2022年08月29日
【年収研究シリーズ】日本郵政社員の平均年収は高いのか?実際はいくらもらっている人が多い?給与制度は年俸・月給どっち?ボーナスは年何回で合計いくらもらえるのか?年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか?など、年収に関する話題をデータや口コミから明らかにします。就職・転職の判断にご活用ください。
日本郵政の平均年収は798.4万円です(日本郵政有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考に日本郵政の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で320〜370万円、30歳代で560〜610万円、40歳代で740〜790万円という結果になりました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.62倍の額です。
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 798.4万円 | 45.1歳 | 17.9年 | 1994人 |
2021年3月期 | 788.5万円 | 44.3歳 | 17.4年 | 2039人 |
2020年3月期 | 798.5万円 | 43.9歳 | 17年 | 2031人 |
2019年3月期 | 780.5万円 | 43.9歳 | 17.3年 | 2106人 |
2018年3月期 | 760.7万円 | 43.5歳 | 16.6年 | 2422人 |
出典:日本郵政・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
日本郵政の平均年収は前年を上回り798.4万円でした。
過去5年間では2番目に高い額になりました。
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 336.9万円 | 21.9万円 | 63.7万円 | 303.21万円 |
30代 | 580.2万円 | 36.9万円 | 109.9万円 | 522.18万円 |
40代 | 760.3万円 | 47.9万円 | 144.1万円 | 684.27万円 |
50代 | 752.7万円 | 47.4万円 | 142.7万円 | 677.43万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
日本郵政の年収が高い理由は、基本給の高さももちろんありますが、賞与のボリュームの大きさがまず挙げられます。社員の口コミを見ると、支給月数は「年4ヶ月分」と、突出した数字ではないものの、「個人間の評価による差はほとんどない」という特徴があります。つまり、全社員に対し安定的に年4ヶ月分が支給されるということです。成果主義を求める社員にとってはやや不満かもしれませんが、年収の安定性を支えるという意味では、この賞与が大きく寄与していると言えます。
また、後に詳述しますが、同社は「完全な年功序列」であり、「マネージャーまでは必ず昇進できる」という昇格制度です。評価によって大きく差を付けられることもないため、全員が毎年安定的に昇給していくという仕組みが、平均年収を引き上げていることが推測されます。
日本郵政の給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回の賞与で構成されています。諸手当は、扶養手当、通勤手当、住居手当などのほか、営業・勤務実績に応じて手当が支給されます。
その他に福利厚生として、財形貯蓄制度、従業員持株会、寮・社宅など、幅広い制度が整備されています。中でも寮・社宅については、「1万円前後で入ることができる」と利用料の安さとともに、「寮は一等地にある」「都内などの人気物件は、順番待ちになりますが、ほぼ希望は通っている」と好条件であり、社員からの評判も上々です。退寮後については、「27000円の補助のみ」となるようです。
日本郵政社員の給与明細(キャリコネ)
20代でも650万円超
20代営業(非管理職)の 給与明細
30代営業(非管理職)の 給与明細
年功序列とは言え、20代と30代で年収差がないケースも
20代管理部門(非管理職)の 給与明細
30代管理部門(非管理職)の 給与明細
日本郵政の職種は、「総合職」と総称されますが、新卒採用の場合は、その中で「IT技術系」「建築技術系」など、専門分野別に採用窓口が分かれています。しかし賃金制度としては、「総合職」として共通であり、初任給についても、以下の通り、全コース共通で、学歴別に設定されています。
<初任給>
●修士了/月給 220,500円~246,960円
●大学卒/月給 212,500円~238,000円
※2021年度採用の支給予定金額
年代、職位別の年収目安としては、20代が450~600万円、30代主任クラスで650~750万円、課長クラスになると850万円を超える水準となります。
日本郵政社員の給与明細(キャリコネ)
職種が違えど年収はほぼ同水準
20代金融系(非管理職)の 給与明細
20代営業(非管理職)の 給与明細
30代は安定的に700万円を超える
30代広告宣伝(非管理職)の 給与明細
30代営業(非管理職)の 給与明細
日本郵政の年収は、職位・資格と紐づいているため、年収を上げるためには昇格することが必要です。口コミを見てみると、「年功序列の色が濃い」という声が多数見られます。つまり、「長く働けば給与が上がるため、もちろん賞与も上がる」「成果主義の割合は低く年功序列に報酬は大きく左右される」とのことです。また、同社の賃金制度は、「役職が上がるごとに一気に給料が上がるシステム」であり、一般社員から主任、課長、と順に昇格するにつれて、大きく年収が上がるようです。
評価制度としては、「年度ごとに個人目標を各自定めて、その達成度合いに応じて、昇給やボーナスに反映される」という仕組みですが、実際は「よほどのことがない限り査定で悪い評価はつけられない」「標準的な評価人数が多く、ボーナス加算される人数は少ない」と、「横並び」評価であるようです。また、「昇進スピードは遅いが、マネージャーまでは必ず昇進できる」と、安定的・長期的に働きたい人にとっては魅力的な職場であると言えます。
日本郵政社員の口コミ(キャリコネ)
年功序列の風土が根強い
「民営化されたとはいえ今でもまだまだ年功序列 年齢が上であればお給料も上……」
年齢が上がれば、安定的に昇給できる
「相変わらずの横並び主義で年功序列 ある程度の年齢になるまで、不安定な経済情勢でも安泰……」
日本郵政の競合や同業界であるゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、ヤマトホールディングスの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、日本郵政が798.4万円、ゆうちょ銀行が677万円、かんぽ生命保険が651.4万円、ヤマトホールディングスが1018.9万円です。
この4社の中で最高額はヤマトホールディングスの1018.9万円で、最低額がかんぽ生命保険の651.4万円。その差はおよそ368万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では日本郵政は2番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
ヤマトホールディングス | 1018.9万円 | 53.4歳 | 30.2年 | 25人 | 480.1億円 |
日本郵政 | 798.4万円 | 45.1歳 | 17.9年 | 1994人 | 2846.88億円 |
ゆうちょ銀行 | 677万円 | 44.5歳 | 20.4年 | 12169人 | 19770.8億円 |
かんぽ生命保険 | 651.4万円 | 40.8歳 | 16.2年 | 7545人 | 24189.79億円 |
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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