SCSKの平均年収は752.2万円
SCSKの平均年収は752.2万円です(SCSK有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考にSCSKの年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で380〜430万円、30歳代で580〜630万円、40歳代で750〜800万円という結果になりました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.52倍の額です。
■SCSKの平均年収推移
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 752.2万円 | 43.7歳 | 18.4年 | 8462人 |
2021年3月期 | 752.6万円 | 43.5歳 | 18.3年 | 8357人 |
2020年3月期 | 735.9万円 | 43.7歳 | 18.6年 | 7384人 |
2019年3月期 | 726万円 | 43.3歳 | 18.4年 | 7280人 |
2018年3月期 | 726万円 | 43歳 | 18.1年 | 7273人 |
出典:SCSK・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
SCSKの平均年収は前年を下回り752.2万円でした。
過去5年間では2番目に高い額になりました。
SCSKの年代別平均年収と中央値
■SCSKの年収中央値は30代で601.2万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 399万円 | 26.4万円 | 70.2万円 | 359.1万円 |
30代 | 601.2万円 | 39.1万円 | 105.9万円 | 541.08万円 |
40代 | 772.3万円 | 49.8万円 | 136.1万円 | 695.07万円 |
50代 | 840.5万円 | 54.1万円 | 148.1万円 | 756.45万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
SCSKの年収が高い理由
■裁量労働制が広く適用される
SCSKの年収の高さを支えているのは、まず1つ目は残業手当だと言えるでしょう。入社早々から、月給には20時間分の残業手当が含まれており、さらに超過した時間分も支給されます。20代後半に基幹職に昇格すると、34時間相当分の残業手当が「裁量労働手当」として支給されます。営業職は裁量労働制は適用されませんが、技術職・スタッフ職はそれぞれ専門業務型・企画業務型の裁量労働制が適用される仕組みとなっています。
加えて挙げられるのが、充実した「資格報奨金制度」です。これは「人の能力開発や円滑なビジネス遂行に有用な」資格を取得した社員を対象とする制度ですが、「資格取得には手厚い報酬制度」「通常の大手企業よりも遥かに高い報奨金が支給される」と、その金額レベルの高さが伺える口コミが多数見られます。対象者は限定されるとはいえ、こうした制度も、年収を押し上げる一つの原因になっていることは間違いないようです。
SCSKの給与体系・内訳
■賞与は3ヶ月分が基本
SCSKの給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回(6月・12月)の賞与で構成されています。
諸手当として通勤手当や時間外勤務手当などが支給されるほか、福利厚生として、財形貯蓄や従業員持株会、復職支援金(保育料補助)、独身寮などの制度・施設が整備されています。一方で、住宅手当や家族手当といった類はなく、その点に対する不満の声が散見されるのも事実です。また、「健康マイレージ」という制度があり、「1年間健康的な生活をすると(朝食を食べる、禁煙、1万歩ウォーキング)数万円のボーナスがもらえる」というのも特徴的です。
賞与は、夏賞与には前年度の会社業績・個人評価が反映されるため金額が変動しますが、冬賞与は固定額が支給されます。年間通じて、「デフォルトで3ヶ月分」であり、所属部署・個人によって変動するものの、「どんなに好評価でも5ヶ月分を超えることはない。4ヶ月分を超える人も少数」と、その変動幅はそれほど大きいものではないようです。
SCSK社員の給与明細(キャリコネ)
20代から30代で年収約140万円アップ
20代技術(非管理職)の 給与明細
20代技術(非管理職)の 給与明細
30代で700万円超え
30代(非管理職)の 給与明細
30代(非管理職)の 給与明細
SCSKの職種別年収
■職種による違いはなし
SCSKの職種は、「技術系職種」と「営業系職種」の大きく2つに分類されます。「技術系職種」はシステムエンジニアやシステムコンサルタントなど、「営業系職種」は提案営業や新規顧客の開拓といった仕事に従事します。
賃金制度は両職種共通の制度であり、社内の階層・ランク(グレード)によって年収が規定されるため、職種による年収の違いはありません。
初任給についても、職種による違いはなく、以下の通り学歴別に設定されています。
<初任給>
大卒/月給266,500円(業務手当38,500円、学び手当5,000円、リモートワーク推進手当1,000円含む)
院卒/月給289,900円(業務手当41,900円、学び手当5,000円、リモートワーク推進手当1,000円含む)
※業務手当は残業時間20時間相当分を支給し、超過の場合は別途支給する。
SCSKのグレードは、大きく総合職と基幹職に分かれており、さらに総合職はAとB、基幹職はA~Eに細分化されています。順番でいうと、総合職B→総合職A→基幹職E→基幹職D→基幹職C→基幹職B→基幹職Aという順に昇格していきます。こうしたグレード別の年収目安としては、総合職は500万円前後、基幹職Eで約600万円、課長クラスの基幹職Cで900万円で、部長クラス(基幹職B)になると1000万円を超える、といった具合です。
SCSK社員の給与明細(キャリコネ)
若手の間は横並びの年収
20代営業(非管理職)の 給与明細
20代技術(非管理職)の 給与明細
30代以降昇格は狭き門に、年収差も広がる
30代技術(非管理職)の 給与明細
30代営業(非管理職)の 給与明細
SCSKで年収を上げる方法
■20代の間は年功序列だが、徐々に昇格は狭き門に
上述の通り、SCSKの年収は社内のグレードによって決められているため、年収を上げるためには昇格することが必要です。
若手のグレードである「総合職」から、「基幹職E」に昇格できるのは、入社7年目前後の20代後半ですが、ここまでは年功序列であり、「みんな昇格できる」そうです。昇格するためには、昇格試験に合格することが必要で、その試験を受験するための条件として、①現グレードの在籍年数、②前年度の評価、③上司推薦の3つをクリアすることが必要です。試験内容は論文形式ですが、基幹職A・Bへの昇格には、面接試験も追加されます。
毎年の評価制度としては、目標管理制度が導入されており、年初に目標を設定、年央・年度末に上長との面談の中で達成度を点検し、評価が決定されます。評価は5段階設定されていますが、「上位20%の評価に入らないと昇格することができない」と、基幹職E以降の昇格は難易度が高いものであるようです。
SCSK社員の口コミ(キャリコネ)
上位グレードへの昇格は難関
「透明性は高く、同じ階級で給与が大きく異なることもないため、理不尽なことは少ない 昇格試験が難しく、上の方の階級に該当するための要求水準は相当高い……」
大手SIerとしては年収レベルに見劣りも
「同規模の同業他社と比較して、低い水準だと思う 昇格試験を合格し等級が上がれば給料は上がるが……」
SCSKと競合他社の平均年収を比較
SCSKの競合や同業界であるエヌ・ティ・ティ・データ、伊藤忠テクノソリューションズ、日鉄ソリューションズの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、SCSKが752.2万円、エヌ・ティ・ティ・データが852.1万円、伊藤忠テクノソリューションズが941万円、日鉄ソリューションズが844.6万円です。
この4社の中で最高額は伊藤忠テクノソリューションズの941万円で、最低額がSCSKの752.2万円。その差はおよそ189万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではSCSKは4番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
伊藤忠テクノソリューションズ | 941万円 | 40.8歳 | 13.5年 | 4597人 | 4586.56億円 |
エヌ・ティ・ティ・データ | 852.1万円 | 39歳 | 14.7年 | 12351人 | 10954.66億円 |
日鉄ソリューションズ | 844.6万円 | 40歳 | 13年 | 3350人 | 2355.19億円 |
SCSK | 752.2万円 | 43.7歳 | 18.4年 | 8462人 | 3963.81億円 |
SCSKの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。