【平均年収869.5万円】三菱電機の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【平均年収869.5万円】三菱電機の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】三菱電機の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


三菱電機株式会社は、1921年の創業以来100年以上の歴史を持つ日本を代表する総合電機メーカーです。2025年3月期の有価証券報告書によると、同社の平均年収は869万5,126円となっており、電機業界の中でも高い水準を維持しています。

同社は社会インフラ、産業システム、ビルシステム、空調・家電、半導体など幅広い事業領域を展開し、連結従業員数149,134人を擁する大企業として、安定した雇用と競争力のある処遇を提供しています。

企業概要

まずは三菱電機の基本情報について整理します。

基本情報

  • 会社名:三菱電機株式会社
  • 設立:1921年1月15日
  • 本社所在地:東京都千代田区丸の内2-7-3(東京ビル)
  • 代表者:代表執行役社長 漆間啓
  • 資本金:1,758億円(2025年3月31日現在)
  • 従業員数:連結149,134人、単体31,213人(2025年3月31日現在)
  • 主要製作所鎌倉製作所(神奈川県)、伊丹製作所(兵庫県)、名古屋製作所(愛知県)、福岡製作所(福岡県)、静岡製作所(静岡県)、中津川製作所(岐阜県)
  • 研究開発拠点先端技術総合研究所(兵庫県)、情報技術総合研究所(神奈川県)
  • 海外拠点北米、欧州、アジア・太平洋地域に製造・販売拠点を展開

連結業績推移

三菱電機の直近5期間の業績推移を整理します。

年度 売上高(億円) 営業利益(億円) 営業利益率(%) 経常利益(億円) 当期純利益(億円)
2021年3月期 41,914 2,588 6.2 1,931 4,016
2022年3月期 44,768 2,797 6.2 2,035 3,569
2023年3月期 50,037 2,922 5.8 2,139 3,481
2024年3月期 52,579 3,285 6.2 2,218 1,132
2025年3月期 55,217 3,918 7.1 2,849 6,503

有価証券報告書より

売上高は、5年間で32%成長(41,914億円→55,217億円)。営業利益も、同51%成長しています(2,588億円→3,918億円)。営業利益率は、2025年度に7.1%と過去最高を記録し、当期純利益は、同6,503億円と大幅増益しています。

事業内容

三菱電機は、大きく5つの領域で事業を行っています。

  • インフラ事業:社会システム、電力システム、防衛・宇宙システムを展開しています。鉄道システム、上下水道システム、道路交通システムなどの社会インフラから、発電・送配電システム、防衛関連システムまで、社会の基盤を支える重要な事業を担っています。
  • インダストリー・モビリティ事業:FAシステムと自動車機器を主力としています。工場自動化(FA)システムでは世界トップクラスのシェアを誇り、自動車機器では電動化技術やADAS(先進運転支援システム)関連製品を提供しています。
  • ライフ事業:ビルシステムと空調・家電を展開しています。エレベーター・エスカレーター、ビル管理システムから、ルームエアコン、冷蔵庫などの家電製品まで、人々の生活に密接に関わる製品・サービスを提供しています。
  • セミコンダクター・デバイス事業:パワー半導体を中心とした半導体製品を製造・販売しています。特にIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)では世界トップクラスの技術力を有しています。
  • ビジネス・プラットフォーム事業:情報システム・ネットワーク、電子デバイスなどを展開し、グループ全体のデジタル変革を支援しています。

セグメント別業績(2025年3月期)

セグメント 売上高(億円) 営業利益(億円) 営業利益率
インフラ 12,249 894 7.3%
インダストリー・モビリティ 16,448 826 5.0%
ライフ 21,851 1,572 7.2%
セミコンダクター・デバイス 2,863 406 14.2%
ビジネス・プラットフォーム 1,468 108 7.4%
その他 8,521 515 6.1%
連結合計 55,217 3,918 7.1%

決算説明会資料より

三菱電機は、社会インフラから産業システム、一般家電まで幅広い領域をカバーすることで、景気変動や特定市場のリスクを分散する堅実な事業ポートフォリオを構築しています。特に、インフラ事業やライフ事業は社会に不可欠な領域であり、長期的な需要の安定性が期待できる事業構造となっています。

売上規模ではライフ事業が最大を占める一方、セミコンダクター・デバイス事業が突出した営業利益率を示しており、伝統的な家電・空調事業で安定した収益基盤を確保しつつ、半導体分野で高い技術力と収益性を実現している企業です。

平均年収・給与データ

年度 平均年収 平均年齢 平均勤続年数 単体従業員数
2021年3月期 796万3,544円 40.7歳 16.6年 36,162人
2022年3月期 806万7,252円 41.1歳 16.9年 36,700人
2023年3月期 827万3,671円 41.3歳 16.9年 35,136人
2024年3月期 829万8,631円 41.1歳 16.7年 36,520人
2025年3月期 869万5,126円 41.3歳 16.3年 31,213人

有価証券報告書より

2025年度の平均年間給与(平均年収)の大幅増加(+39万6,495円、+4.8%)の主要因は、以下の通りです。

  • 業績連動賞与の増額:営業利益率7.1%(過去最高)を受けた賞与水準の向上
  • ベースアップの実施:物価上昇に対応した基本給の引き上げ
  • 人事制度改革:成果主義の強化による高評価者への処遇改善

なお、2025年3月期の単体従業員数が前年度比5,307人減少した主要因は、2024年4月1日付で自動車機器事業を分社化し設立した三菱電機モビリティ株式会社への従業員の出向によるものです。事業分社化により従業員数は減少しましたが、結果的に平均年収の大幅上昇に関係しています。

給与制度の詳細

給与体系の基本構造

三菱電機の給与体系は、基本給、諸手当、賞与から構成される総合的な制度となっています。同社では職務レベル別等級制度を採用しており、従業員の職務内容と責任に応じた適正な処遇を実現しています。

  • 基本給は、職務等級個人の能力・成果に基づいて決定されます。同社では年功序列ではなく、職務の価値と個人の貢献度を重視した給与制度を採用しており、若手であっても高い成果を上げれば相応の処遇を受けることができる仕組みとなっています。
  • 賞与は年2回(夏季・冬季)支給され、会社業績と個人成績の両方を反映した支給額となります。2025年3月期の好業績を受けて、賞与水準も高い水準を維持していると考えられます。

諸手当制度

三菱電機では、従業員の生活を支援する充実した手当制度を整備しています。時間外手当、扶養手当、通勤費補助、住宅手当、生計手当などが含まれ、従業員の生活を総合的に支援しています。

福利厚生制度

同社では、健康管理、休暇制度、教育・研修制度、住宅支援、財産形成支援など、充実した福利厚生制度を整備しています。「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されており、従業員の心身の健康維持・増進を支援する制度が充実しています。

競合他社比較

企業名 平均年収 平均年齢 平均勤続年数 従業員数(単体)
日本電気(NEC) 963万1,033円 42.6歳 16.6年 22,271人
日立製作所 961万3,890円 42.6歳 18.7年 25,892人
パナソニックHD 956万1,871円 44.0歳 17.9年 1,478人
三菱電機 869万5,126円 41.3歳 16.3年 31,213人
オムロン 820万5,000円 44.5歳 15.2年 3,873人
富士電機 810万4,009円 44.9歳 20.5年 10,939人

各社有価証券報告書による

なお、日本電気(NEC)と日立製作所は、事業セグメントに占めるITサービス・デジタル領域の比率が高く、職種ミックス(本社系・IT人材比率の高さ)が平均年収を押し上げています。

一方、三菱電機・オムロン・富士電機は製造色が強く、現業・生産系職種を多く抱えるため、平均は相対的に低く出やすい構造です。

また、パナソニックHDの数値は純粋持株会社の単体データで、対象が本社中枢人材に限られるうえ、従業員数が少ないため(1,478人)見かけの水準が高くなりやすく、他社の事業会社と同列比較は適切ではありません。

加えて、三菱電機は平均年齢が最も若い(41.3歳)ため、日本型の年功色を考えると平均年収が相対的に低く見える一因になっています。

三菱電機への転職を検討する際の注意点

三菱電機への転職を考える際の注意事項について、事業特性を踏まえて整理します。

  • 社会インフラ事業の特性:電力システム、交通システム、上下水道システムなど社会インフラに関わる事業が中心のため、長期間同じプロジェクトや顧客に関わることが多くなります。短期間で多様な案件を経験したい方には向かない可能性があります。
  • BtoB中心のビジネスモデル:一般消費者向けよりも企業・官公庁向けが事業の中心となるため、営業スタイルや商談期間が一般的なBtoC企業と大きく異なります。長期的な関係構築が重要になります。
  • 品質・安全性への厳格な要求:社会インフラを支える製品を扱うため、品質管理や安全基準が極めて厳格です。製造業経験のない方は、品質管理体制や安全管理の厳しさに注意が必要です。
  • 長期的な製品ライフサイクル:製品の開発から運用・保守まで数十年スパンで関わることが多く、短期的な成果よりも長期的な視点での業務遂行が求められます。
  • 規制・標準への対応:各種法規制や業界標準への対応が日常業務に組み込まれており、関連知識の習得が必要になります。

三菱電機社員の給与明細(キャリコネ)

年功序列の社風が給与明細でも明らかに!

20代・ルートセールス(非管理職)の 給与明細

30代・ルートセールス(非管理職)の 給与明細

ボーナスが出ると年収は大きくアップ!

20代・営業管理・賞与なし(非管理職)の 給与明細

20代・営業管理・賞与あり(非管理職)の 給与明細

三菱電機で働くメリット・魅力

三菱電機への転職について、年収以外の魅力を整理します。

  • 事業の安定性と将来性:社会インフラ、産業システム、ビルシステム、空調・家電、半導体など、社会に不可欠な事業領域を幅広くカバーしており、長期的な成長が期待できます。
  • 技術力の高さと成長機会:電機技術の分野で長年培ってきた技術力を基盤に、最新のデジタル技術との融合を進めており、技術者にとって最先端の技術開発に携わる機会が豊富にあります。
  • グローバル企業としての経験機会:世界各地に製造拠点と販売網を展開しており、海外赴任や国際プロジェクトへの参画機会が豊富にあります。

この記事の執筆者

有価証券報告書を中心とした一次情報に加え、キャリコネをはじめとする口コミサイトなどネット上の情報を収集分析し、転職を検討する人たちの参考になるコンテンツを作成しています。


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