ゆうちょ銀行の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
日本郵政公社から郵便貯金事業を引き継ぎ、2007年に発足したゆうちょ銀行。日本の全都道府県に展開するネットワークと抜群の知名度・ブランド力が大きな強みであり、国内最高の貯金残高を誇ります。
そんなゆうちょ銀行の口コミからは、「お役所体質」から抜け出せない企業風土が浮かび上がります。口コミの中には「保守的」「年功序列」というキーワードが散見され、体質の古さや個人の業績が評価に直結しない現状があるようです。本社とその他支店・営業所とで昇進しやすさに差が見られる点に不満を抱く社員も多く、縦割り文化も存在するなど、民営化した現在も国営時代の体質が残ります。
その一方、国営時代から受け継がれる充実した福利厚生制度や働きやすい環境を評価する口コミは多く見られます。金融他社と比較して高いとは言えない給与水準ながら、「十分すぎるほどの社宅制度」「産休育休取得や職場復帰がしやすい」「定時で帰れる」「休暇がきちんと取れる」など、仕事を取り巻く環境には満足の声があがります。また、企業規模ゆえに大きな金額を扱う仕事ができる点、仕事が社会に与える影響が大きい点にやりがいを感じる人も多いようです。こうした労働環境のためか、社内にぎすぎすした雰囲気はなく、全体的に風通しは良い様子。落ち着いてマイぺースに金融系のキャリアを積みたい人には適した企業風土でしょう。
こうして見ると、ゆうちょ銀行には「国営時代の古い体質は残るものの、安心して就労でき、やりがいも感じられる社風」があると言えます。採用面接では、こうしたゆうちょ銀行の社風にフィットする人材かどうかを見極められます。
■選考は何次まで?
書類選考通過後、通常2回の面接がありますが、雇用形態や職種によっては内定までに面接が1回のみの場合もあります。口コミによると、WEBテストが課される場合もあるとのことです。最終面接では現場の上位役職者や役員クラスの役職者が、それまでの面接では人事部担当者が面接官となることが多いようです。選考期間は人によりまちまちで、入社までに3か月を要したという口コミもあり、スピーディな選考を望む場合にはその旨を先方に伝えておく必要があるでしょう。
面接では、高度に専門的な質問よりは、オーソドックスな質問から応募者の人柄や考え方を見る人物重視の傾向が見られます。事前に十分な準備と対策を行い、面接に臨みましょう。面接内容の傾向についての詳細は次項をご覧ください。
■面接内容の傾向は?
「志望動機は?」「今までの人生で頑張ったことは何か?」など、中途採用面接としては基本的な質問をされることが多いようです。「意表を突く質問は特になかった」という口コミもあるように、奇をてらった質問よりも、一般的な内容の質問を重ねていくことで応募者の人柄を見ていると考えられます。古さの残る社風になじめるか、誠実に業務に取り組むことができるかを問われていると言えるでしょう。まずは自己分析の徹底が必要です。そして、予想される質問については事前に回答を準備しておき、落ち着いてスムーズに答えることができれば好印象につながります。「一緒に働きたい人材」だと思ってもらえるよう、披露するエピソードの選定はじっくり行いましょう。
また、「上司と後輩の意見が衝突したらどうするか?」「営業のポイントは何か」など、仕事上のシチュエーションに対しての対応や、仕事に対する考え方や姿勢を問われることもあります。普段仕事をする上で自分が大切にしていることは何か、もう一度確認しておきましょう。自分の回答が全体を通して整合性のとれたものになっているか、最終チェックも必須です。
ゆうちょ銀行の面接攻略法(面接対策)
■ゆうちょ銀行の中期経営計画を踏まえた自己分析
ゆうちょ銀行の面接を受ける上では、中期経営計画(2018~2020年度)を理解しておくことが不可欠です。
少子高齢化が進む一方、顧客ニーズは多様化する経営環境の中で、日本全国を網羅する郵便局ネットワークと高い知名度・ブランド力を強みとしてニーズに沿った事業展開を行っていく方針です。多様化するニーズにはきめ細かく対応し、郵便局という地域に根づいた拠点を軸に地域活性化にも貢献したいところです。
各種サービスの拡充やコンサルティング業務の充実により顧客本位の営業体制を徹底、ハイリターンな戦略的資産運用を行うことで財務健全性を維持しながらも安定的な収益性を確保、地域活性化ファンドを通じた地域経済発展への貢献も狙います。
この中期経営計画の根本には、日本郵政グループのビジョンが存在します。日本郵政グループは、現在取り組み中の中期経営計画を足掛かりとして「トータル生活サポート企業」への飛躍を目指しています。
こうしたビジョンを掲げる日本郵政グループの一員として、ゆうちょ銀行では「銀行業務を通じて、広い視野で顧客の生活を充実させるための仕事ができる人材」が求められていると言えるでしょう。「やっぱり、ゆうちょ」(中期経営計画より)という顧客の期待を裏切らない仕事への姿勢が問われます。したがって、中途採用面接にあたっては、グループ戦略とともに中期経営計画をしっかりと理解し、自己分析に落とし込んでおくことが必要です。
■「なぜゆうちょ銀行に転職したいのか」の明確化には他社研究を忘れずに
ゆうちょ銀行の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜゆうちょ銀行か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人物は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、ゆうちょ銀行という企業についてしっかりと理解する。そのためには競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●株式会社三菱UFJ銀行
●株式会社みずほ銀行
●株式会社三井住友銀行
ゆうちょ銀行の採用面接で実際に聞かれた質問内容
このようにゆうちょ銀行の採用面接を受ける上では、経営戦略に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では「国営時代の古い体質は残るものの、安心して就労でき、やりがいを感じられる」という社風を意識して、「組織に溶けこみつつ、顧客の生活の充実のために誠実に業務をこなせる人材」であると印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくといいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
20代後半・女性/財務・会計関連職【結果:入社】
20代前半・女性/企画営業【結果:内定を辞退】
30代前半・男性/代理店営業【結果:1次面接で不採用】
20代前半・女性/カウンターセールス【結果:入社】
ゆうちょ銀行の採用面接に向けて
ゆうちょ銀行の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「国営時代の古い体質は残るものの、安心して就労でき、やりがいも感じられる社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
●ゆうちょ銀行の中期経営計画を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
●競合他社についての理解を深め、「なぜゆうちょ銀行なのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールできるよう心がけましょう。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。