから自由と責任、エンパワーメントを中心とする「The ZEO Way」が、自社のカルチャーとして育まれていきました。
Zuora Japanの求人情報
LinkedInにはZuora Japanの求人として、エンタープライズ・アカウントエグゼクティブやシニア・テクニカル・サポートエンジニア、カスタマーサクセス・マネージャー、セールス・エンジニアなどの職種が掲載されています。
Our mission is to power the world’s best companies to win in the Subscription Economy.
なお、日本法人の職場環境に関する情報はネットには出ていませんが、グローバル・エージェントでは、次のような特徴があるとの情報を得ています。
「外資系らしく、とても自由な仕事環境で、柔軟な働き方ができる会社です。コロナ禍では完全リモートワークを実施していますが、おそらくコロナが明けても完全なオフィスワークには戻らず、双方のよいところを活かしたハイブリッドな働き方になると予想されます。
従来は東京オフィスに通勤できることが採用の要件となっていましたが、コロナ期間中に大阪在住のエンジニアを100%リモートで採用しています。今後も職種などによっては、東京以外の在住者を100%リモートで採用する可能性もあります。
社員間は和気あいあいとした雰囲気で、コロナ禍ではオンライン飲み会などのイベントを行い、社員のエンゲージメント強化を図っています。また、社員の自己啓発の支援に力を入れており、年間10万円を上限とした補助もあります。」
「求人への応募」は慎重に
Zuoraの組織について十分理解したうえで、自分の希望にぴったり合ったポジションを選びたい方は、グローバルウェイ・エージェントの島本千晶にお問い合わせください。非公開職種がある場合もあります。(※登録フォームの備考欄に「Zuoraの件」と明記願います。)
Zuoraの採用面接で聞かれる質問
面接に際して、志望動機をまとめるためには「Can」「Will」「Must」についてよく考え、整理しておいた方がいいでしょう。念のため簡単に説明すると、
- Can:自分ができること(スキル、能力、経験、実績)
- Will:自分がしたいこと(意思、意欲、ビジョン)
- Must:自分がしなければならないこと(会社から要求・期待されると認識していること)
の3点を整理し、それらが重なったところで「自分の志望動機」を整理するということです。
各求人には、職務に対する「Key Responsibilities」(重要な責任)や「Minimum Requirements」(最低要件)などが明記されています。書かれている要件を自分がいかにクリアしているかを説明する準備が必要です。
マネージャークラス以上の面接準備
マネージャー以上については「Can」「Will」「Must」は当然として、職務に応じた個別の質問が多くなっており、あらかじめ準備が必要です。詳しくは、グローバルウェイ・エージェントの島本千晶までお問い合わせください。(※登録フォームの備考欄に「Zuoraの件」と明記願います。)
Zuoraへの転職を成功させるために
以上、Zuoraという会社について、概要をご説明させていただきました。
求人は、求められるスキルのハードルが高いのが特徴的です。しかし、仮に書類が通過したしたとしても、次の面接でつまづく方が多くいらっしゃいます。
面接の質問は、様々な内容が投げかけられます。定番的なものから地頭のよさを測るもの、職種特有の質問もあり多種多様です。
あらかじめ面接対策をしないと、選考を通過する確率はかなり下がります。現時点で数億円を稼ぐ優秀な営業の方が、面接対策を怠ったために失敗することもあります。限りあるチャンスを活かすためにも、ぜひ十分な準備を行ってから臨んでいただきたいと思います。
Zuora Japanの採用面接に臨む前に
転職成功の確率をアップさせたい方は、ぜひグローバルウェイ・エージェントの島本千晶にご相談ください。私たちはCxOや役員から直接情報を共有してもらうことで、必要な候補者像を把握しており、上記以外の「候補者公開不可情報」や「過去の面接成功・失敗事例」を把握しています。
なお、スピーディな対応を行うために、登録フォームの備考欄には、必ず「Zuoraの件」と明記願います。費用は一切かかりません。ぜひご相談ください。グローバルウェイ・エージェントの簡単な説明は、こちらのサイトをご覧ください。
Globalway Agent グループ長。日系・外資系企業で採用コンサルタント、ヘッドハンター等を経て現職。趣味は華道(草月流)。