日本郵便の採用面接前に知っておくべきこと
■社風への理解
明治4(1871)年、東京・大阪間で官営の郵便事業として始まり、長らく国営事業として運営されてきました。その後、2012年の第180回国会において郵政民営化法の改正案が可決・成立し、民間企業「日本郵便株式会社」となりました。
日本郵便は、良くも悪くも安定志向が残る昔ながらの古い体質の企業です。物事の判断を個々人の裁量に任せてもらえることが少なく、常に上長の判断を待たなければなりません。また販売や営業のノルマが達成できていないと、「社内での肩身が狭くなる」「上司に指摘される」との声が多く聞かれます。昇進・昇給においても常に実績で管理されているため、数字を追いかける営業職にチャレンジしたい人に向いていると言えるでしょう。
一方で福利厚生は充実しており、有給休暇や産・育休が取得しやすいとの口コミが多く見られます。時短勤務や地域限定社員などの制度も整っているため、育休からの復職率は比較的高く、女性でも管理職を目指すことができます。
業務面においては公益性が高い事業ということもあり、自分の成果が社会に貢献していることにやりがいを感じられるようです。人と人とを繋ぐ大切な手紙や荷物を届ける仕事は、顧客との信頼関係の上に成り立っています。長く勤める人が多く、日常生活に欠かすことができない業務を担っているという実感がモチベーションの維持につながっているのかもしれません。
そんな日本郵便のキャリア採用では、「時代の流れによって変動する顧客のニーズに応えながらも、手紙や荷物に込められた大切な想いも一緒に届ける」そんな社風にフィットする人材かどうかを見極められます。
■選考は何次まで?
キャリア採用の流れは下記の通りです。
WEBテスト→一次選考→二次選考→内定
大半が内定まで2週間程度といったスピード採用のようです。
WEBテストでは非言語分野の対策が重要との口コミが見られ、事前に時間を割いて対策をしておかないと、時間が足りなくなるようです。一次選考は人事担当者、二次選考は部長クラスと人事担当者の2~3名が面接にあたります。
面接は和やかな雰囲気で進むようですが、人によっては圧迫面接に感じたという声もあります。選考官によって面接の雰囲気が大きく変わるので、どんなシーンでも臆せず自分の意見を伝えられるよう、面接慣れしておくことが大切です。
■面接内容の傾向は?
面接経験者の口コミによると、頻度の高い質問が2つあります。ひとつは、バイクを使用した配達・営業について。2つめは営業・販売ノルマについてです。この2つの質問から、同社の仕事に対する理解や熱意を見極められるようです。
内定に至った応募者の多くは、どちらの質問に対しても「荒天時の配達は感謝されることが多く、やりがいに繋がる」「営業なのでノルマはあたり前。数字達成がモチベーションに繋がる」など前向きな回答をしています。業務内容について具体的な場面を想定し、自分なりの考えをまとめておきましょう。
また日本郵便の歴史の中でも大きな出来事のひとつである『郵政民営化』について、その背景や歴史を理解しておくことをおすすめします。上層部には郵政民営化前の公務員気質や日本の古い企業体質が残っています。日本郵便の歴史を知ることで、現在の社風が築かれた背景がよくわかります。職場がどのような雰囲気か、事前に調べておくことも大切です。
公共性・機密性の高いサービスが中心となる業務なので、責任感や誠実さを持ち合わせた人材を好む傾向があります。同社が求める人物像を意識しながら志望動機を伝えられるよう、事前にしっかり整理をしておくことが内定への鍵となります。
日本郵便の面接攻略法(面接対策)
■日本郵政グループの「日本郵政グループ中期経営計画2020」を理解した上で自己分析をする
日本郵便の面接を受ける上では「日本郵政グループ中期経営計画2020」を読み込んで、理解しておくことが不可欠です。中でも、日本郵便が担う3事業「郵便・物流事業」「金融窓口事業」「国際物流事業」の持続的成長に向けた基本方針をしっかり理解しておきましょう。
日本郵便の最大の課題は、インターネットの普及による郵便物の減少です。主軸事業の利益減に伴い、有益性の高い新たな事業拡大が早急に求められています。
郵便・物流事業では、eコマース市場の拡大を見込み、郵便分野から荷物分野へ経営資源をシフトする動きがみられます。荷物分野拡大に対応するサービス基盤の強化においては、現場のオペレーションの見直しやドローン・自動運転の導入など、既に鋭進的実践がはじまっています。
金融窓口事業においては、地域ニーズに応じた個性・多様性ある郵便局の展開に力を入れています。地域性に特化した支局は、顧客のニーズに合った商品・サービス提供、窓口営業時間の多様化を目指しています。
3つめの国際物流事業は、IT変革プログラムなど着実な経営改善策を実施。主要地域の豪州、シンガポール、成長が著しいアジア、米国に経営資源を集中させることにより収益の向上をはかります。
どの事業も顧客や市場のニーズの変化を敏感にキャッチし、それぞれの需要に応じてスタイルを多様に変化させています。日本郵便では150年の長い歴史にとらわれることなく、新しい価値を創出できる人材が求められています。
■「なぜ日本郵便に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
日本郵便の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ日本郵便か」というものがあります。面接官がこの質問を通して見極めているのは、「誠実さや真面目さといった日本郵便が求める人間性を持ち合わせているか」「歴史にとらわれず、時代や顧客のニーズに合ったイノベーションを起こせる人材か」、そして「本当に同社のことを理解しているのか」といったところです。 業界や職種を理解することはもちろん、日本郵便という企業についてしっかり理解しましょう。
そのためには、グループ会社や競合となり得る他社の研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 佐川急便株式会社
- ヤマト運輸株式会社
- 株式会社ゆうちょ銀行
- 株式会社かんぽ生命保険
日本郵便の採用面接で実際に聞かれた質問内容
日本郵便の採用面接を受ける前には、「日本郵政グループ中期経営計画2020」に基づいた自己分析や、他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。
面接では、「時代の流れによって変動する顧客のニーズに応えながらも、手紙や荷物に込められた大切な想いも一緒に届ける」社風を意識し、150年の長い歴史にとらわれることなく、新しい価値を創出できる人材であることをアピールしましょう。
そのために、具体的な考えやさまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。 面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかり考えながら面接対策をしておきましょう。
30代前半男性/物流サービス【結果:内定辞退】
30代前半男性/外商【結果:1次面接で不採用】
20代後半男性/コンサルティング営業【結果:内定】
20代前半男性/物流サービス【結果:最終面接を辞退】
日本郵便の採用面接に向けて
日本郵便の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「時代の流れによって変動する顧客のニーズに応えながらも、手紙や荷物に込められた大切な想いも一緒に届ける」社風を意識して、これに合致した150年の長い歴史にとらわれることなく、新しい価値を創出できる人材であることを自分の言葉でアピールする。
- 「日本郵政グループ中期経営計画2020」を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRに繋げる。
- 競合他社についても研究し、「なぜ日本郵便で働きたいのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかり準備し、自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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