【年収研究シリーズ】伊藤忠テクノソリューションズの年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
東洋経済オンラインの業界別就職人気ランキングの通信・IT・ソフトウェア部門において、大きなランクアップをみせ、最新データでは3位にランクインした企業があります。その企業とは「伊藤忠テクノソリューションズ」です。ランキングの1位は長年首位を独走するNTTデータ、そして2位には俳優の藤原竜也さんを起用したCMで話題のSky、この2強と肩を並べてトップ3にランクインしたことは、まさに快挙といえます。
なぜ伊藤忠テクノソリューションズは学生から選ばれるのでしょうか。その背景には、柔軟な社内ルールの整備実績があります。たとえば最近では、服装面においてジーンズとスニーカーでの出勤がOKとなりました。これまでも、朝方勤務の導入などによる「働く時間」の自由度を高める取り組みや、在宅勤務制度の拡充などによる「働く場所」を選べる取り組みなどで、一定の成果を上げてきました。伊藤忠テクノソリューションズ(略称CTC)のスローガンである“Challenging Tomorrow's Changes”のもと、刻々と変化する将来へ挑戦していく姿勢が学生に高く評価された結果といえるでしょう。
また伊藤忠テクノソリューションズは年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。
伊藤忠テクノソリューションズの平均年収は941万円
それでは、はじめに伊藤忠テクノソリューションズの平均年収について見ていきます。伊藤忠テクノソリューションズの平均年収は、伊藤忠テクノソリューションズの有価証券報告書によると、941万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出した伊藤忠テクノソリューションズ年代別年収レンジは、20歳代で480〜530万円、30歳代で730〜780万円、40歳代で950〜1000万円となっています。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.9倍の額です。
■伊藤忠テクノソリューションズの平均年収推移
伊藤忠テクノソリューションズ・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
伊藤忠テクノソリューションズの平均年収は前年を上回り941万円でした。
過去5年間では最高額になりました。
伊藤忠テクノソリューションズの年代別平均年収と中央値
■伊藤忠テクノソリューションズの年収中央値は30代で751.7万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
伊藤忠テクノソリューションズと競合他社の平均年収を比較
伊藤忠テクノソリューションズの競合や同業界であるエヌ・ティ・ティ・データ、野村総合研究所、SCSK、大塚商会の5社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、伊藤忠テクノソリューションズが941万円、エヌ・ティ・ティ・データが852.1万円、野村総合研究所が1232万円、SCSKが752.2万円、大塚商会が822.8万円です。
この5社の中で最高額は野村総合研究所の1232万円で、最低額がSCSKの752.2万円。その差はおよそ480万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では伊藤忠テクノソリューションズは2番目に位置します。
伊藤忠テクノソリューションズの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
伊藤忠テクノソリューションズ社内で年収が高い職種・役職は?
■課長で1000万円越え
伊藤忠テクノソリューションズでは、ステージごとに基本給与テーブルが設定されています。役職のつかないS1~S3、その後S4で主任に昇格、さらにM5~M7で管理職の課長と部長、本部長の大きく分けて3つのステージに分かれています。ちなみに役職別給与の目安としては、主任で760万円~880万円前後、課長で1000万円台に到達するようです。
このようにステージを用いた制度になってからは、個人業績が今まで以上に給与に反映されやすくなり、目に見える明確な基準ができました。ゆえに上のステージを目指し、高いモチベーションを持って仕事に取り組むことが年収アップにもつながるといえるでしょう。
伊藤忠テクノソリューションズ社員の給与明細(キャリコネ)
20代と30代で年収に違いが!
20代・法人営業(非管理職)の
給与明細
30代・法人営業(非管理職)の
給与明細
同年代・同職種でも年収に大きな差が!
30代・プロジェクトマネージャー(非管理職)の
給与明細
30代・プロジェクトマネージャー(非管理職)の
給与明細
年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。
伊藤忠テクノソリューションズで働く上での課題・懸念点
■人手不足で業績に影響が
懸念点はやはりIT業界全体にいえる人手不足の問題でしょう。2018年9月の転職求人倍率は全体では2.35倍なのに対し、IT業界のみに着目すると、なんと6.14倍という高倍率を記録しています。このような状況では、現場で働く人たちの残業時間が増えるのも仕方がないことだとわかるでしょう。企業が整備したルールが実態に追いついていないという現状があります。
伊藤忠テクノソリューションズでは20時以降の残業は禁止ということになっていますが、実際にはなかなか守られていないようです。基本的には個人での業務調整が必要なため、残業時間が80時間を超えた場合でも、課長にシステム上のアラートが上がるだけで、結局は口頭での注意喚起で終わってしまうというのが実態です。IT業界の需要は今後もますます高まることが予想されるため、残業時間については一定以上の覚悟をもって入社する必要があるでしょう。
伊藤忠テクノソリューションズには年収以外にメリットはある?
ここまで伊藤忠テクノソリューションズの年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
人手不足による長時間労働の実態に対し、伊藤忠テクノソリューションズが何も施策を講じてこなかったわけではありません。前項で紹介した施策以外にも、脱ブラックを掲げた労働環境改善への取り組みとして「働き方見える化カード」の設置や、部下の残業時間の改善状況を管理職の評価項目に追加するなど、さまざまな努力を重ねています。
その結果、2008年には月残業時間が35.3時間あったものが、7年後の2015年には18時間まで減少するという成果をあげました。また直近1年間を見ても、前年比で月10時間の残業時間の削減につながっています。この数字を見ても、伊藤忠テクノソリューションズがいかに人材を大切に育成していこうとしているか、その本気度が伝わってきます。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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