ヤフーに転職したい人のための企業研究【安定した年収&自由度の高さ】

ヤフーに転職したい人のための企業研究【安定した年収&自由度の高さ】

口コミと公開データを元に転職者目線で企業研究。業績と待遇の2つの面で志望企業を掘り下げます。今回取り上げるのはインターネットメディア業界のヤフーです。


2019年5月8日、ソフトバンク株式会社がヤフー株式会社(以下「ヤフー」)を連結子会社化することを発表し、話題となりました。

ヤフーは、言うまでもなくポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営していることで非常に有名です。2019年9月時点の公式サイトによれば、Yahoo! JAPANの利用率は国内トップ。「Yahoo!乗換案内」「Yahoo!天気・災害」なども含めたアプリの累計ダウンロード数も1位です。ヤフーが提供するサービスが生活に欠かせない、という人も多いでしょう。

今回は、変化の激しいインターネット業界のなかで挑戦をし続けてきたヤフーについて、転職者が気になる情報を提供していきます。

ヤフーの事業概要~どんな事業をしているのか

災害などの「社会課題」を解決すべく100以上のサービスを提供

ヤフーが提供しているサービスの数は、なんと100以上。国内で利用されている大手検索エンジンとしてよく比較されるGoogleが「世界中の情報を整理すること」をミッションとしているのに対して、ヤフーは災害なども含めた社会課題の解決に主眼を置き、「課題解決エンジン」として人々の生活を支えているのが特徴といえるでしょう。

ヤフーの事業は「メディア事業」と「コマース事業」の2つに分けられています。

まず、「メディア事業」についてみていきましょう。ヤフーは、ユーザーの日常がより便利になるような情報を提供し、運営メディアに掲載する広告関連サービスによって収益をあげています。広告にも多くの種類がありますが、例えばYahoo! JAPANのトップページに出てくるバナー広告(ブランドパネル)などは、表示回数が保証された「インプレッション保証型」。ユーザーが入力した検索キーワードに連動して検索結果画面に表示される検索連動型広告(スポンサードサーチ)は、クリックされた際に費用が発生する「クリック課金型」です。予算に合わせて出稿でき、利用者数の多さやビッグデータを活かしたターゲティング設定や分析も可能。幅広い顧客のニーズに対応しています。

一方、「コマース事業」には、eコマース(電子商取引)関連サービスや会員向けサービス、決済金融関連サービスが含まれています。「Yahoo!ショッピング」での広告収益や「ヤフオク!」の手数料収入、「Yahoo!プレミアム」の月額有料会員サービスなどがコマース事業にあたります。

ヤフーの業績・財務状況~業績はどうか

全体の業績と財務状況

次に、ヤフーの連結業績をみていきましょう。2019年3月期の通期決算では、2018年度売上収益は前年比+6.4%の9547億円。営業利益(本業の儲け)は前年比-24.4%の1405億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は-40%の786億となっており、増収減益で着地しています。

ヤフー株式会社 2018年度 通期 連結業績サマリー(『ヤフー株式会社 2018年度通期および第4四半期決算説明会』より)

コマース事業で「PayPay」の利用者数・加盟店数等の拡大に向けて積極的に動いたことや、メディア事業で近年の成長分野である動画コンテンツの調達強化を行ったことなどが減益の要因となっています。特に、「PayPay」はシェア獲得のために重要な投資を行う時期。ビジネス基盤が安定してくればさらなる収益化が見込めます。減益は一時的なものと考えられるでしょう。

セグメント別の業績と現在の取り組み

つづいて、セグメント別の業績をより詳しくみていきましょう。

まず、メディア事業の広告関連における2018年度売上収益は3238億円で、前年度比+6.7%となっています。特に検索連動型広告は、UI(ユーザーインターフェース)改善などが功を奏し、前年度比+11%と5年ぶりに二桁成長を遂げ、同事業の基盤を支えています。

メディア事業にとって重要な指標となる「月間ログインユーザーID数」も前年度比+10.2%と4年連続で二桁成長。「PCに強い」というイメージがあったヤフーはスマートフォンへのシフトに力を入れてますが、これも順調に進んでいます。また、ヤフーのオリジナル動画などにより若年層を取り込み、動画の視聴時間を伸ばしているほか、スマートフォン動画広告の売上収益を前年度比の2倍にしています。

ヤフー株式会社 2018年度 広告関連売上収益の実績(『ヤフー株式会社 2018年度通期および第4四半期決算説明会』より)

コマース事業は、主要指標であるeコマースの2018年度取扱高は2兆3442億円で、前年度比+11.3%です。ショッピング事業ではソフトバンクの会員連携で利用者数が増加。また、「Yahoo!トラベル」や「一休.com」といったO2O(Online to Offline)サイトが会員別ポイントインセンティブ施策によって伸びています。

ヤフー株式会社 2018年度 コマース事業 主要指標の実績(『ヤフー株式会社 2018年度通期および第4四半期決算説明会』より)

ヤフーの財務状況をもっとお知りになりたい方はこちらをお読みください。

ヤフーの事業戦略~今後の展開は

2018年度が増収減益となったヤフーは、2019年度に「増収増益」への転換を目指すことを表明しました。また、2019年10月より持ち株会社体制に移行し、社名を「Zホールディングス株式会社」に変更することを発表。新生ヤフーは、同社傘下の事業会社として既存の各種サービスを運営することになります。

ヤフー株式会社 「2019年度 新組織構想」(「ヤフー株式会社 2018年度通期および第4四半期決算説明会」より)

業績としては、2019年度は売上収益1兆円超、営業利益1406億円~1500億円を目指しています。そのために、メディア事業では6年ぶりとなる二桁%成長を、コマース事業内のショッピング事業では5年連続の+20%成長を目指すことを目標に据えています。ユーザーの生活を便利にする、というベースの方針を保ちながら、サービスの一体化によるユーザーアクション数の最大化、ビッグデータを活用したサービスの成長などを図っていきます。長期的には、利用者数やeコマース取扱高の拡大とともに、継続して新規事業立ち上げ等に投資し、利益を拡大していく構えです。

なお、ヤフーは2018年度にソフトバンクとの合弁で電子決済サービスを行うIT企業「PayPay」を設立しましたが、前述の通りPayPayはビジネス基盤を拡大している時期。今後もヤフーのサービスとの連携やキャンペーンの実施などにより、基盤を拡大していくでしょう。

ヤフーの年収~報酬はどれぐらいか

2018年3月期の有価証券報告書によると平均年収は766.9万円。平成29年度の民間給与実態統計調査(国税庁)によると、男女を合わせたサラリーマンの平均年収は約432万円、業種別モデル平均年収「インターネット関連」(マイナビ)では531万円となっており、それと比較しても高いことが分かります。平均年齢は35.9歳と比較的若く、それを考慮すると申しぶんない額だといえます。

キャリコネに寄せられた給与明細から算出したヤフーの年代別年収レンジは、20歳代で470〜570万円、30歳代で670〜770万円、40歳代で900〜1000万円となっています。

賞与・昇給はともに年に2回。通勤手当は、月15万円まで支給されます。評価に関しては、

所属組織で設定したゴールに対する達成度や、個人の貢献度を評価

するとのこと。

口コミによると、一般社員のなかでもベース給与が低めで残業代が支給されるポジションと、ベースの給与は高めでみなし残業(固定残業代制)となっているポジションに分かれるようです。一般社員からマネージャー社員や専門職であるプロフェッショナル社員に昇進する際は、大きく給与が上がるという声もみられました。

中途で入る場合は入社時の交渉が重要になる

との口コミもみられたため、選考を受ける際には留意しておきましょう。

技術職の年収実態(30代/男性/プロジェクトマネージャー)

年収口コミ

Web業界全体で考えるとそこまで低いレンジではないが、リーダーで500〜600万、マネージャーで…(続きを見る

具体的な年収額をお知りになりたい場合は、キャリコネの給与明細投稿をご覧ください。

ヤフー社員の給与明細(キャリコネ)

同じ技術職でも年代で100万円以上の差

20代技術職(非管理職)の 給与明細

30代技術職(非管理職)の 給与明細

同じ30代でも広告宣伝の年収は高め

30代クリエイティブ(非管理職)の 給与明細

30代広告宣伝(非管理職)の 給与明細

ヤフーの年収について詳しく解説した記事も合わせてお読みください

ヤフーの働く環境~働きやすさはどうか

ヤフーの口コミには働く環境について様々な意見が届いています。その中でも特徴的な点を3つ挙げます。

健康や多様性に配慮された社員食堂

まずは、食事についてみていきましょう。

2016年に紀尾井町に移転したヤフーの本社は、社員食堂が充実しています。麺類や定食、グラム数に応じて値段が決まるビュッフェが楽しめる「BASE」や、パンなどの軽食を楽しめるカフェ「CAMP」があります。本社の11階と17階が社員食堂のあるフロアとなっており、11階は原則として社員専用、17階は身分証を提示すれば社員以外の一般客の利用もOKです。

味に定評があり、例えばうどんは製麺機で打ち、茹でたてを提供するというこだわりぶり。ベジタリアンに対応した食事も提供しているほか、飽きさせないように工夫されたメニューを安価で用意していることもあって、従業員の満足度は高いようです。口コミでは、「Tポイントの還元もある」との声もみられました。

自由な発想が生まれやすいオフィス環境

ヤフーでは、

世の中を驚かせるサービスづくりには、自由な発想を生み出すための働き方がとても重要です。

という考えからフレックスタイム制を採用しているほか、業務で使うデバイスも自分で選択できます。そして、仕事をする場所を指定されないフリーアドレス環境のため、荷物はロッカーに置いて自身の好きな場所で業務ができます。

ディスプレイ置き場をつくったり、社内の混雑状況や位置状況がわかるWebツールを活用したりすることで、クリエイターが多い大企業でありながらフリーアドレス制の導入を成功させています。口コミでも「気分転換になる」との声がみられました。

半期で6万円 技術活動費用の補助が嬉しい

ヤフーでは人材育成制度にも力を入れており、エンジニアやデザイナーを対象とした「技術活動費用補助制度」(通称「TechUP」)も設けられています。

社員のスキルアップをはじめ、知見や創造力を豊かにすることを目的とした制度で、一人あたり半期6万円を上限としています。

技術力向上につながるものであれば、書籍購入でもセミナー受講でも、PCのパーツでも、Raspberry-PiのようなIoTキットでも何でもOK。

とのことで、かなり自由度が高くなっています。事前申請は不要で、購入後に上長の承認を得るという流れです。

そのほかにも、特にエンジニア関連の制度は充実しており、突出した知識・スキルを有する優秀な人材に任命される「黒帯制度」も。黒帯に任命されると、任命一時金や個人活動予算が付与されます。モチベーションを保ちやすい環境です。

営業の休日出勤の実態(30代/女性/法人営業)

休日出勤口コミ

休日出勤はどの部署もほとんどなく、自分の仕事の都合が付けば有給も取りやすい。ただ…(続きを見る

ヤフーの職種~どんな職種があるのか

ヤフーでは、
・ソフトウェア開発、インフラ構築などの「エンジニア」
・Yahoo! JAPANにおける各デザイン領域担当の「デザイナー」
・マーケティング、法務などの「ビジネス」
の大きく3つに分けて人材募集を行っています。

ヤフーは2016年に「新卒一括採用」を廃止しています。その代わり、応募時に30歳以下かつ入社時18歳以上であれば「ポテンシャル採用」に応募可能。就業経験の有無に応じて募集要項が異なりますが、それぞれ通期で応募できます。

「キャリア採用」に関しては、例えばエンジニアではKubernetesエンジニア、MySQLエンジニア、データサイエンティストなど幅広く募集しているほか、オープンポジションでの募集もあります。

ヤフーの採用試験~面接に合格する方法は

キャリア採用の場合、基本的には書類選考後に複数回の面接と適性検査を経て採否が決まります。応募する部署や職種によっては、面接時にその仕事に関連した質問を受けるケースがあるようです。

キャリコネの口コミをみると、例えばYahoo!ニュース編集部の面接では、

あなたが編集者ならどのような判断基準でニュースを選びますか

エンジニアの面接では、

ヤフーの膨大なデータを使って何がしたいですか?

という質問があったようです。

業務内容をしっかりと把握し、このような職種に特化した質問にも対応できるようにしておくとよいでしょう。

33歳男性/プロジェクトマネージャー【結果:入社】

質問

あなたを都道府県に例えるとどこ?地域活性化させる方法は?

回答

大阪府出身なので、大阪府。活性化させる方法は、お笑い…(回答の続きとアドバイスを見る

ヤフーの面接時の雰囲気や質問内容をまとめた記事もお読みください。

最後に~ヤフーを転職先としておすすめする理由

ここまでヤフーの事業内容や業績、働きやすさなどをみてきました。最後に、ヤフーを転職先としておすすめする3つの理由を紹介しましょう。

・社員を大事にする姿勢
・充実した育成・研修制度
・ソフトバンクの連結子会社化で期待できる成長

CEOは、

ヤフーグループで働く全ての人が心身ともに最高のコンディションで仕事に向き合える企業となる

と宣言しており、従業員やその家族の健康が第一と考えています。勤め先として安心です。

また、エンジニアに対する技術研修やセミナー、技術活動費の補助といった育成制度が充実しており、やる気がある人はスキルアップが望めます。ソフトバンクの連結子会社になることで、さらなる成長も見込めるでしょう。変化の激しいインターネット業界で新しい価値を提供していきたいと考えている人は、ぜひ転職先として検討したい企業です。

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