【平均年収841万円】島津製作所の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

島津製作所という社名を聞いたことがあっても、何をする企業なのかは知らないという人もいるのではないでしょうか。島津製作所は大政奉還から間もない1875年に創業した、実に140年以上もの歴史を持つ老舗企業です。

主に「分析・計測機器」「医用機器」「航空機器」「産業機器」の4つの事業を中心に展開するBtoBの精密機器メーカーで、国内シェアNo.1の商品も多く製造しています。各分野の専門家が使う機器がほとんどなため、多品種少量生産であることが同社の特徴です。

そのため一般の人が直接商品を買う機会はあまりありませんが、水質を検査する装置や電気製品やおもちゃに有害物質が含まれていないかを調べるための装置、トンネルや道路、オフィスビルの老朽化を調べる装置など、実は一般の人たちのも身近でお世話になっている商品が多くあるのです。また理系出身の方なら、研究室で島津製作所製の「分析・計測機器」を使っていたという人も多いのではないでしょうか。

また島津製作所は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。

島津製作所の給与の特徴は、年功序列型であることでしょう。同年齢・同職種であれば、月々の給与にほとんど差はありません。職種で見ると、営業職であれば営業手当として1日2000円程度支給されるため、同年齢であれば営業職が高くなるといえます。また独身か既婚かによって多少異なりますが、営業職では20代で年収500～600万円、30代で700万円以上、マネージャーになると年収1000万円を超えてくるようです。

なお、月々の給与には差がないと述べましたが、賞与は評価の結果によって差が付く仕組みになっています。近年では、その評価部分の比率を引き上げる傾向にあるようです。また毎年の昇給時には、評価によって少し差が付くものの、昇格するとまた横並びになるというのも特徴の1つです。

懸念点は分析・計測機器事業以外の3つの事業において、利益率が低いことが挙げられます。分析・計測機器事業の利益率が16.1％あるのに対し、他事業は3％～9.5％しかありません。一つの事業に依存し過ぎていることが現在の課題といえるでしょう。

同社ではその打開策として、収益改革と再構築を掲げています。収益改革を行うのは医用機器事業と産業機器事業、再構築を目指すのは航空機器事業です。医用機器事業の売上70％を占めるX線の装置を中心に、産業機器事業ではターボ分子ポンプと油圧機器を中心に事業の拡充を、航空機器事業では84％を占める防衛事業の見直しを図ります。多品種少量生産のメーカーゆえに、全社的な収益増加のためにも改善が期待されるところです。

ここまで島津製作所の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか？

島津製作所の平均勤続年数は男性18.4年、女性16.6年となっています。その背景には同社特有の働き続けやすい環境があるようです。

たとえば同社には、勤続年数10年・15年・35年に達する社員には連続9日間、25年に達する社員には連続16日間の休暇が取得できる、リフレッシュ休暇制度が用意されています。また通常1年間の育児休暇期間を設けていますが、保育所に入所できるまで期間を延長することが可能です。また復職後も育児フレックス勤務や在宅勤務が可能な制度もあり、家庭と仕事の両立がしやすい点も特長といえるでしょう。

さらに製造業の有給休暇取得率の平均が56.2％のところ、同社は78.4％もあります。この高い数値からも、働き続けやすい環境であることが伝わってきます。