【19年3月期】業績好調のANAホールディングス 懸念は「五輪後の需要減」

【19年3月期】業績好調のANAホールディングス 懸念は「五輪後の需要減」

航空業界で売上高トップを誇るANA(全日空)グループ。近年のインバウンド増加と国内路線の発達により売上高が増加しています。来年以降も東京五輪を皮切りに訪日外国人が増えることが予想されます。持株会社ANAホールディングスの財務諸表や決算説明会資料を基に、会社の現状と課題を整理します。


損益計算書(PL):売上・利益が過去最高

2019年3月期決算は過去最高の売上高を計上しました。前期比4.4pt増の2兆583億円で、ANAグループとしては初の2兆円台を達成。営業利益も同0.3pt増の1650億円で4期連続で最高益を更新しています。

ただし、営業利益率は8.0%で前期比0.3pt減少。売上原価が1兆5,598億円と前期比5.0pt増となったことが影響しています。この背景には、自然災害の影響で「ANAスカイホリデー」と海外のダイナミックパッケージツアー「旅作」の集客が伸び悩んだことに加え、新たな旅行システムの費用の増加がありました。

また、貨物重量利用率は前期比4.4pt減の55.3%になりました。さらに国内外の有償座席利用率は前期比0.7pt増の73.5%ですが、JALと比較すると77.8%とやや劣っています。

一方で、販売費及び一般管理費は3334億円で前期比2.5pt増にとどまっています。売上比は16.2%で3期前と比べて1.5pt抑制。これはコストダウンと筋肉質経営が着実に進んでいるといえます。

なお、2020年3月期の第2四半期決算にあわせて通期予想の下方修正が行われています。

  • 売上高:2兆1500億円→2兆900億円
  • 営業利益:1650億円→1400億円
  • 営業利益率:7.7%→6.7%
  • 経常利益:1600億円→1370億円
  • 親会社株主の帰属する当期純利益:1080億円→940億円

出典:2020年第2四半期 決算説明会

セグメント分析:営業利益の1割強は「航空事業」以外で創出

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