0 編集部が注目した重点ポイント
① 投資信託関連に強いジェイ・トラストを新規連結し収益基盤を強化する
当期より投資信託や外国債券などの金融商品を扱う株式会社ジェイ・トラストがグループに加入しました。これにより、従来の事業領域に加えて専門性の高い金融ディスクロージャー(情報開示)領域を強化。前年同期は未連結のため単純比較はできませんが、新たな成長ドライバーとしてキャリア機会の拡大が期待されます。
② 英文開示の義務化を背景に翻訳・通訳事業の利益を44.1%伸ばす
東京証券取引所プライム市場での英文開示義務化を受け、翻訳需要が急増しています。通訳・翻訳事業セグメントでは、AI翻訳プラットフォームの導入やハイブリッド型会議の増加により、セグメント利益が前年比44.1%増と大幅に成長。グローバル対応を担う専門人材の重要性がかつてないほど高まっています。
③ 生成AIを活用した新ソリューションを投入し業務効率化を加速させる
主力システム「WizLabo」に、生成AI技術を応用した「記載チェック・数値チェック」機能を新たに搭載。開示書類作成の自動化・高度化を推進しています。AI翻訳ソリューションの提供開始など、IT技術と専門知識を融合させた「テック企業」への進化を鮮明にしており、DX推進領域での活躍の場が広がっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年5月期 第3四半期 決算短信補足資料 P.5
売上高
22,330百万円
+6.1%
営業利益
2,532百万円
+2.5%
経常利益
2,680百万円
+2.0%
主力のディスクロージャー関連事業において、ジェイ・トラストの新規連結や株主総会関連コンサルティングが伸び、売上を牽引しました。利益面では、人件費の増加などのコストアップ要因があったものの、増収効果と業務効率化により増益を確保。通訳・翻訳事業の好調も大きく寄与し、強固な収益構造を示しています。
第3四半期時点での通期予想に対する進捗率は、売上高で67.6%、営業利益で57.5%となっており、一見すると70%を下回っています。しかし、同社のビジネスモデルは取引企業の決算が集中する3月(第1および第4四半期)に売上が偏る季節性があるため、資料の解説通り概ね順調に進捗していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年5月期 第3四半期 決算短信補足資料 P.6
ディスクロージャー関連事業
[事業内容]
上場企業の法定開示書類(有価証券報告書等)や、任意開示書類(統合報告書等)の作成支援システム・コンサルティングを提供。
[業績推移]
売上高15,678百万円(+5.8%)、利益1,872百万円(+3.1%)。ジェイ・トラストの連結に加え、株主総会支援が好調。(注:ジェイ・トラストは今期より新規連結)
[注目ポイント]
主力システム「WizLabo」の上位機種導入が1,803社に達し、ストック型の収益基盤が拡大しています。サステナビリティ情報の開示義務化を受け、非財務情報を扱う専門人材やコンサルタントの需要が非常に高まっているのが特徴です。
通訳・翻訳事業
[事業内容]
サイマル・グループおよび十印による、国際会議の通訳、IR資料・マニュアルの翻訳、通訳者・翻訳者の育成。
[業績推移]
売上高6,652百万円(+7.0%)、利益515百万円(+44.1%)。大型国際イベントの増加に加え、AI通訳・翻訳サービスが成長。
[注目ポイント]
人手による高品質な通訳と、AIを活用したスピード重視の翻訳を組み合わせるハイブリッド戦略で高利益率を達成しています。特にエンターテインメント分野や多言語ローカライズ(地域化)への進出を強化しており、プロジェクトマネジメントスキルのある人材にとって魅力的な環境です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年5月期 第3四半期 決算短信補足資料 P.19
同社は中期経営計画の目標値を引き上げ、2026年5月期には売上高330億円、営業利益44億円を目指しています。成長の柱となるのは、「AIを活用した開示プロセスの変革」と「ASEAN地域を含むグローバル展開の拡大」です。
キャピタル・アロケーション計画では、成長投資に100億円を配分し、WizLaboの機能強化やM&Aを積極的に進める方針を明示しています。これにより、単なる印刷会社から「Tech Driven Disclosure(技術で進化する情報開示)」を担う企業への転換を加速させており、エンジニアや新規事業開発ポジションでの採用熱度が高まっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「法改正やプライム市場の要請など、変化の激しいディスクロージャー市場において、AI技術と専門知識を融合させ、企業の透明性を支えるインフラ作りに貢献したい」という軸が非常に有効です。また、ジェイ・トラストとのシナジーなど、金融領域への専門性拡大に注目したアプローチも好意的に受け止められるでしょう。
面接での逆質問例
- 「プライム市場における和英同時開示の義務化は、翻訳事業にどのような構造的変化をもたらすと予測されていますか?」
- 「生成AIを活用したWizLabo AIシリーズの開発において、現場のコンサルタントと開発チームはどのように連携していますか?」
- 「ジェイ・トラストのグループ入りにより、投信・外債領域での新規開拓において、他社と比較した際の最大の強みは何でしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年5月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年5月期 第3四半期 決算短信補足資料



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