0 編集部が注目した重点ポイント
① 子会社2社の新規連結で事業基盤を大幅に拡大する
2025年9月付で株式会社PWANおよびmusica lab株式会社を株式交換により完全子会社化し、第4四半期より連結決算を開始しました。これにより、従来のメディア運営に加え、システム開発やグッズ製造といった上流から下流までの機能をグループ内に保有することになります。システムエンジニアや制作管理など、新たな領域でのキャリア機会が急速に拡大しています。
② 不採算事業から撤退し収益構造の改革を断行する
2025年4月に「YURINAN」事業を譲渡し、7月には自社店舗「原宿friend」を閉店するなど、赤字事業の整理を一巡させました。経営資源をIPコラボレーションやAIソリューション(AX)へ集中させる方針が明確化されています。現場のオペレーション職から、企画・戦略を中心とした専門職へと組織の主軸がシフトしており、変革期をリードする人材が求められています。
③ 2030年に向けた新中長期経営方針を策定する
「IPとAXで、まちの魅力を世界へ」という新ビジョンのもと、2030年12月期までに売上高CAGR(年平均成長率)+40%、営業利益率10%以上の達成を目指す計画を公表しました。地方自治体や放送局とのネットワークを活用した「地域創生×テクノロジー」のビジネスモデルを推進しており、社会貢献性と事業成長を両立させるダイナミックな環境が整いつつあります。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 通期 決算説明資料 P.4
売上高
1,242百万円
+24.9%
営業利益
△170百万円
64百万円改善
当期純利益
△519百万円
赤字拡大
2025年12月期の連結売上高は1,242百万円(前期比24.9%増)となりました。増収の主因は、前事業年度から開始したメディア共創企画事業の通期フル寄与に加え、第4四半期から新規子会社2社の業績が加わったことによります。利益面では、和カフェ事業等の不採算部門からの撤退により、営業損失は前年の235百万円から170百万円へと64百万円の改善を果たしました。一方で、当期純利益については、新規連結に伴う「のれん(買収価格と純資産の差額)」の減損損失332百万円を計上したため、赤字幅が拡大しています。
通期予想に対する進捗状況については、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しており、かつ構造改革の過渡期にあることから具体的な数値予想は非開示でしたが、営業損失の縮小や売上高の拡大傾向から見て、再成長に向けた基盤構築は概ね順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 通期 決算説明資料 P.15
メディア事業
事業内容:スマホ関連サイト「AppBank.net」の運営や動画配信、地方放送局等とのメディア共創企画事業を展開。
業績推移:売上高983百万円、セグメント利益36百万円。主力メディアの最適化と共創企画の成長により黒字を維持。
注目ポイント:広告枠販売に留まらず、地方自治体や放送局と連携した「メディア共創企画」が拡大しています。最新のアルゴリズム解析やAI活用によるメディア運営の効率化を進めており、デジタルマーケティングの知見を持つ人材が中核を担うフィールドです。
IP&コマース事業
事業内容:人気キャラクター(IP)とのコラボグッズ企画、イベント運営、スポーツ団体向けマーケティング支援。
業績推移:売上高249百万円、セグメント損失24百万円。不採算店舗の閉店により、赤字幅は前年から大幅に縮小。
注目ポイント:サンリオ等の人気IPを活用した地域連携イベントが好調です。新規連結したmusica lab社の製造機能を活かし、「企画から製造まで一貫したバリューチェーン」を構築中。国内外280拠点以上の製造パートナーを管理するグローバルな視点も求められます。
その他(新規)
事業内容:株式会社PWANの加入に伴い新設。システムの保守・運用、サポートサービス等のBtoB支援事業。
業績推移:売上高9百万円、セグメント利益3百万円(第4四半期のみの連結実績)。(注:前年同期は未連結のため単純比較不可)
注目ポイント:コールセンター機能やシステム開発力を背景に、グループ全体のインフラを支える役割を担います。今後はAIソリューション(AX)のパッケージ化を推進する計画であり、エンジニア組織の強化が急務となっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 通期 決算説明資料 P.13
2026年12月期は「攻めの期」と位置づけ、戦略的パートナーとの協業案件を次々と市場投入する計画です。特に注目すべきは、東大発AIスタートアップの2WINS社等と連携したAIソリューション(AX)の開発パイプラインです。代理店、農業、事務、文教の4分野でPoC(概念実証)と外販の本格化を予定しています。
成長戦略の要となるのは、一つひとつの案件は小規模でも、成功パターンを他地域へ横展開する「マルチニッチトップ戦略」です。M&Aについても積極的に模索する方針を継続しており、2025年12月期の短信注記では、新株予約権の発行等により当面の事業資金(現金預金735百万円)を確保済みであることから、資金繰りの懸念はないと明言されています。非連続な成長を目指す過程で、新規事業の立ち上げ経験を持つ人材への期待が高まっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は現在、単なるメディア企業から「地域創生×IP×AI」の統合プラットフォーム企業へと変貌を遂げています。志望動機では、不採算事業の撤退を完了した「再成長フェーズ」への参画意欲を強調するのが有効です。また、子会社化されたPWANやmusica labとの「グループシナジーの創出」に、自身のどのようなスキル(エンジニアリング、PM、営業企画など)が貢献できるかを具体的に提示しましょう。
面接での逆質問例
1. 「2030年に向けた新中長期経営方針において、私の配属予定部署が担う最も重要なマイルストーンは何でしょうか?」
2. 「AXソリューションの開発パイプラインの中で、現在最も顧客からの反響が大きい分野と、その要因を教えてください。」
3. 「新経営体制のもとで、意思決定のスピード感や組織風土にはどのような変化が生じていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
経営陣の考え方に共感できない
ひとりのYoutuberが稼いでいるだけで、このままでは会社は続かない。今後長く続く事業もなく、また経営陣の考え方にも全く共感できないので、正直かなりつらいものがあった。
(40代前半・経営企画・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- AppBank株式会社 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- AppBank株式会社 2025年12月期 通期 決算説明資料 および事業計画及び成長可能性に関する事項



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