2022年08月01日

【平均年収797.6万円】村田製作所社員の給料は実際いくらもらっているのか?

【年収研究シリーズ】村田製作所の年収・給与・ボーナス・報酬はいくらか。ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


「村田製作所」と聞くと、自転車をこぐ小型ロボット「ムラタセイサク君」のCMを覚えている人も多いでしょう。「会社が専門分野の人に知られているだけでは人材は集まらない」という考えから、「ムラタセイサク君」をPRに活用した村田製作所の2代目社長 村田泰隆氏が、2018年9月28日に71歳でこの世を去りました。彼こそが村田製作所の主力製品である、積層セラミックコンデンサを世界首位にまで高めた人物です。

この「積層セラミックコンデンサ」は、スマートフォンやパソコンなどに搭載され、現代社会において必要不可欠な電子部品です。村田製作所は、この積層セラミックコンデンサメーカーのパイオニアであり、現在では世界シェアNo.1を誇ります。しかしこのような現状に甘んじず、国際化に必要な組織風土の改革や経営のスピードアップを進め、独創的な製品を開発するなど常に進化し続けています。

また村田製作所は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

村田製作所の平均年収は797.6万円

それでは、はじめに村田製作所の平均年収について見ていきます。村田製作所の平均年収は、村田製作所の有価証券報告書によると、797.6万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出した村田製作所年代別年収レンジは、20歳代で470〜520万円、30歳代で660〜710万円、40歳代で820〜870万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.61倍の額です。

村田製作所の平均年収推移

グラフが表示されない場合はこちら
村田製作所・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2022年3月期797.6万円40.1歳14.3年9771人
2021年3月期731.4万円40.1歳14.7年9528人
2020年3月期724.4万円41歳14.9年9199人
2019年3月期743.1万円40歳14.1年8783人
2018年3月期744.9万円40.1歳14.4年8385人

出典:村田製作所・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
村田製作所の平均年収は前年を上回り797.6万円でした。
過去5年間では最高額になりました。

村田製作所の年代別平均年収と中央値

村田製作所の年収中央値は30代で676.4万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

村田製作所の年収実態
年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代489.5万円31.7万円89.4万円440.55万円
30代676.4万円43.3万円123.7万円608.76万円
40代840.6万円53.5万円153.8万円756.54万円
50代993.8万円63万円181.9万円894.42万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

村田製作所と競合他社の平均年収を比較

村田製作所の競合や同業界であるTDK、太陽誘電、オムロン、京セラ、アルプスアルパイン、イビデンの7社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、村田製作所が797.6万円、TDKが782万円、太陽誘電が741.4万円、オムロンが849.7万円、京セラが725.2万円、アルプスアルパインが726.5万円、イビデンが739.1万円です。
この7社の中で最高額はオムロンの849.7万円で、最低額が京セラの725.2万円。その差はおよそ125万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では村田製作所は2番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
オムロン849.7万円45.5歳16.7年4610人3109.89億円
村田製作所797.6万円40.1歳14.3年9771人12334.64億円
TDK782万円43.4歳18.3年5719人4203.79億円
太陽誘電741.4万円42歳17.8年2878人3127.8億円
イビデン739.1万円40.9歳18.2年3549人2429.67億円
アルプスアルパイン726.5万円43.8歳17.7年4075人4971.57億円
京セラ725.2万円40.5歳16.4年20560人8482.53億円

村田製作所の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

村田製作所の年収が高い理由

コンデンサの売上が好調

村田製作所の業績が好調であることが、平均年収が高い理由の一つです。2018年3月期決算の売上高は、1兆3718億4200万円で前年比20.8%増を記録、とくに売上高の約3割を占める主力商品「コンデンサ」においては、売上高が前年比21.7%増と大きく貢献しています。

この「コンデンサ」とは電気を蓄えたり放出したりする機能を持ち、スマートフォン1台で最大1000個、車1台で1万個を使用する基幹部品のことで、村田製作所が半世紀以上世界シェアのトップを獲得しています。スマートフォンの生産台数の増加や、自動車の電装化の進展による需要の拡大、さらにはPC向け部品の好調な推移など、現代の世界的なコンデンサ特需により増収を記録しました。

さらに村田製作所は、この特需により2000年以来の18年ぶりに、全製品で2~3割の値上げを断行しました。これにより、今後はさらなる売上収益の増加、ひいては年収増加につながると考えられます。

村田製作所で年収を上げるには

昇格試験で昇給する

村田製作所では、「昇格試験」に合格すれば昇給が可能になるという、シンプルな給与体系になっています。そのため昇格試験の合否によって、年収に大きな差が出てくるようです。つまり社内でも評価の高い人は早めに昇格試験を受けられるため、昇給も早くなり、年収アップにつながります。

個人の能力を評価し、昇給率に反映する仕組みはありますが、給与に差が出ることは少ないようです。むしろ能力評価は、昇格試験の受験資格を得るために重要であるといってよいでしょう。

村田製作所では能力主義、成果主義で給与が決まるため、個人の業績が社内で早めに認められ、昇級試験に合格することが年収を上げる近道であると考えられます。

村田製作所社員の給与明細(キャリコネ)

20代と30代で年収に違いが!

20代・研究開発(非管理職)の 給与明細

30代・研究開発(非管理職)の 給与明細

ベース額により賞与に大きな違いが・・

30代・研究開発・賞与あり(非管理職) の 給与明細

30代・研究開発・賞与あり(非管理職) の 給与明細

村田製作所で働く上での懸念点・課題は

スマホ需要の落ち込みにどう対応していくか

コンデンサの主たる用途であったスマートフォン市場の状況変化が、懸念点の一つといえます。村田製作所の製品は、米アップルや中国の華為科技(ファーウェイ)など、米中大手のスマートフォンにも多く搭載されています。しかし米中貿易戦争の影響で、スマートフォン向けの部品はハイエンドモデルを中心に出荷量が減る可能性があるのです。出荷量が減少すれば、コンデンサの売上が約3割を占める村田製作所にとって、大きな痛手となるでしょう。

しかしこれからは、スマートフォン市場より自動車市場ともいわれています。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、電子部品用途のうち通信機器を自動車が上回る現象が2期続いているということです。2017年10~12月は通信機器が38.5%に対し、自動車が24.4%で通信機器が上回っていましたが、その後は自動車が0.1%~2%ほど通信機器より上回っています。この波に乗って、自動車の電子部品市場にうまくシフトする必要がありそうです。

村田製作所には年収以外にメリットはある?

ここまで村田製作所の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?

自動車の電子部品市場にシフトすべく、フィンランド工場でセンサー部品の生産能力を増強し欧州市場の開拓を進めるなど、自動車向け部品の増産に余念がありません。また次世代自動車の生産において、積層セラミックコンデンサの需要が伸長することを見越して、3400億円規模の設備投資を計画しています。従来のガソリンエンジン車に搭載されている数が1000~2000個のところ、EVになればその10倍もの数が使われることになるので、大きく伸びることは確実といえるでしょう。さらに新開発し注目を集めた世界最小の振動部品は、ウェアラブル端末や医療用パッチ型センサーなど多方面での活用が期待されているのです。

故村田社長の言葉に「エレクトロニクス業界ではちょっとした間に、 最先端をいっていたはずの商品が陳腐化してしまう」とあります。その言葉を肝に銘じ、現在も「売上高の40%を発売から3年以内の新製品にする」という独自戦略を掲げています。こうして首位に甘んじない挑戦を続けるからこそ、村田製作所は半世紀の首位獲得を成し遂げたに違いありません。

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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