2022年07月15日

【平均年収1155.8万円】中外製薬の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】中外製薬の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


国内製薬会社の売上高では6位に位置する中外製薬。
かつては中外胃腸薬、栄養剤の新グロモント、殺虫剤のバルサンといった大衆薬で一般にもよく知られていました。2002年にスイスの大手医薬品メーカー・ロシュの傘下となり、現在ではそれらは譲渡され、同社は医療用医薬品事業にに注力しています。

2018年4月には肺がん向けの免疫治療薬「テセントリク」を発売し、がん免疫薬領域にも進出しています。また複数の薬品を一緒に使う、併用療法の開発も進めていくとしています。

製薬業界は年収が高いことでもよく知られています。では、中外製薬の年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、見ていきましょう。

中外製薬の平均年収は1155.8万円

中外製薬の平均年収は1155.8万円です(中外製薬有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考に中外製薬の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で690〜740万円、30歳代で960〜1010万円、40歳代で1200〜1250万円という結果になりました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ2.34倍の額です。

中外製薬の平均年収推移

グラフが表示されない場合はこちら
中外製薬・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2021年12月期1155.8万円43.4歳16.8年5044人
2020年12月期1100.1万円43.3歳16.9年4876人
2019年12月期1017.3万円43.1歳16.1年4848人
2018年12月期984万円43歳16.9年5037人
2017年12月期953万円42.75歳16.66年4979人

出典:中外製薬・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
中外製薬の平均年収は前年を上回り1155.8万円でした。
過去5年間では最高額になりました。

中外製薬の年代別平均年収と中央値

中外製薬の年収中央値は30代で979.6万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

中外製薬の年収実態
年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代708.7万円46.1万円122.4万円637.83万円
30代979.6万円63.3万円169.3万円881.64万円
40代1217.5万円78.3万円210.5万円1095.75万円
50代1439.5万円92.4万円249万円1295.55万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

中外製薬の職種別年収

製薬業界は、全体的に年収が高いことで有名です。
製薬メーカーの業界の傾向として、グローバル規模の市場で活動していることが影響し、それに伴って売上高が大きいと言えます。また新薬の場合は特許があるため、独占的に製造販売をすることができ、収益を確保することができます。

さらに医薬品の研究や開発には膨大な資金が必要にはなるものの、製造自体は原料費が安価であるため、販売管理費や流通経費を加えても、利益率が高いことが特徴です。

中外製薬の2016年度売上高は4917億8000万円、営業利益は889億2900万円(利益率9.3%)で、日本国内で見ると、武田薬品工業、アステラス製薬、大塚ホールディングに次いで第6位となっています。医療用医薬品に限れば、売上高は3951億円で、大塚ホールディングスを抑えて日本国内第4位と順調です。

中外製薬が国内大手の仲間入りを果たすという、明るい見通しが立つほどの好調な売上が年収を押し上げていると言えます。

中外製薬社員の給与明細(キャリコネ)

20代から30代に向けて、大きな伸びが!

20代・MR(非管理職)の 給与明細

30代・MR(非管理職)の 給与明細

やっぱり大きい、賞与の差!

20代・MR・賞与あり(非管理職)の 給与明細

20代・MR・賞与なし(非管理職)の 給与明細

中外製薬と競合他社の平均年収を比較

中外製薬の競合や同業界である武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬、エーザイの5社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、中外製薬が1155.8万円、武田薬品工業が1105.1万円、第一三共が1094.9万円、アステラス製薬が1064.4万円、エーザイが920.1万円です。
この5社の中で最高額は中外製薬の1155.8万円で、最低額がエーザイの920.1万円。その差はおよそ236万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では中外製薬は1番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
中外製薬1155.8万円43.4歳16.8年5044人9997.59億円
武田薬品工業1105.1万円42.4歳14.2年5149人7643.01億円
第一三共1094.9万円44.8歳20年5725人7540.07億円
アステラス製薬1064.4万円42.3歳16.2年3943人5425.68億円
エーザイ920.1万円43歳17.4年3034人4171.34億円

中外製薬の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

中外製薬に就職・転職する際に留意点や課題はないのか

近い将来、国内の医療用医薬品の薬価算定基準が費用対効果を基本として決定されるようになるかもしれません。

製薬メーカーの薬価を算定する際の営業利益率は、一般企業に比べて高い基準値で設定されています。新薬の開発はリスクが極めて高いことなどから、これまでは高い基準値となっていました。

しかしこうした営業利益や一般管理販売費などの高い水準が、製薬企業を優遇する価格設定になっていると問題視する意見が挙がっていることから、厚労省は原価計算が妥当か否かを検討していく姿勢を見せています。
もちろん、新たな医薬品の研究費に見合うだけのリターンや、製薬産業におけるリスクなどは勘案した上での見直しとなる見込みです。

このことによって、今後は製薬メーカーの営業利益率が低くなる恐れが出て来ています。

結局、中外製薬は就職・転職先として選んでもいいのか

ここまで中外製薬を見てきました。結局「就職・転職先として選んでもいいのか」なんですが、

結論から言うと「選ぶべき」です。
中外製薬がスイスの大手製薬メーカーであるロシュの傘下に入ってから、18年が過ぎました。中外製薬ではロシュ製品も販売し、売上高や営業利益ともに、この18年で3倍もの大きな成長を遂げています。

中外製薬は次世代の創薬技術として注目を集めている「中分子創薬」の開発に名乗りを上げており、これまでの医薬品では狙えなかった標的にもアプローチすることを可能にし、中分子創薬技術の確立を目指すなど、中外製薬のさらなる成長が期待ができます。
就職・転職先として非常に魅力的だと言っていいでしょう。

中外製薬の面接対策はこちらの記事をご覧ください

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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