日立製作所の採用面接前に知っておくべきこと
■社風への理解
日立製作所の始まりは、1910年に創業者・小平浪平が立ち上げた茨城県日立市のベンチャー企業です。「日本製の発電機を作りたい」という思いが出発点であり、国産自主技術へのこだわりが有名ですが、現在では社会・産業システムをはじめとする広範な事業を展開しており、日本最大級のコングロマリット企業(複合企業)としても知られています。
日立製作所では「優れた自社技術・製品の開発を通じて、社会に貢献する」という企業理念のとおり、社会の課題を解決することが仕事の醍醐味と考えられています。職人気質な「ものづくり」の会社らしく、仕事の品質にはとことんこだわり抜く社風で、そのストイックさが強みであると同時に、保守的な一面にもつながっています。
仕事を進める上では、個人の裁量が大きく与えられるというよりも、基本的には上司に確認を取りながら進めていくスタイルです。意思決定もトップダウンであることが多いという口コミが見られ、若手社員が自分のやりたいことを提案し推し進めていく上では、一定の「社内政治力」が必要となります。
こうした「日本企業」ならではの社風は、日立製作所の組織力にもつながっており、事業規模の大きさや社会的影響力の強さにも影響しています。国内はもちろん、海外での競争力の中でも評価の高い仕事に携われることはひとつの魅力といえるでしょう。
品質にこだわるあまりに時間的・体力的・精神的なハードワークが要求されるケースもありますが、組合がしっかりと機能しており、残業時間や休日出勤なども管理されています。口コミによると、総じて働きやすい環境であると感じる社員が多いようです。
また、日立製作所は多数のグループ会社を抱えており、そのトップの位置づけであるため、若いうちからビッグプロジェクトのリーダーとして、グループ各社の多数のメンバーをまとめる役割も担っています。大組織の中で縦横からの信頼を得、円滑かつスピーディにプロジェクトを進める度量が求められており、採用面接の中でももちろん、こうした社風にフィットする人材かどうかを評価されます。
■選考は何次まで?
日立製作所の中途採用プロセスは、Webエントリー後、書類選考と2~3回の面接です。いずれの面接でも、人事担当者と現場社員(課長級~部長級)の2名による面接が行われます。職種によっては全ての面接が1日で終わることもあるようです。
募集職種は大分類すると、「研究開発」「設計開発」「SE」「資材調達」「生産管理」「生産技術」「品質保証」「営業・営業技術」「人事総務」「経理財務」「法務」「知的財産マネジメント」「企画」の13種類。実際の募集職種は、これらの職種がさらにビジネスユニットごとに細分化されているため、募集職種の全体像を把握した上で、その中でもなぜその職種に応募したのかという点を明確に説明できるようにしておきましょう。
■面接内容の傾向は?
日立製作所は日本最大級の巨大企業であり、その組織力・技術力をもってグローバル規模の社会課題を解決しています。そのために必要なのは、お客様と共に考え、ソリューションを提案できる「コミュニケーション能力」、誰も手がけたことがない未知の領域に挑戦できる「行動力」です。そしてもちろん、最後まで責任感を持って諦めることなくやり抜く力も求められます。
面接では、これらの要素を兼ね備えている人材かどうかを確認されます。質問内容は、志望動機やこれまでのキャリア内容といったオーソドックスな内容に加えて、「これまでで一番苦労したこと」「過去の挫折経験」「泥臭い仕事に対応できるか?」といった質問も多く、「仕事に取り組む姿勢」も重要視されていることが伺えます。募集職種によっては、「研究の新規性」や「事業の将来像」まで問われることもありますので、しっかりと対策しておくことも必要です。
また、全てのやり取りを通し、お客様から信頼され、多くのメンバーを動かすことのできる「コミュニケーション能力」があるかどうかが評価されるのもポイントです。面接官の質問内容を正確に理解し、それに対して論理的に分かりやすく説明することが求められます。組織力のある日本企業らしい社風ですので、回答には突拍子もない斬新性よりは、安定感や説得力のある内容が求められる傾向があります。
日立製作所の面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
日立製作所の面接攻略法(面接対策)
■日立製作所の「日立グループ・アイデンティティ」を理解した上で自己分析をする
日立製作所の面接を受ける上では、企業理念「MISSION」、日立創業の精神「VALUES」、日立グループビジョン「VISION」の3つを体系化した、「日立グループ・アイデンティティ」を理解しておくことが不可欠です。
企業理念(MISSION)
”優れた自社技術・製品の開発を通じて、社会に貢献する”
和・誠・開拓者精神(VALUES)
「和」他人の意見を尊重しつつ、偏らないオープンな議論をし、一旦決断に至れば、共通の目標に向かって一致協力すること。
「誠」他者に責任を転嫁せず、常に当事者意識を持って誠実にことに当たること。社会から信頼をかち得るための基本姿勢。
「開拓者精神」未知の領域に、独創的に取り組もうとすること。常に専門分野で先駆者でありたいと願い、能力を超えるような高いレベルの目標に挑戦する意欲のこと。
日立グループ・ビジョン(VISION)
”日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界を目指します。”
これは、日立製作所の企業カルチャーの土台となる価値観。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの「日立グループ・アイデンティティ」に合致する人材であることをアピールしましょう。
例えば、現在の職場で、周囲のメンバーとどのようなチームワークを心がけているか、問題が起きたときには当事者意識を持っていかに解決に当たったか、というエピソードは、「和・誠・開拓者精神(VALUES)」のアピールにつながります。
「日立グループ・ビジョン(VISION)」のとおり、日立製作所にとってグローバル展開は欠かせない要素です。日本のみならず各国が持つ社会問題に対して解決に当たることがミッションとなりますので、これを意識した志望動機を伝えることも、大きなアピールとなるでしょう。
■「なぜ日立製作所に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
日立製作所の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ日立製作所か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、日立製作所という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- ソニー株式会社
- 三菱電機株式会社
- キヤノン株式会社
- パナソニック株式会社
日立製作所の採用面接で実際に聞かれた質問内容
このように、日立製作所の面接を受ける前には、「日立グループ・アイデンティティ」に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、日本最大級の組織力・技術力をもって、グローバル規模で社会課題を解決するダイナミックな社風を理解し、リーダーシップと当事者意識を持って仕事に取り組めるエピソードを紹介するとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
25歳男性/IT部門【結果:入社】
27歳男性/海外営業【結果:1次面接で不採用】
23歳男性/代理店営業【結果:最終面接で不採用】
26歳男性/経理【結果:1次面接で不採用】
日立製作所の採用面接に向けて
日立製作所の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 日立製作所の創立背景や企業理念を念頭に置き、日本最大級の組織力を持つからこその社風を理解する。
- 「日立グループ・アイデンティティ」を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
- 競合他社についても研究し、「なぜ日立製作所か」に対する答えを明確にしておく。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。