【面接対策】三陽商会の中途採用面接では何を聞かれるのか

百貨店を主な販路とし、「EPOCA」「TO BE CHIC」など数多くのブランドを展開する三陽商会。工作機械工具の修理加工、販売からスタートした同社ですが、1946年に販売を開始したレインコートのヒットを契機にアパレルメーカーへと転換、成長してきました。しかし、英国ブランド「バーバリー」とのライセンス契約が終了した2015年以降、経営状況が悪化。2020年2月期で4期連続の赤字決算となりました。株主である米国の資産運用会社・RMBキャピタルに身売りの検討を要求されているとの報道があったばかりで、今後の動向に注目が集まっています。

「真・善・美」を社是に、ファッションを通じた豊かな生活文化の創造を目指して経営を行う三陽商会には、体質の古さは見られるものの、働きやすい企業風土があります。優しく親切な社員が多く、社内の雰囲気は穏やか、女性が働きやすい制度も整っているなど、長く働き続けられる条件が揃っているようです。女性が多い職場ならではの気苦労はあるようですが、そのおかげで社会人として「どこに転職しても恥ずかしくないレベルに育つ」という意見も。年功序列の面もあり、給与水準は高くはないものの、自分のペースを大切に、ワークライフバランスに配慮した働き方ができます。

また、「洋服、ファッション、新しいものが好きな人には楽しい職場」という口コミもあるように、「好きなもの」に囲まれて仕事ができる点にやりがいを見出す人が散見されます。「在庫消化のために叩き売りするような企業もある中、自社工場ブランド・商品を大事にし、愛着を持っている人が多い」との口コミもあり、三陽商会の商品や誠実なものづくりの姿勢に共感しながら働く人が多いことがうかがえます。

職場環境や社内の雰囲気に満足している人が多い一方、経営方針に不安を抱く声も。「バーバリー社との契約終了が分かっていながら、有効な手立てが打てなかったのは問題」「判断も決断もかなり遅い」など厳しい意見が並びます。のんびりとした企業風土が裏目に出たとも言えるこの状況を「挽回してほしい」との口コミもあり、今後の経営方針に期待がかかります。

中途採用面接では、こうした三陽商会の誠実かつ穏やかで働きやすい社風にフィットする人材であるかどうか、経営の立て直しに貢献できる人材であるかどうか、が評価のポイントとなります。企業としての動向を情報収集しつつ、対策をおこなってください。

三陽商会の選考プロセスは、エントリー→書類選考→1～2回の面接、となっています。コーポレートサイトの中途採用情報ページには、人物重視で選考を行う旨が明確に記載されており、面接を受けるにあたっては綿密な自己分析が要求されます。しっかりと対策して臨みましょう。

2020年2月現在、三陽商会では、ファッションアドバイザーの募集を行っています。中途採用情報ページには現職のファッションアドバイザーへのインタビューなども掲載されています。職種理解やキャリア形成を考える一助として、ぜひ目を通してみてください。仕事内容や職場の雰囲気を掴むのにも役立ちます。

実際の面接では、人物理解と実務能力の両方を重視する傾向が見られます。

職務経歴書の内容に基づいた基本的な質問や、「仕事における短所はあるか？」といった質問をされることがあるようです。職務経歴書の内容については何を聞かれても対応できるよう準備しておき、自己分析も徹底しましょう。仕事をする上で、自己理解ができていることは強みとなります。ポジティブな面からだけではなく、「苦手なこと」「失敗した経験」などの観点からも自己分析をおこなうのがポイントです。ネガティブ要素をカバーするためにどのような努力をしているのかを併せて伝えられればなお良いでしょう。

また、「（ブランドの）レーベルラインの違いは分かるか？」と聞かれたり、「今日のコーディネートのポイントを教えてください」と求められたりすることもあります。アパレル業界で仕事をするのに欠かせない知識やセンスが問われます。配属を希望するブランドの特色や販売戦略などをしっかりと理解しておきましょう。面接時の服装はTPOと清潔感を最重要視すべきですが、問われれば「自分らしさ」とセンスを披露できるような小さなポイントを仕込んでおくのも一手でしょう。

面接に臨む前に必ずおさえておきたいのが三陽商会の経営戦略です。

三陽商会が目指すのは、不変の価値を持つ商品づくりです。速いスピードで消費されていく量販品ではなく、「ほんとうにいいもの」の提供を行っていくことが基本の方針です。そのために主要製造工程を日本に置き、手頃さと贅沢さを併せ持ったブランド戦略により、高品質で高付加価値な商品を適正な価格で展開していくとしています。

主な戦略は以下の通りです。

①ブランディングとマーケティングの強化によるブランド力向上
②バリューチェーン全領域でのデジタルトランスフォーメーションとその活用
③積極的なM&A・資本業務提携を通じた成長加速

顧客のニーズに応えるブランド展開やサービス提供により、顧客自身の価値を高める役割を担い、それにより企業としての価値向上を追求していくとしています。併せてサステナビリティ課題にも積極的に取り組む姿勢です。

これら戦略を展開するにあたり、「SANYO サービスポリシー」が上図のように定められています。顧客の「喜び」を最上位にとらえ、顧客本位の事業活動と誠実なサービス・対応を目指すものであり、全従業員が従うべき「業務の根幹をなす考え方」です。中途採用においても、「常に顧客起点かつ現場起点で誠実に業務に取り組むことができる人材」が求められていると言えます。その他、三陽商会には、社風への理解の項で触れた社是以外にも経営理念・CSR基本方針・企業行動基準が存在し、これら4つを合わせて「企業理念」としています。こうした理念群にも目を通し、しっかりと理解した上で、面接に臨みましょう。

三陽商会の面接でよく聞かれる質問のひとつとして「なぜ三陽商会か」というものがあります。三陽商会の場合、志望動機を問うことで面接官は「これまでのキャリアをどのように当社で活かすつもりなのか」といったキャリアビジョン的な要素と併せて、「当社の成長にどれだけ貢献できる人材なのか」を見極めようとしていると考えられます。

業界理解・職種理解だけでなく、三陽商会という企業についてしっかりと理解した上での自己アピールが重要になります。企業研究の一環として、競合となりやすい企業の他社研究も忘れずに行うようにしてください。「なぜ他社ではなく三陽商会を志望するのか」という視点から志望動機を論理的に説明できれば、入社への熱意だけでなく仕事への意欲や入社後のビジョンもアピールすることができます。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。

• 株式会社レナウン
• 株式会社ワールド
• 株式会社オンワード樫山

三陽商会が目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。三陽商会の場合「誠実かつ穏やかで働きやすい社風」を意識して、「顧客目線で誠実に職務遂行できる人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。

面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、自分の場合に置き換えて考えてみてください。

三陽商会の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。

• 「誠実かつ穏やかで働きやすい社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。


• 三陽商会の経営戦略および企業理念・「SANYO サービスポリシー」を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。


• 競合他社についての理解を深め、「なぜ三陽商会なのか」に対する答えを明確にしておく。