LINEに転職したい人のための企業研究【有給消化率70%超】

LINEに転職したい人のための企業研究【有給消化率70%超】

LINEに転職したい人のための企業研究【有給消化率70%超】

口コミと公開データを元に転職者目線で企業研究。業績と待遇の2つの面で志望企業を掘り下げます。今回取り上げるのはIT企業のLINE(株)です。


2018年12月時点で国内アクティブユーザーは7900万人、いまや日常に欠かせないコミュニケーションツールとなった「LINE」アプリをプラットフォームに生活を支えるネットワークサービスを提供する企業へと成長を続けているLINE株式会社(以下LINE(株))。「年収はどれくらいもらえるのか」「働く環境を知りたい」「面接対策はなにをすればいいか」といった志望者が気になっている話題に注目していきます。その前に、LINE(株)が何を売り物にして、それでどれくらい儲けているのか見ていきます。

LINE(株)の事業概要~どんな事業をしているのか

LINEの事業は大きく分けてコア事業と戦略事業の2つ

LINEは自社の事業を大きく「コア事業」と「戦略事業」の2つに分類し、そのなかで様々なサービスを展開しています。

「コア事業」は現在利益を生み出している事業で、広告事業やコミュニケーション・コンテンツ事業がこれに該当します。

広告事業のクライアントは主に企業であり、「LINE@」や「公式アカウント」を利用した「アカウント広告」と、「NEWS」や「タイムライン」などアプリ画面上に表示する「ディスプレイ広告」で収益を上げています。

コミュニケーション・コンテンツ事業は、主に個人を相手にする「BtoC」モデルです。LINEアプリの老舗コンテンツである「スタンプ」、「ツムツム」でおなじみの「ゲーム」あたりが代表的なサービスです。クリエイターが作成したスタンプの売上に応じて数%徴収する「手数料ビジネス」で、ゲームの場合は「アイテム課金」で儲けています。同社のサブスクリプション課金モデルの「LINEマンガ」「LINE MUSIC」も含まれます。

一方「戦略事業」はLINE(株)が次世代の稼ぎ頭として育てている成長フェーズの事業です。具体的にはFintechの「LINE Pay」、「LINE保険」の金融・保険サービス、「LINEショッピング」「LINEチケット」のEコマースといったサービスが名を連ねています。

この2つの事業で展開されているサービスを束ねているのがプラットフォームたる「LINE」アプリです。LINEアプリのアクティブユーザーは国内だけでも7900万人います。どのサービスについてもこれだけの見込み客がいると言えます。

LINE(株)の業績・財務状況~業績はどうか

つづいては、LINE(株)が事業を通じてどれくらい利益をあげているのか見ていきます。

2018年通期は37億円の赤字で着地

2018年12月期通期の決算発表で、LINE(株)は営業収益は過去最高の2071億円を出したものの、営業利益は前期比35.8%減の161億円で損益-37億円の最終赤字で着地することがわかりました。
少なくともこの5年間は毎年増収増益を続けて来ましたから、今回が上場以来初の赤字決算となった格好です。

LINE(株)の連結営業成績表(『2018年12月期決算短信[IFRS](連結)』より)

コア事業は頭打ち?

では一体何が原因で赤字になったのでしょうか。利益の大幅減でしょうか?

事業別に売上を見ていきます。まずはコア事業からコミュニケーション・コンテンツ事業にスポットを当てます。

コミュニケーション・コンテンツ事業の売上収益のグラフを見ると、ここ4年間毎年減益となっています。
2018年度は702億円の収益ですが、前年比4.1%減で緩やかに減少を続けています。

コミュニケーション・コンテンツ事業売上(『LINE2018年12月期通期決算説明会資料』より一部抜粋)

「コア事業は頭打ちか?」と思ってしまいそうですが、そこは心配することはありません。

コア事業のもう一つの柱、広告事業を見てみましょう。
この広告事業がすこぶる順調です。
毎年20%以上の成長を続け2018年度は1082億円で前年比29.9%増。

公式アカウント数、LINE@アカウント数が共に増加。それぞれ前年比で20.0%、36.5%の伸びを示しています。

ディスプレイ広告も頑張っています。LINEが用意した広告プラットフォーム(LAP)でのインプレッション数(広告表示回数)は856億7000万回。前期比44.5%増という結果。

広告事業売上(『LINE2018年12月期通期決算説明会資料』より一部抜粋)

「LINEマンガ」「LINE MUSIC」などサブスクリプションモデルもコア事業の中の一つ。
図は「決済高」の推移。2つの事業合わせて76億円分"利用"されたことになります。別表から売上収益は33億9700万円と判明。ビジネスモデルの特性上、売上のうち43億円が権利者の方へ分配されているようです。


コア事業・マンガ/音楽のサブスクリプション領域の決済高(『LINE2018年12月期通期決算説明会資料』より一部抜粋)

LINE(株)の赤字は”単なる減益”ではなく”攻めの投資”だった

LINE(株)の通期業績(『LINE2018年12月期通期決算説明会資料』より一部抜粋)

では何が赤字の原因なのでしょうか。
これについてLINE(株)は決算説明の席で「投資」と明言しました。
スマートフォン決済サービスなど金融事業へ300億円規模の投資を行ったのでした。

LINE(株)が戦略事業に位置づけているFintech、コマース、AIはIT業界を中心に主導権争いを繰り広げているもっともホットな領域。もっと軌道に乗せるために投資したのです。

2019年度もLINEは引き続き投資を行い、事業基盤の構築を目指すことを表明しています。その額は600億円。前年の2倍です。LINEの本気度がうかがえます。

投資の原資となる資金調達も順調です。
2018年度は社債による資金調達を行いました。株式と違い、社債は元本に利息をつけて投資家に返すものです。それゆえ、返せる自信がなければ発行されませんし、投資家だって返されないようなリスクがあると認識していれば買うことさえありません。
つまり、LINEは自他ともに認める勝ち目のある事業に注力しているのです。

無謀な投資ではなく、勝算のある事業への投資。守りより攻め。LINE(株)はそれを貫いています。当然その姿勢は人材採用にも影響されます。入社したら高いパフォーマンスを示してくれる人材を求めているのです。

Fintech、コマース、AIはLINE(株)にとって次世代の主力サービスになる

LINEの財務状況をもっとお知りになりたい方はこちらをお読みください。

LINE(株)の事業戦略~今後の展開は

LINE(株)が描く今後の事業戦略
(『LINE2018年12月期通期決算説明会資料』より一部抜粋)

LINE(株)は今後の事業戦略としてコア事業の収益向上と合わせて引き続き戦略事業へ投資を大胆に行なっていくと表明しました。

特に2019年は広告とFintechに注力していくとのこと。Fintechの中でも、すでに事業の立ち上がりを見せているLINE Payに注力する予定です。将来的には、LINE Payと銀行、保険などのサービスと連携させ金融サービスの一層の利便性の向上を図る予定です。LINE(株)は7900万人が利用するコミュニケーションアプリ「LINE」のプラットフォーム化に成功し、莫大なデータを手に入れています。その活用先として前述の2カテゴリーを考えています。

AI分野では音声認識と合わせてプラットフォームの位置機能として活用されます。
この分野にはGoogle、Apple、Amazonなどグローバルな競合相手が待ち構えていますが、Amazonの倍ほどいるアクティブユーザー数を抱えているだけあって、それなりにドメスティックでの存在感は示せるはずです。

LINE(株)の年収~報酬はどれぐらいか

2017年12月期の有価証券報告書によると平均年収は715万7360円。 平成29年度の民間給与実態統計調査(国税庁)によると、男女を合わせたサラリーマンの平均年収は約432万円、業種別平均年収「インターネット関連」(マイナビ)では531万円となっており、それと比較しても高いことが分かります。平均年齢も34.3歳と比較的若く、それを加味すると申し分ない額といえます。

LINE(株)給料は年棒制を採用しており、その中には想定残業時間分の残業手当が入っています。

まず職種別の給与を初任給で見てみましょう。

■初任給
サービス企画職/企画営業職:年俸408万円
デザイン職:年俸480万円
技術職:年俸528万円~

技術職のみ、年俸は一律ではなく選考内のWEB技術テストや面接の評価により金額が決定されます。

ただどの職種にも、

年俸以外に、インセンティブ(年2回)、LINE Pay Card Benefit Plan(月額11,000円〜)、 LINE STORE購入支援金(年額24,000円)、LINE MOBILE Communication Support Plan(月額500円~3,520円)などの支給があります。

とのことから、計算すると最低でも420万円程度を受け取ることが分かります。

エンジニアの年収については、2018年7月21日LにLINE本社で行われた「エンジニア採用の日」イベントの壇上で、LINE株式会社 上級執行役員 サービス開発担当 池邉 智洋氏は以下のように述べています。

池邉氏はLINEエンジニアの待遇にも触れた。エンジニアは少なくとも年収は500万円台からスタート。「20代~30代の若手社員で600~700万円が一般的な金額だが、なかには1000~2000万円という人もいる。エンジニアをプロフェッショナルと認めての給与体系だ」とした。

口コミ投稿者の年齢から年代別年収レンジを算出しました。

LINEの20代は499~599万円、30代は715万815万円、40代は平均950~1050万円ぐらいという結果になりました。

入社してから給料はどれくらい上がるのかを口コミから調べてみたところ、
制度として年2回(1月、7月)の給与改定が設定されていますが、「給料はほとんど上がることがない」という意見が多数でした。ただし「昇格すれば上がる」という情報もあります。

ただ、重要なのは入社時に年収を交渉することです。

「LINEは中途入社の場合、入社後だと給料が上がりにくいと聞きます。志望者には面接時など採用過程で必ず年収交渉するようにといつも伝えています」
(LINEをクライアントに持つキャリアコンサルタント)

LINEの年収について詳しく解説した記事も合わせてお読みください

具体的な年収額をお知りになりたい場合は、キャリコネの給与明細投稿をご覧ください。

LINE社員の給与明細(キャリコネ)

同年代でも技術職とデザイン職とではこれほど賃金格差がある

20代技術職の 給与明細

20代デザイン職の 給与明細

年代が上がれば格差も広がる!?

30代技術職の 給与明細

30代デザイン職の 給与明細

LINE(株)の働く環境~働きやすさはどうか

LINEの口コミには働く環境について様々な意見が届いています。それらを参考に社員が肌で感じている特徴的な点を3つ挙げます。

残業は普通に多い

既存サービスのブラッシュアップや新たなサービスの立ち上げなどから、日々の仕事量が膨大であるのはIT系の宿命です。ことLINEにおいても同様で、創業20年経うとする現在でもベンチャーとして成長フェーズに有り続けるようなイメージさえあります。 口コミサイト「キャリコネ」に寄せられた情報では、残業時間は33.8時間、最大100時間、休日出勤は0.1日。やはりある程度の残業は覚悟しておいた方が良さそうです。ただ、有給消化率は平均74%、日本の平均有給消化率は49.4%ですから、有給休暇は取りやすい環境にあります。 定時は10:00~18:30ですが、裁量労働制が適用されます。

同僚には外国人が多い

社内には外国人が多いことも特徴です。人種はアジア系、欧米系、中南米系と様々。エンジニアは外国人が半数を締めている拠点もあるのだとか。日本人ばかりの環境で仕事をしてきた人は、最初は戸惑ってしまうかもしれませんが、入ってみるとそのフラットは雰囲気の方が心地よく感じるかもしれません。

福利厚生で本当に使える制度は"月額1万円"

保育所、ゲームラウンジ、ブックギャラリーの設置を福利厚生の一環でやってきたLINEですが、社員の中で評判が良いのはカフェ。無料または格安で提供されるフードとドリンクがあるのと並び座席の広さとミライナタワー23階からの眺めが良いのが評価ポイント。
そして最も評価が高いのは福利厚生費として月に1万円以上が支給されることのようだ。LINE Payを通じて支払われるという制約以外は特に条件はなしとのこと

LINE(株)の採用試験~面接に合格する方法は

「キャリコネ」に寄せられた採用面接の内容をみると

・モチベーションは高いか
・やるべき役割を理解し、叶えれる人材かどうか

がかなり見られています。 業績のところで触れたとおり、LINE(株)新たな事業のコア事業化を急いでおり、それを具現化する人材の確保が急務です。求職者のスキルがどれだけ高くても、コミュニケーション能力があっても既存事業/戦略事業との相性が良くないと判断されれば容赦なく不採用にされています。

面接内容ではありませんが、内定・採用となった方の口コミをみて特徴的だったのが"前職と同額の年収提示で入社している"ということでした。高くなっているとしても500万円提示。
ここがひとつのラインである可能性があります。

30歳女性/人事【結果:最終面接で不採用】

質問

二次面接を担当した社員のマイナス面を教えてください。

回答

私自身、二次面接に出てこられた社員の方とは面接でお会いした…(回答の続きとアドバイスを見る

他の面接口コミをご覧になりたい方はこちら

最後に~転職先としておすすめな理由

ここまでLINEを見てきましたが、転職希望者におすすめしたいのは以下の3点です。

・戦略事業に注力しており、新たな分野に挑戦したい人にとってはやりがいがもてる
・給料は業界平均と比べても高い
・休日はしっかり休める

会社の命運を分けるかもしれない世界規模で覇権争いをしている最先端の事業に携わり、軌道に乗せる…こんな魅力的な仕事はそうそうありません。そのうえで、待遇面がいいということならば他には無い、転職する価値がLINEにはあるということです。

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