三菱電機は大手総合電機メーカーの1社で、重電システム・産業メカトロニクスに強く、多くの産業用電気機器で国内トップシェアを占めています。
2019年3月時点の電機業界大手8社の売上高を見てみると、三菱電機は第4位にあたります。
第1位:日立製作所 9兆4806億円
第2位:ソニー 8兆6656億円
第3位:パナソニック 8兆27億円
第4位:三菱電機 4兆5199億円
第5位:富士通 3兆9524億円
第6位:キヤノン 3兆9519億円
第7位:東芝 3兆6935億円
第8位:NEC 2兆9134億円
電機業界と聞くと家電を思い浮かべるかもしれません。
しかし、三菱電機宣伝部 BtoCコミュニケーショングループマネージャーの桒原(くわはら)幸志氏は、東洋経済の取材に対して「三菱電機という企業に対する一般の人がもつ印象は薄い」と答えており、女優の杏氏とお笑いコンビ・オードリーの若林正恭氏を夫婦役に起用したCMは、そのイメージを払拭する戦略の一つでした。
日常の困りごとや共感を覚える“あるある”のシーンを描き、三菱の家電が解決するというもので、「ニクイね、三菱」の決め台詞で視聴者に印象を残すことに成功したのです。
売上高も一般消費者の知名度も際立って高くなくとも、三菱電機は間違いなく優良企業と言えます。
それでは、三菱電機の年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。
三菱電機の平均年収は806.7万円
それでは、はじめに三菱電機の平均年収について見ていきます。三菱電機の平均年収は、三菱電機の有価証券報告書によると、806.7万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出した三菱電機年代別年収レンジは、20歳代で470〜520万円、30歳代で660〜710万円、40歳代で830〜880万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.63倍の額です。
■三菱電機の平均年収推移
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 806.7万円 | 41.1歳 | 16.9年 | 36700人 |
2021年3月期 | 796.3万円 | 40.7歳 | 16.6年 | 36162人 |
2020年3月期 | 806.9万円 | 40.5歳 | 16.4年 | 35649人 |
2019年3月期 | 816.9万円 | 40.4歳 | 16.3年 | 35203人 |
2018年3月期 | 792.4万円 | 40.2歳 | 16.3年 | 34561人 |
出典:三菱電機・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
三菱電機の平均年収は前年を上回り806.7万円でした。
過去5年間では3番目の額になりました。
三菱電機の年代別平均年収と中央値
■三菱電機の年収中央値は30代で684.1万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 495万円 | 32万円 | 90.5万円 | 445.5万円 |
30代 | 684.1万円 | 43.8万円 | 125.1万円 | 615.69万円 |
40代 | 850.2万円 | 54.1万円 | 155.6万円 | 765.18万円 |
50代 | 1005.1万円 | 63.7万円 | 184万円 | 904.59万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
三菱電機と競合他社の平均年収を比較
三菱電機の競合や同業界である東芝、シャープ、パナソニックの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、三菱電機が806.7万円、東芝が892.3万円、シャープが736.9万円、パナソニックが758.6万円です。
この4社の中で最高額は東芝の892.3万円で、最低額がシャープの736.9万円。その差はおよそ156万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では三菱電機は2番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
東芝 | 892.3万円 | 45.6歳 | 19.2年 | 3673人 | 864.42億円 |
三菱電機 | 806.7万円 | 41.1歳 | 16.9年 | 36700人 | 25574.36億円 |
パナソニック | 758.6万円 | 45.7歳 | 22.5年 | 55088人 | 27559.67億円 |
シャープ | 736.9万円 | 45.5歳 | 22.7年 | 5674人 | 5630.3億円 |
三菱電機の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
三菱電機で年収をあげる方法
■年功序列型 管理職ポストにつけるかどうかが昇給の鍵
旧財閥系の三菱電機の昇級システムは完全年功序列です。年齢や職種間でのさはさほどありません。どの管理職ポストに着くかどうかで年収に差が出てくるようです。
社員の年収とは関係ありませんが、役員報酬がかなり高額です。
三菱電機には、なんと1億円以上の報酬を受けている役員が22名もおり、対照的なトヨタ自動車の役員数5名と比較してみると、その数字が驚くほど高いことがわかります。この破格ともいえる役員報酬は、長期的な成長戦略が実現した成果であると見て取れます。
本当に格差はないのか。実際の給与明細を比べて確認してみましょう。
三菱電機社員の給与明細(キャリコネ)
年功序列の社風が給与明細でも明らかに!
20代・ルートセールス(非管理職)の 給与明細
30代・ルートセールス(非管理職)の 給与明細
ボーナスが出ると年収は大きくアップ!
20代・営業管理・賞与なし(非管理職)の 給与明細
20代・営業管理・賞与あり(非管理職)の 給与明細
しかし年収が高いからといっていいことばかりではないのでしょうか。
三菱電機で働く上での課題は
■グローバル化の流れで海外赴任が増える可能性
大きな懸念事項はありませんが、強いてあげるとすれば海外赴任の確率が高いことです。三菱電機は海外39か国に154の協力会社をもっていますが、全体の売上高に対する海外比率は約4割で、競合他社である日立の5割、パナソニックの6割と比較すると低い水準であることがわかります。
全社をあげてグローバル展開の強化を進める三菱電機にとって、各国で採用した現地人材の育成が緊急課題となっています。その一方で「内なるグローバル化」戦略も掲げて、日本人社員が海外事業の担い手となるための社員育成にも力を注いでいるのです。現在の海外駐在社員数は約700人ですが、今後増えていくと予想されます。若手社員が海外赴任地で働く可能性は、大いにあるといっても過言ではありません。
三菱電機の年収以外でのメリットは何か
■なんといっても「安定性」
ここまで三菱電機の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
三菱電機の年収は、業界内でも圧倒的な高さを誇るわけではありません。
しかし、それを補って余りある充実した福利厚生が用意されています。託児施設の利用や塾・学校費用の補助、また満59歳になる社員とその配偶者が海外旅行に参加する制度があるほか、満30歳・40歳・50歳の節目に取れる特別休暇の制度もあるのです。
短期的な視点でただがむしゃらに上を目指すのではなく、社員の生活基盤を安定させ、事業の安定した成長に貢献をしてもらうという企業方針がうかがえます。派手で過剰な投資はしないものの、堅実な経営状態を維持する姿勢は、日本の電機産業が凋落していく現在において、とても有効な生き残り手段のひとつと言えます。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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