【年収研究シリーズ】ダイキン工業の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
空調の巨人との異名を取るダイキンが、2018年12月に東京大学と手を組み、AIやエアコンの新技術開発に着手しました。これにより2019年度には20人にも上る研究者を派遣し合うほか、東大発のスタートアップ企業との協業をも加速することになります。ダイキンは10年間のうちに100億円規模の研究資金を提供して、AIやエアコンの新技術を共同開発する予定です。
こうした背景には、世界最大手であるダイキンとの差別化を狙った、競合企業の三菱電機やパナソニックなどの総合電機メーカーの存在が大きいようです。両社は空調事業の拡大に向けてITのノウハウを生かし、機器の稼働データを統合するためのデータベースの構築を計画しており、空調や照明などの単品売りに代わる総合力に重きを置いた事業形態の模索をしています。今回の産学提携をきっかけに、ダイキンはITノウハウにも着手し、競合他社とのさらなる差を広げようとしているのではないでしょうか。
またダイキン工業は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。
ダイキン工業の平均年収は729.7万円
それでは、はじめにダイキン工業の平均年収について見ていきます。ダイキン工業の平均年収は、ダイキン工業の有価証券報告書によると、729.7万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出したダイキン工業年代別年収レンジは、20歳代で470〜520万円、30歳代で660〜710万円、40歳代で830〜880万円となっています。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.48倍の額です。
■ダイキン工業の平均年収推移
ダイキン工業・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
ダイキン工業の平均年収は前年を上回り729.7万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。
ダイキン工業の年代別平均年収と中央値
■ダイキン工業の年収中央値は30代で681.4万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
ダイキン工業と競合他社の平均年収を比較
ダイキン工業の競合や同業界である三菱電機、パナソニック、富士通ゼネラルの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、ダイキン工業が729.7万円、三菱電機が806.7万円、パナソニックが758.6万円、富士通ゼネラルが709.8万円です。
この4社の中で最高額は三菱電機の806.7万円で、最低額が富士通ゼネラルの709.8万円。その差はおよそ97万円で、そこそこの差があります。
この比較企業の中ではダイキン工業は3番目に位置します。
ダイキン工業の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
ダイキン工業で給与を上げるには
■入社6年目で裁量労働制へ 5段階評価で賞与額が変わる
給与制度の特徴として挙げられるのは、年に1万円ほどの定期的な昇給と成果が反映される賞与、そして入社6年目以降の裁量労働制です。査定ではABCDEの5段階で評価され、その結果が賞与へ加算される仕組みです。
修士卒の場合は入社6年目に社内7級のランクになると、A1勤務という裁量労働制に移行します。手当は約4万円加算されるのみで他手当は付かなくなりますが、その後に社内9級になると、5万円ほどの加算額に上昇します。
年収の目安は30歳が650万円~700万円、35歳が700万円~750万円、40歳前後で課長職へ昇格することで1000万円の大台に到達できるようです。ちなみに課長職では、転勤に伴う家賃補助も加えられます。
キャリコネに寄せられた給与明細を見ると、世代間での違い、同年代・同職種なのになんでこんなに差が生まれるのかの理由が確認できます。
ダイキン工業社員の給与明細(キャリコネ)
やはり30代に入ると、大きな伸びが!
20代・制御系プログラマ(非管理職)の
給与明細
30代・制御系プログラマ(非管理職)の
給与明細
賞与があると、年収がこんなにも高い!
30代・技術関連(賞与なし)の
給与明細
30代・技術関連(賞与あり)の
給与明細
ダイキン工業で働く上での課題・懸念点は
■有給休暇は時間外勤務時間と相殺される
有給休暇取得日数が多い企業として第1位に輝くダイキンですが、その裏側にある特殊なルールが懸念点といえるでしょう。ルールとは、有給休暇の取得1日当たり、時間外勤務が7.75時間マイナスされるというものです。
ダイキンの有給休暇取得日数は、直近の3年間においても毎年20日を超える実績がありますが、この取得した有休休暇1日分は時間外勤務7.75時間に値します。たとえば8月の夏季休暇4日間は有給休暇扱いのため、そのマイナスとなった32時間は月内で余分に時間外勤務ができる状態となる計算です。たとえ時間外勤務をしても残業手当が出ることはなく、裁量労働手当の4万円のみが支給される仕組みとなっています。
ダイキン工業には年収以外にメリットはある?
ここまでダイキン工業の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
前述の裁量労働制は、社員にとってのメリットもあります。たとえば勤務時間にコアタイムはなく、出社時間・退社時間が非常に自由なフレックスタイム制なのです。時間外勤務手当のない代替として毎月一定額の報酬が支給されますが、たとえ残業をせずに退社しようとも周囲の目が気にならない、融通の利く社風でもあります。つまり、こなすべき業務を滞りなくできるのであれば、勤務時間帯は個人に任されているということです。
また業務の調整さえすれば、年間22日の有給休暇を自分の都合に合わせて取得することが可能となっています。この有給休暇を利用して、連続5日間と土日を含めた9日間の連休が推奨されており、海外旅行をするなどプライベートを満喫する社員も多くいるようです。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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