アルプス技研の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
アルプス技研は1968年にエンジニア出身者が神奈川県で創業しました。創業当初は地元メーカーの開発設計を行うパートナー企業という位置づけでしたが、労働者派遣法の施行をきっかけに技術者派遣企業へと変化を遂げました。2004年には東証一部に上場し、現在従業員数3000名を超える規模にまで成長。そのうち9割が技術職であり、中途採用も技術職(エンジニア職)の募集がメインとなっています。
面接を受ける際には、アルプス技研のビジネスモデルをしっかり理解しておきましょう。
アルプス技研のビジネスモデルは、取引先であるメーカーなどに自社エンジニアを派遣する、いわゆる技術系アウトソーシングとよばれる業態です。同社はエンジニアを正社員として採用し、無期雇用をしています。仮に何かの理由により派遣先を一時的に用意できない場合も、給与支給が継続され社員の生活が守られています。
このビジネスモデルでは、派遣するエンジニア(人材)の質と数が売上に直結します。人材が資本であることから、これまで毎年年間売上の約2%が自社エンジニアの研修費に充てられてきました。エンジニアのキャリア支援ともいえるこの研修は、様々なコンテンツが用意され、自発的に学べるよう体系化されています。この研修は社員が生涯エンジニアとして活躍するための土壌としての役割を果たしています。受講すると評価の対象となり、昇進・昇格のチャンスが得られるなど人事システムと連動しているのが特長です。技術系アウトソーシング企業で、社内研修を実施しているところは多数存在しますが、この内容の充実度と人事評価システムに連動していることが、アルプス技研の大きな魅力であるといえるでしょう。
入社後の口コミでは、この研修制度について満足しているという声が目立ちますが、一方で充実した研修制度がかえって重荷であるというコメントも散見されます。
また入社後満足度については、口コミ上では意見が多種多様で傾向が掴みにくい状況です。なぜなら雇用元はアルプス技研でも、実際に毎日勤務するのは派遣先企業となるからです。一人で派遣される場合とグループ単位で派遣される場合と両方のケースがありますが、いずれにしても派遣先の環境が入社後のやりがいに直結するため、口コミでは「運次第」というコメントもあります。派遣先の社風や業務内容、人間関係によって評価にかなり差があるように見受けられます。
仮に現在の派遣先に満足して勤務していても、プロジェクトが終了となれば別の派遣先で勤務することに。数年単位で職場環境が大きく変わるという職種になるので、面接の中では柔軟性や適応力といったコンピテンシーがあるか見極められていると認識しておくとよいでしょう。
■選考は何次まで?
アルプス技研の中途採用面接は、応募者一人ひとりの個別事情に応じて柔軟に組まれるのが特徴です。選考過程は応募から内定まで2週間程度となります。基本的に面接は2回を予定していますが、併願先の選考状況により2週間待てないという場合は、選考期間を早める措置がとられます。いつまでに最終結果が欲しいという希望があれば人事担当者に相談するとよいでしょう。
一次面接は応募者の希望する面接時間、面接場所を考慮してくれます。平日は日中帯だけでなく20時スタート、土曜日も最終17時スタートの面接が設定可能です。最終面接は応募する部門によって面接場所が異なります。過去には本社面接の他に、一次面接と同じ場所で他拠点にいる面接官とWEB面接というケースがありました。なお、遠方に住んでいる方は面接回数が1回で終了するように、事前調整をしてくれる場合があるようです。
アルプス技研は、応募者からの積極的な質問を歓迎する会社です。面接の終盤で聞かれる「何か質問はありますか?」という質問タイムでは、「自分が希望する配属地で現在どのような案件があるのか」「どういったスキルがあると汎用性が高いか」といった質問が可能です。自分の市場価値を確かめられる情報収集の場として面接を活用することもできます。
また内定受諾後に現職の退職日がなかなか決まらないといった状況が発生した場合には、入社日の相談を再度行うことができます。至るところで中途入社者に細やかな配慮を行っている企業といえるでしょう。
■面接内容の傾向は?
アルプス技研の過去の面接における口コミの中に「圧迫面接だった」「面接官が高圧的・威圧的だった」という内容のものはほとんど見当たりません。穏やか・和やかな雰囲気で、自分の経歴や今後の希望を聞き出してくれたというものが多数を占めます。コミュニケーション力を武器とする営業職と異なりエンジニア職は自己PRする場面が普段少ないため、緊張しないように話してほしいという配慮がなされているものと考えられるでしょう。従って流ちょうに話すことを目指すのではなく、自分の詳細な経歴や専門分野、今後の希望について面接官にしっかり理解されるように、濃い内容になるよう情報をまとめておくとよいでしょう。
質問項目はオーソドックスなものが多く、答えに窮するような突飛な質問は少なめです。口コミでも「特に印象に残る質問はない」と評されるほどです。学生時代の専攻、前職の経験、転職理由、将来像、希望年収や転勤希望の有無がどの面接官にも共通しているようで、比較的珍しい質問例としては「過去にスランプはありましたか」「最近読んだ本はなんですか」の例があります。
エンジニア職では、応募時の年齢により5つの区分に分けて採用を進めています。未経験者(別分野での社会人経験は必要)・20代若年層・30代前半経験者・30代後半経験者・40代以上経験者に分け、さらにそれぞれ機械・電気・IT・化学といった領域ごとに求める人物像、保有スキルを設定しています。これらももちろん合否の判断材料となりますが、どちらかというとアルプス技研が保有する案件の中から、応募者のスキルに合った案件をマッチングするというのが面接の最終目的となります。よって不合格理由としては「現時点でご提案できる企業先(案件先)の用意が難しい」が多いようです。
研修制度も非常に充実していることから、主体性・適応力・成長意欲という土台があれば潜在的な可能性を引き出せるという考えをベースに選考がすすみます。将来的なポテンシャルも加味して選考をしてくれるので、過去の小さな経験や、少し勉強した程度でも、やってみたいという意欲を積極的に伝えるとよいでしょう。
エンジニア以外に営業職やバックオフィス系ポジションの採用も過去にありましたが、基本的に質問内容はエンジニアと似ています。スキル面については過去実績や頑張って取り組んだことを準備していきましょう。
アルプス技研の面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
アルプス技研の面接攻略法(面接対策)
■アルプス技研の経営戦略を理解した上で自己分析をする
アルプス技研は、特にニーズの高い「設計~試作」を中心とした上流工程のアウトソーシングに特化する戦略を打ち出しています。これによりメーカーからの圧倒的信頼を勝ち得ているとされます。
この強みが他社との差別化にもつながり、経営基盤が安定しています。アルプス技研では2008年のリーマンショックの中でも会社都合による人員削減を行わなかった企業として社内外から評価されました。
面接の際には、「エンジニアとしてどんな成長をしたいか?」が頻出して聞かれおり、応募者の中長期的な成長ビジョンを確認されます。応募時に上流工程が未経験であっても、将来的には上流工程に携わりたいという発信が面接では有効といえるでしょう。万一、上流工程に興味がないという場合でも、○歳までにはマネジメント経験を積みたい、○年以内にこんなスキルを身につけたいといった具体的な目標を話すとよいでしょう。技術者として生涯研鑽を積む覚悟があるということについて自分なりのプランで説明できるよう、考えをまとめておきましょう。
なお自身の経歴について説明する場合に備え、まず求人票の必要業務経験(応募資格)の欄をしっかり確認することが重要です。例えば電子系エンジニア職で
・回路設計に関連する業務経験1年以上
・測定機器を⽤いた実験/評価業務経験1年以上
・または上記と同等の学習経験/知識
という条件が記載されていた場合、自分の経歴説明に「回路設計」「測定機器」「実験」といったキーワードを必ず入れるようにしましょう。企業が求めている経験と自分が保有している経験が合致していることを高く印象づけるためです。併せてそれらの業務上で苦労したこと、工夫したことのエピソードも用意しておくと、本番の面接で慌てずに回答することができるでしょう。
■「なぜアルプス技研に転職したいのか」の明確化には他社研究も忘れずに
アルプス技研の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜアルプス技研に応募したか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面もあわせて見ています。
国内には派遣企業が80000社以上あるため、アルプス技研という企業の特性が何かを理解していきましょう。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究を行うことが有効です。具体的には、技術系アウトソーシング企業の中でも規模感の似た企業について調べておくことがおすすめです。
●株式会社アウトソーシングテクノロジー
●株式会社メイテック
●株式会社フォーラムエンジニアリング
●株式会社テクノプロ
各社特色が似ている部分も多く、なぜアルプス技研かを表現するのにいささか苦労するかもしれません。わずかな部分でも差別化できていると感じたら、面接の中で伝えてみるとよいでしょう。事前にしっかり調べてきたことを面接官に評価してもらえるはずです。
アルプス技研の採用面接で実際に聞かれた質問内容
このようにアルプス技研の採用面接を受ける前には、経営戦略に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。面接の場では、顧客のニーズに応えられるプロフェッショナルが求められている風土であることを意識して、エンジニアとして高い成長意欲を持っている人材だと印象付けられるよう、様々なエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、十分に考えながら面接対策しておきましょう。
20代前半男性/エンジニア職(デジタル回路設計)【結果:選考中止】
30代前半男性/エンジニア職(機械設計)【結果:入社】
30代前半女性/営業職【結果:1次面接で不採用】
30代前半男性/エンジニア職(設計開発職)【結果:結果待ち】
アルプス技研の採用面接に向けて
アルプス技研の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●アルプス技研のビジネスモデルを理解し、企業風土や求める人物像を理解する。実際に勤務するのは派遣先企業であるということから、主体性・適応力・成長意欲といった点を訴求していくための回答づくりを意識する。
●自分の経歴と、「エンジニアとしてどのように成長したいか」についてそれぞれ回答を準備する。双方詳細であるほど好ましく、具体的に話せるよう経歴やビジョンをまとめておく。
●競合他社について研究し、「なぜアルプス技研か」に対する答えを明確にしておく。差別化ポイントを理解し、具体的な志望動機を考える。
これらについて入念に準備して、面接当日はオリジナリティのある自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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北海道大学文学部卒業。専攻は社会学。小売業界を経て人材業界に転職。20代~30代向けの転職支援を行うキャリアコンサルタント。