【平均年収1140.9万円】ディスコの給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

パソコンやスマートフォン、冷蔵庫や洗濯機、自動車、医療機器など日常使ったり目にしたりするものの多くに使われている半導体。その半導体の需要が世界規模で増大する中、「半導体製造装置」の2019年の世界市場は、前年度比7.7％増の676億ドル（約7兆5000億円）に達する見通しであると、SEMI（国際半導体製造装置材料協会）が発表しました。

半導体は「前工程」と「後工程」を経て製造されますが、その2つのもっとも大きな違いが、扱う半導体素子製造の材料の「形」です。前工程ではウエーハという円盤状の板を使い、後工程では、ウエーハを切断して小さく加工したものを使います。

この後工程における、ウエーハの切断や研削、研磨の技術に大きく貢献しているのが、世界トップシェアを誇る精密加工装置メーカーのディスコです。同社の「高度な“Kiru”“ Kezuru”“. Migaku”」技術、すなわち、半導体チップをより「小さく切り」「薄く削り」「強固に磨く」ことのできる技術が、半導体を搭載する製品の薄型化や小型化に大きく貢献しているのです。

またディスコは年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

ディスコの給与は平均的ですが、他社に比べて年収における賞与の占める割合が高いようです。その賞与に影響するのが、社内専用の仮想通貨「ウィル」です。賞与の一部に組み込まれるウィルをどれだけ獲得できるかが、賞与額の差となって現れます。

ウィルを導入したのは2003年、ITバブルの崩壊がきっかけでした。コスト管理を強化するため、京セラ式の「アメーバ経営」からヒントを得て、2011年にはウィルを駆使した個人レベルでの採算管理に踏み込みました。

たとえば営業部門の社員は、半導体装置の販売成績に応じてウィルがたまります。一方でその販売に、市場調査部門や開発エンジニアなどからの情報が寄与した場合は、その情報提供に対してウィルを支払うようにしたのです。そして半年ごとに換金され、賞与の1割がウィル残高に応じて支給されます。なかにはウィル連動部分だけで数百万円を手にする猛者もいるようですので、やりがいやモチベーションにつながるのではないでしょうか。

年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。

ここへきてスーパーサイクルにも陰りが見られ、業績に連動する賞与にも影響する恐れが出てきています。

半導体業界では2017年にデータセンターでのメモリ需要拡大によって、市況が安定的に伸びる「スーパーサイクル」に入ったという見解が一般的でした。しかし足元のメモリ価格が伸び悩んでおり、NAND型フラッシュメモリは2018年8月時点で2割超も下がっているほか、スマートフォンの出荷台数が低迷していることからメモリ在庫が増加しています。

また中国が半導体の自給率を上げており、今後大きな顧客を失うかもしれません。中国での半導体需要は右肩上がりで、2016年には世界半導体市場のうち中国の消費額は44.2％も占めていました。中国政府は半導体の製造だけではなく設計やパッケージング、装置、材料に至るまでトータルサプライチェーンでの自給率を拡大させ、世界水準への到達を目指しています。

ここまでディスコの年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか？

ディスコの2018年度従業員満足度は、肯定的な回答の割合が86.7％と高い傾向にあります。満足度につながる理由は、前述のウィル導入以外に「勤務地自由選択制」が挙げられます。国内事業所であれば原則自由に勤務地を選択でき、転勤が多いといわれる半導体製造にかかる部署でも強制的な転勤がないため、働き手にとって大きなメリットです。

外部環境においては、自給率アップに注力する中国への不安はあるものの、世界人口に対する電子機器を利用する人の割合が増加傾向にあるため、今後も半導体の世界的な需要の高まりは継続すると考えられます。またメモリICやロジックICを中心とする最先端の次世代デバイスの伸びが予想され、ディスコはその独自技術で世界から選ばれ続けることでしょう。選べる働き方や横並びではない待遇制度のもと、自らの力を時代の進化に活かしたい人にはぜひお勧めしたい企業です。

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