中外製薬の採用面接前に知っておくべきこと
■社風への理解
創業以降、大衆薬を中心に扱ってきた中外製薬。1961年に国民皆保険体制が確立され、医療用医薬品の需要が急速に高まってくると、1966年に医療用医薬品にシフトするという大胆な戦略転換をしました。以後、この領域に特化した「領域特定型」新薬メーカーとして発展し続けており、中でもがん領域製品は10年続けてトップシェアを維持しています。
バイオテクノロジー等を活用した新薬開発の時代となった今では、莫大な資金力や世界規模でのリスク対応力が要求されるなど、製薬会社の在り方が問われるようになりました。中外製薬は、こうした流れに対応するため、2002年にスイスのロシュ社と戦略的アライアンスを締結。これに基づき、中外製薬と日本ロシュが合併し、ロシュグループの一員となりました。中外製薬では、ロシュ社製品の国内独占販売ができるようになり、自社製品のグローバル展開も強化されることになりました。
このように時代の流れに合わせて戦略転換してきた中外製薬ですが、外資系企業となった現在は「名前は内資だが体質は外資系」「現場の意見も通りやすく、やりたいことの実現に向けて行動できる」「風通しの良い社風」「若手にも重要な仕事がアサインされる」といった口コミが多く見られるようになりました。しかし昔ながらの日本企業らしい風土も根強く残っており、「やればやるだけ評価される風土はあるが、ある程度以上仕事ができれば、それほど差も付かない」「まだ年功序列からは抜け出せていない」「官僚組織的な面もある」「保守的である」「良くも悪くも中庸の社風」といった声も見らます。
様々な戦略転換の中で過渡期にあることが伺えますが、「ロシュの子会社という位置づけだが、経営は独立しており、自社で創薬をしている」「自社で1から創薬しているシーズを開発することができる会社はもはや日本には少なく、中外でしかできない経験ができるのは大きな魅力」という声も見られ、日本企業らしさと外資系企業らしさのバランスを兼ね備えた会社だと言えます。
時代の流れに合わせて戦略転換しながら、日本市場でのシェアトップを目指すことはもちろん、グローバル展開も追い求めていく。そして技術力向上はもちろんのこと、あらゆる環境変化に対応しながら自社の発展にも貢献していく。こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
■選考は何次まで?
中外製薬の選考プロセスは、書類選考、SPI試験、2回以上の面接です。面接官は2〜4名で、人事部、応募部署の部長クラス、役員が担当します。
募集職種は「プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット」「信頼性保証ユニット」「研究本部」「臨床開発本部」「製薬本部」「医薬安全性本部」「メディカルアフェアーズ本部」「コーポレート」の部門があり、それぞれに細分化された職種があります。自分の経歴や専門分野とマッチする応募先を明確にし、なぜそれを希望するのか、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
職種によっては、面接内で特定テーマについてのディスカッションやプレゼンテーションが求められることもありますので、柔軟に対応できるように準備しておくと良いでしょう。
また、選考期間が長いという口コミも見られます。転職希望時期を明確に伝え、選考プロセスの中で気になることがあれば自ら人事担当者とコミュニケーションを取るなど、工夫するようにしましょう。
■面接内容の傾向は?
志望動機や入社後にやりたいことというような基本的な質問が中心ですが、「研究におけるロシュグループの位置づけは?」というように、ロシュ社も含めた業界理解が問われることがあります。また、新薬開発を続ける会社であることから「どのようにすれば日本社会はグローバルな視野を持てるか?」といった観点を問われることもあるようです。
また、「自分を色で例えると何色か」「飛行機に乗ることは好きですか」など、不意をつく質問がされるケースもあります。文字通りの質問に回答するだけでなく、その質問の意図を汲み取り、かつ自己アピールにつなげるにはどのような切り口で回答すれば良いのかをしっかり考えるようにしましょう。
中外製薬の面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
中外製薬の面接攻略法(面接対策)
■中外製薬のミッションステートメントを理解した上で自己分析をする
中外製薬の面接を受ける上では、企業理念のミッションステートメントを理解しておくことが不可欠です。ミッションステートメントは、以下の3つで構成されています。
●存在意義(Mission)
革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献します
●価値観(Core Values)
1.患者中心
患者さん一人ひとりの健康と幸せを最優先に考えます
2.フロンティア精神
自らを磨き、新たな発想で、イノベーションを追及します
3.誠実
常に誠実な行動で、社会の期待に応えます
●目指す姿(Envisioned Future)
ロシュとの協働のもと、独自のサイエンス力と技術力を核として、患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーターとなります
これは、中外製薬の企業カルチャーの土台となる価値観。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの理念に合致する人材であることをアピールしましょう。
新薬開発に注力する中外製薬では、これまでの研究開発の成果をできるだけ具体的にアピールすることが有効です。その際、「自分が関わる研究開発を通して、世界にどのように貢献したいと考えてきたか」という視点を盛り込み、患者さんの視点も踏まえながら話すようにすると良いでしょう。
また、仕事に対する姿勢そのものを自分の言葉で語ることは、「フロンティア精神」「誠実」の側面のアピールにもつながります。自主的に勉強していることや向上心を持って取り組んでいること、責任を持ってやりとげたことなどがあれば、具体的なエピソードとして紹介すると良いでしょう。
■「なぜ中外製薬に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
中外製薬の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ中外製薬か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、中外製薬という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- エーザイ株式会社
- 大正製薬株式会社
- 協和発酵キリン株式会社
- 田辺三菱製薬株式会社
中外製薬の採用面接で実際に聞かれた質問内容
このように、中外製薬の採用面接を受ける前には、ミッションステートメントに基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして「時代の流れに合わせて戦略転換しながら、日本市場でのシェアトップを目指すことはもちろん、グローバル展開も追い求めていく。そして技術力向上はもちろんのこと、あらゆる環境変化に対応しながら自社の発展にも貢献していく」という社風を意識して、常に向上心を持ち、柔軟な姿勢で挑戦し続ける人材であると印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
35歳女性/研究開発【結果:入社】
33歳男性/研究開発【結果:最終面接で不採用】
31歳男性/研究開発【結果:二次面接で不採用】
34歳女性/研究開発【結果:二次面接で不採用】
中外製薬の採用面接に向けて
中外製薬の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「時代の流れに合わせて戦略転換しながら、日本市場でのシェアトップを目指すことはもちろん、グローバル展開も追い求めていく。そして技術力向上はもちろんのこと、あらゆる環境変化に対応しながら自社の発展にも貢献していく」という社風を意識して、常に向上心を持ち、柔軟な姿勢で挑戦し続ける人材であることをアピールする。
- 「ミッションステートメント」の理念を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる
- 競合他社についても研究し、「なぜ中外製薬か」に対する答えを明確にしておく。
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大学を卒業後、ビル衛生管理業務会社に入社。人事部で新卒採用を担当。選考会から内定者フォロー業務に従事。